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大河ドラマ『光る君へ』第42回「川辺の誓い」

第42回は…視聴率的には事件です。
なんと今回の視聴率は9.1%になってしまいました。

大河ドラマ6作の43回までの視聴率

ついでにグラフも…

大河ドラマ6作の43回までの視聴率

視聴率のネタ元であるサンスポによれば「日本シリーズ生中継の影響受け」と分析してますが、視聴者層が被らないので飛んだピンボケ解説だというのがじぃじの見立てです。ネットの視聴者はともかく、本作は最終盤で失速し始めているようです。

もちろん、本当に美しい顔立ちの一条天皇(塩野瑛久)から、おじさん顔の三条天皇(木村達成)に帝が交代した影響はあるのでしょうが😛10月に入ってから、まひろ/藤式部の存在感がどんどん薄くなっている印象をじぃじは感じてました。何故かなぁ?と考えてみると、まひろがセリフがなく表情だけで演じてるシーンが多かった。で、今回は久しぶりにまひろがセリフをしゃべる次のシーン…

「道長様」
(まひろに気づく道長)
「宇治は よい所でございますね」
「川風が心地よい」
「川辺を 2人で歩きとうございます」

…と、このやり取りから始まる美しいシーンです。
このシーン、例によっていつもどおり減らず口の応酬で始まりますが…

「早めに終わってしまった方が 楽だという 
お前の言葉が 分かった」
「今は死ねぬと 仰せでしたのに」
「誰のことも信じられぬ」
「己のことも」

…でも病の道長はいつになく気弱。

「もう よろしいのです」
「私との約束は お忘れくださいまぜ」
「お前との約束を忘れれば 俺の命は終わる」
「ならば 私も一緒に参ります」
「戯れを申すな」
「私も もう終えてもいいと 思っておりました」
「物語も終わりましたし 
皇太后様も 強く たくましくなられました」
「この世に 私の役目は もうありませぬ」
「・・・」
「この川で 2人流されてみません?」
「お前は…」
「俺より先に死んではならぬ」
「死ぬな」
「ならば… 道長様も生きてくださいませ」
「・・・」
「道長様が 生きておられれば」
「私も生きられます」

…と本作でも一番の感動的なシーンなのですが、ここで吉高由里子の数少ない致命的な弱点「セリフが軽すぎる」が露呈してしまっている気がします。

もちろん、じぃじも本作における吉高の貢献は非常に大きいと評価しています。そもそも吉高が大河の主演を務めると聞いた時、正直「彼女で大丈夫?」ってじぃじは思ってました。まぁ、朝ドラ『花子とアン』の主演を務めた経験があるのでNHK的には資格十分なんでしょうが、あの時は仲間由紀恵がいて、鈴木亮平もいて、今回も脇を務める黒木華町田啓太もいて…不思議なことに『花子とアン』というと彼女らの印象の方が残ってる。朝ドラ以上に長丁場が続く大河ですが、吉高という女優は「主役としてドラマを牽引する」というよりは「狂言回しに徹して周囲を輝かせる」、前室でも短期間だけ合流する客演の俳優に垣根を作らせない立ち振る舞い、心遣いをする女優という印象が強かったのです。だから「大河の主役としては線が細い?」とか思ってました。

が、昨年のドラマ『風よ あらしよ』での好演で、彼女の印象がちょっと変わりました。よい意味で裏切られたというか…主役の伊藤野枝と言えば、史実に従えば本作のききょう(ファーストサマーウィカ)のようなキツいイメージが一般的で「それではちょっと疲れちゃうかな」と思ってたのですが、吉高は少しマイルドな視聴者受けする人物像でまとめた感じがしました。まぁ「史実に忠実ではない」って批判が出るのでしょうが、やはり歴史ドラマでの人物造形は演者の俳優の専権事項な訳でね。このドラマは2022年3月に放送されたので『光る君へ』のためのパイロット版みたいにじぃじは理解していたのですけども…

なので、生没年すらわからない歴史上の人物である紫式部のプロフィールを埋め、現代の視聴者の共感を得るためには、彼女自身が持ってる愛されるキャラクターが必要であったとも考えてます。その面では『光る君は』非常に成功しているとじぃじも思ってます。が『花子とアン』の時も露呈したように主人公の晩年になってくると、吉高のある種の快活なイメージが演技の邪魔をする。彼女が「年老いた感じ」をそれなり提示できないのは、彼女自身が人生の晩年の「年老いた自分」を具体的にイメージできていないからでは?と考えちゃいました。

特に今回の上記のシーンでは相手役の柄本佑が「歳を重ねた雰囲気」を作り出すことに(ある程度)成功しているので、尚更、吉高のセリフの軽さが際立つ感じがしてねぇ。ふと思ったのが、柄本の連れ合いの安藤サクラがこのシーンを演じたらどうなってたかな?ってこと。次に思い出したのが朝ドラ『虎に翼』で衝撃的な登場だった山田よねを演じた土居志央梨。この二人は演技そのもので正面から押してくる女優なので、彼女らの「年老いた主人公」の人物造形を見てみたかったなぁ…と思いました。それから大河ドラマというくくりだと『鎌倉殿の13人』のラストシーンを飾った小池栄子かな?このシーンは演劇畑で大河巧者の三谷幸喜の脚本の状況整理に助けられた側面もありますが、小栗旬とともにちゃんと老けてる感じがする印象的なラストシーンでした。でも、吉高にとって最も参考になるのは彼女と同じく、若い頃は小悪魔的魅力で一斉を風靡した加賀まりこなんじゃないでしょうかね?本当に老婆になった近年の彼女の出演作をみると「お婆ちゃんなんだけど小悪魔」が体現されてる感じがします。

…といらぬを勘ぐりをしてしまったじぃじです。
まぁ、もうクランクアップしたらしいから
手直しできる余地はなさそうですが…

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