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【3】約100枚の「書くことカード」
前回のプロセスはこちら(↓)。
本に書くべき素材はおおむね集まりました。次は、それを一覧できる形にもっていきます。
一元化したとはいえ、いまはまだ、
取材メモまとめWord(自分が書いた)
年表(自分が書いた)
書籍(第三者が書いた)
雑誌やweb記事(第三者が書いた)
写真、動画、地図など文字以外の資料
が並存しています。ここでそれらに、一堂に会していただきたい。つまり私は、全部を一望したい。
森見登美彦の『ペンギン・ハイウェイ』で主人公の少年のお父さんが、こう言っていました。
(と、ここまで書いたところで、引用したい箇所を確認するために『ペンギン・ハイウェイ』を開き、そのまま読み続けて30分。ハッと我にかえり、noteに戻ってきました。あぶないあぶない)
主人公の少年は、見たもの、聞いたこと、考えたことをなんでもノートにとる習慣があります。いま、少年は大きくて俯瞰しにくくて、複雑にからみあったある物事をなんとか理解しようとしています。でも、個々の情報がどこでどうつながっていくのか(つながらないのか)がわからず、途方に暮れている。
弱気になっている少年に、研究者のお父さんはこう言います。
「大きな紙に関係のあることをぜんぶメモしなさい。ふしぎに思うことや、発見した小さなことをね。大事なことは、紙は一枚にすること。それから、できるだけ小さな字で書くこと」
少年も私も、メモはとっている。この話のポイントは「大きな、一枚の紙に、小さな字で」メモすること、です。少年は聞き返します。
「どうして小さな字で書くの?」
「大事なことがぜんぶ一目で見られるようにだよ。そのようにして何度も何度も眺める。どのメモとどのメモに関係があるのか、いろんな組み合わせを頭の中で考える。
私もそれまで、メモをまとめた紙が何枚にもわたったり、画面であちこちのファイルを行き来したりするとどうもうまく考えがまとまらないので、あれこれ試行錯誤していました。
そんなところに、小説の登場人物がコツを教えてくれたのです。「そうか、『大きな紙に小さな字で全部書く』という大技があったか…」と感服しました。
とはいえ、一冊ぶんの書物に書くことを、いくらメモ程度とはいえ一枚の紙に全部書き込むのは不可能。
そこで『高崎山のベンツ』を書いたときには、書くことをキーワードにまとめて、じゃんじゃん付箋に書いて、畳一畳分ぐらいの面積の紙に貼っていきました。
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ただ、今回の仲本ウガンダ本は書きたいことをそれぞれ付箋一つに凝縮するのがどうも難しい。一つ一つのエピソードが複雑で多面的なのです。付箋を見て、「なんのことだっけ…」となると頭の働きを妨げてしまうので、今回は付箋の代わりに、ハガキを使うことにしました。
名刺サイズではちょっと小さい気がする。ダイソーで55枚入りの薄くて白いポストカードを2組、買ってみました。
そして、書きたいこと、大事な出来事、ウガンダに関する知識などもじゃんじゃん、それぞれハガキ一枚に収まるようにWordで書いていきました。
他媒体の記事に載ってた素敵なエピソードなどはそのまま引き写してしまうことのないよう、出典元もそのカード下部に明記しておく。
各カードには、必ずタイトル(見出し)もつけておく。これはその後の作業を楽にするために。
カード作りには3~4日かかったかなあ。でもこのカードづくりによって、頭の中で一つ一つのコンテンツがより凝縮され、記憶にも定着した気がする。
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さて、次はこれを「一望する」プロセスに進みます。
(【3】終わり)
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