
ハイブリッドワークにおけるビジネスコミュニケーションの鍵 - 日本もローコンテクスト化に?
前号記事では、"ハイコンテクスト" と "ローコンテクスト" の特性、そして、私自身の外資系企業と日系企業 双方の経験から、それぞれの特徴の一例を綴りました。
今号では、それぞれの特性を掴んだうえで、ハイブリッドワークの環境下での人との繋がりや共創において、これら コンテクスト はいかに活用されることが望ましいのかを考察したいと思います。
1. 繋がりと共創のために
競争力あるグローバルなビジネス環境において、「人との繋がり」、さらには AI台頭による「人とAIの共創」を前進させるために、異なるコミュニケーションスタイルを理解し、より効果的で円滑な "繋がり" や"共創" を、まずは、人同士で健全に築くことが大切だと思います。
改めてですが、ハイコンテクスト文化とローコンテクスト文化は、コミュニケーションのスタイルにおいて大きな違いを持っています。
"ハイコンテクスト文化" においては、話された言葉や表現という明らかなことだけではなく、非言語的な身振りやその時の状況(空気感や雰囲気、人間関係など含み)などからも意味を読み取り、情報を間接的に伝える傾向があります。一方、"ローコンテクスト文化" においては、情報や意見・意思を直接的に伝え、"言葉の意味" をダイレクトに重視する傾向が強いです。
まずは、相手の文化・価値観などの背景を理解し、その "違い・特性" を否定したり Exclusion(排除)したりするのではなく、Inclusion(理解⇒包括)して、それに対応したコミュニケーションスタイルを "チョイス" できる "キャパシティ(受容度、器の大きさと言ってもいいかもしれませんね)" を持っていることが、"人との繋がり・共創" を実現していける鍵のひとつだと私は思います。
特に、AI台頭が加速するからこそ、より一層、人同士だからこそできる "対話" の力を再認識することが大切になるのではないでしょうか。
自身のコミュニケーションコンテクスト(=過去の成功体験や既存の枠組み)のみに囚われず、"New(新しい考え方)" や ”Different(改善・改革に向けた今までとは異なる意見やアイディア)” を Inclusion していく意識と行動こそが、変化・革新を生み出す一歩となるでしょう。
2. 日本もローコンテクスト化に?
今回、"ローコンテクスト化" は日本人同士のコミュニケーションにおいても重要視されつつあるのではないかという考察をしたいと思います。
働き方の変化・多様化に伴い、各企業・経営者は、従業員の "働きやすさ" から、より一層、”働きがい" の意識と行動へのシフトが問われています。
働く意義、もっと言えば、生きる意義の観点でも、ハイブリッドワークを経営戦略のひとつとして重視している企業・経営者は多いことでしょう。つまり、ウェルビーイング(個人の権利や自己実現が保障され、身体的、精神的、社会的に良好な状態にあること)への意識 とも言えます。
今更ではありますが、オフィスを “共創空間” にすると同時に、リモートワークも並行して推奨し、オンライン上でのコミュニケーションを活かすことは組織戦略のひとつとも言えます。
その「オンライン」上では、非言語的表現や空気を読むコミュニケーションは難しいことです。併せて、価値観の多様化や個人の特性への配慮をすることはマネジメントにおいて重要なことで、日本人同士のコミュニケーションにおいても、言葉を重視したやり取り、つまり、"ローコンテクスト化" が主流になる可能性は考えられます。
ローコンテクストは伝えたい内容を明確に言葉にするため、オンライン上でもお互いの認識が相違しにくいと考えられます。ローコンテクスト化でメンバー間の認識にズレが生じにくくなることは、ビジネスや日常業務を効果的に生産的に進めるうえでも大きなメリットがあるでしょう。
また、今までの関係性・社内のみの文化・風習などを重視した曖昧なハイコンテクスト化した評価よりも、透明性ある具体的フィードバックがタイムリーに提供できているローコンテクストな納得性ある状態こそが、エンゲージメント向上にもつながる組織風土醸成に必要だと考えることもできます。
異なる文化・世代・価値観などが交錯する対人コミュニケーションは、時にフラストレーションを伴うことかもしれません。ただ、ビジネスシーンにおいて、「自身のコンフォート(快適な場)」のみで生きていくことでは、生きていく相手も場所も制限されるばかりです。相手の文化と価値観の背景を理解し尊重する姿勢を持つことで、チョイスが増え、結果、効果的で円滑なコミュニケーションを築く可能性が高まります。ビジネスの世界では、イノベーション・改革など、前進していくためには、異なる文化・価値観・意見を持つ人同士の「共創」が絶対的に必要なはずです。
”ハイコンテクスト" と "ローコンテクスト" といった異なるコミュニケーションスタイルを理解し、"相手や状況に合わせたチョイスの幅" を柔軟に持っていることが、より効果的で円滑な 繋がり や 共創 を築くことにつながっていくと思います。
同じ日本の組織・日本人同士であっても、"ハイブリッド" な働き方の機会を有効に活かして、"ローコンテクスト" のビジネスコミュニケーションをまずはチーム内でトライ&エラーで試してみるのも良いかもしれませんね! そのフィードバックを共有し合うことで、さらなる "対話" が促進されるきっかけになると尚更良いですね。
ここまでお読みいただきありがとうございます!
今後の記事もご覧いただければ嬉しいです。
いいなと思ったら応援しよう!
