見出し画像

人生ベストの本かもしれない、『スタンフォードのストレスを力に変える教科書』について

人生で読んだ本の中でベストでは、という1冊に出会ってしまった。

ケリー・マクゴニガル著、神崎朗子 訳の『スタンフォードのストレスを力に変える教科書』。

タイトル通り、「ストレスは力に変わる」ということと、「じゃあどうやって変えるのか?」を説明した本だ。


私がこの本を絶賛する理由は3つ。

①豊富な実験データやストレスを力に変えた人たちの「語り」が掲載されている
②ストレスを力に変えるための具体的なエクササイズを紹介している
③読者に語りかけるような柔らかな文章で、読んでいるだけで自己肯定感が高まる


①豊富な実験データやストレスを力に変えた人たちの「語り」が掲載されている

著者のケリー・マクゴニガル氏は、スタンフォード大学の心理学者。本書には彼女自身が行った実験のほか、さまざまな心理学者たちが行ったテストが掲載されている。

彼女は1つの結論を述べるのに、根拠として5つくらいの実験の結果を挙げる。だから説得力がすごいし、その結論が単に彼女の思い込みではなく、「事実」なんだと認識できる。

また、実際にストレスを力に変えた人たちのエピソードも豊富。その人たちが抱えるストレスとは、テロや事件で家族を亡くしたり、大病を患い思うように行動ができないなど、シリアスなものばかりだ。

本書ではそんなストレスを抱えた人たちが悲しみや苦しみに打ちのめされている様子や、ストレスから「気づき」を得るシーン、その「気づき」によって再び明るい気持ちで生活を送る姿がドキュメンタリーのように語られる。読んでいるだけでこちらの心にも希望が降り注ぐような、輝かしい描写があふれているのだ。


②ストレスを力に変えるための具体的なエクササイズを紹介している


しかし、本書はただ事例を挙げるだけの書籍ではない。個人的にいいと思ったのは、要所要所に「ストレスを見直すエクササイズ」「ストレスを力に変えるエクササイズ」と題した実践編が挟まっていることだ。

画像1

本書に出てくる人物たちのように、この本を手にとった読者自身もストレスを力に変えられるよう、手助けをしてくれるのである。この本を読む人たちはきっとストレスとの付き合い方に悩んでいるだろうから(もちろん私そうだ)、ありがたい。

紹介されているエクササイズはどれもすぐにできるもの。ストレスに対する考え方を前向きにするためのコツが書かれているので、読んだ瞬間から実践できる。ドキュメンタリーチックでありながら実用的であるため、手元に置いておいて、ストレスに潰されそうになったときにいつでも読み返せるようにしたいと思った。


③読者に語りかけるような柔らかな文章で、読んでいるだけで自己肯定感が高まる


私がこの本を好きである一番の理由がこれ。
とにかく、文章がいい。

まず、著者は多くの人が無意識のうちに抱いている孤独感や劣等感などをこと細かに言葉にするので、ものすごく共感できるというか、自分の無意識が解かれていくような気持ちになる。

そして根拠を示した上で、「だからあなたは孤独じゃない」、「劣等感を抱く必要はない」と力強い励ましの言葉を送ってくれるので、読んでいるだけで自己肯定感が高まるのだ。

です・ます調で書き進め、「あなた」や「みんな」という言葉を多用することで、まるで著者が直接自分の心に話しかけている、もしくは著者が自分の気持ちを代弁しているかのような感覚になるのもポイントだろう。このあたりは神崎朗子氏の翻訳の素晴らしい手腕もあるはずだ。


・・・と言っても、具体的な文章例がないと伝わらないと思うので、最後に私が本書で特に好きな「コモン・ヒューマニティ」についての文章を一部掲載する。

※コモン・ヒューマニティ:失敗・挫折を指す心理学用語。「人間ならば誰でも経験するもの」という意味。以下は「失敗や挫折をすると、人は『なぜ自分だけがうまくいかないのか』と孤独感を味わってしまう。でも本当は周りの人も失敗や挫折をしていて、それがあなたに見えていないだけなのだ」という話をした後の文章。

わたしもこの真実を思い出すために、自分に向かって言うことばがあります。
「わたしと同じで、この人も苦しみのつらさを知っている」
「この人」というのは、誰でもかまいません。通りですれ違った人や、どこかの会社や誰かの家を訪ねたときに、ふと見かけた人でもかまいませんーー誰にでも当てはまることだからです。
わたしと同じで、この人も大変な思いをしてきた。
わたしと同じで、この人も痛みを知っている。
わたしと同じで、この人も世の中の役に立ちたいと思っている。でも、失敗したときのつらさも知っている。
そうでしょう? なんて訊くまでもありません。人間なら誰でもそうだからです。わたしたちに必要なのは、そのことを忘れずに、目には見えないものを見ることです。


おわりに

ただ「この本がすごい!」ということをぶつけたかっただけなので、支離滅裂な文章になってしまったかもしれない。しかし、少しでも興味を持ってくれた方がいたら読んでみてほしい。

ちなみに私は今回図書館でこの本を借りて読んだけど、返却するのが惜しすぎるので、自分用に1冊購入しようかと考えている。つまりはそれくらいの名著。ストレスに悩む人は、全員手にするべき本だと思う。



いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集