
中学受験改革レポート: 江戸川女子中学校
江戸川女子中学校の令和2年度募集要項が公表されています。同校は近年、中学受験改革を着々と進めています。
2021年度からは初日2月1日午後のAO入試で英語が選択可能となったことも注目されています。しかし今回は特に、江戸川女子中学が最近になって取り進めている一般入試(2科・4科)における英検優遇制度(加点制度)に着目してみたいと思います。
( 1 )江戸川女子中学令和2年度募集要項
まずは募集要項(公式HP)を見てみましょう。
日程は以上のようになっています。一方、募集要項を読み進めてみると「合格基準等について」という箇所があります。その中で以下の英検加点制度が目を引きます。
英検4級以上を取得している受験生は、各試験の合計点に、取得級に応じた加点を受けられるようです。
( 2 )英検取得による加点が合否に与え得る影響
江戸川女子中学の募集要項には合格の目安が記されています。親切ですね。一般4科入試(350点満点)については以下のとおり記されています。
合格の目安は、4科合計210点(60%)以上です。
このように、ボーダーラインは得点率60%であると明記されています。
また、江戸川女子中学は特待生のラインも記しています。A特待(入学金+1年間の授業料免除)とB特待(入学金免除)の2種類があり、表にすると以下の通りになります。
「英検加点なし」と「英検2級以上」を比べてみると、差は明らかですね。英検2級以上を持っていると、入試本番では算数100点、国語100点、理科75点、社会的75点の合計350点のうち170点以上を取れば合格してしまうということになります。合否に与える影響は絶大だといえます。
英検2級以上ですと、(加点なしの)合格最低点+30点でA特待の資格が得られます。これはものすごく大きいですね。
( 3 )中学受験改革としての評価
ぼくは、特に英語(英検)との絡みで、中学受験の改革を進めるべきという立場をとっています。その考えの一端についてはnoteでも以下のとおりお示ししております。
この視点から見て、江戸川女子中学で採用されている英検加点制度を評価してみたいと思います。
✅資格のみで判断し、当日英語試験を課さないことを評価
ぼくが考える英検優遇(加点)制度の意義については、「今こそ中学受験を改革しよう」において次のとおり記しています。
当日英語の試験を課されず、それまでの英検努力が合格証という形で残っている場合には不合格を免れる可能性が高まる。その意味において、受験生にとっては言わば「合格のための保険」としての意義を有することになるでしょう。
受験本番の出来不出来は他の教科で評価して、英語についてはそれまでの努力を評価するというものです。
このように、「合格のための保険」としての意義が重要であるからこそ、ぼく自身は中学受験の試験当日の受験科目として英語が加わることには消極的です。
✅取得級ごとに加点幅を変えることには一定の留保
江戸川女子中学の場合、例えば英検2級以上と4級とで加点幅に35点もの差を設けています。この差は極めて大きいと思います。
「今こそ中学受験を改革しよう」において述べたとおり、これはより高度な英語力を持っている受験生を合格させたいという江戸川女子中学のアドミッションポリシーが明確に表れたものでありましょう。極めて明確だと思います。
一方、英検加点制度は「合格のための保険」であるとするぼくの立場から見ますと、ひとつだけ指摘できることがあります。
たとえば、英検4級を取得している受験生は、それにより獲得する「5点」に「合格のための保険」としてどれほどの安心感を寄せることができるか。
「英検加点のない受験生より5点有利だ!」
「英検2級以上取得している受験生より35点不利だ!」
有利とみるか不利とみるか。出願予定者は一体どちらのマインドになるか。
受験生自身には、その年のその回に、英検の何級取得者が何人出願するかなどといった情報が事前に入るわけではありません。というか、中学校の関係者ですら事前に予測することは不可能です。そうだとすれば、一定の不安感が芽生えるかもしれません。
改めてぼくの描く理想像を示しますと、以下のとおりです。これも「今こそ中学受験を改革しよう」に記してあります。
加点は僅かで構わない。いやむしろ、加点幅は小さい方がよい。それこそ加点幅がたったの1点であっても非常に大きな効果があると思います。
イメージとしては、ボーダーラインに並ぶ受験生の順位が英検の取得の有無によって入れ替わるぐらいの効果を想定してます。
だとすれば、点数には言及せず「英検3級(あるいは2級)以上取得している者は、ボーダーラインにおいて考慮する」という一文を入試要項に書き込むことでも同じ効果になりましょうか。
✅加点幅の差が特待認定に影響するのは良い案
加点の幅の違いが合否ラインに与える影響については上記のとおり、一定の留保があります。しかし、より大きな加点を得ることで特待認定の可能性が高まるとすれば、非常に良いインセンティブになるように思います。
( 4 )英検2級の意味
いずれにせよ、江戸川女子中学校が、英検2級以上を取得している受験生をとりたいと考えていることは明確でしょう。40点という加点はものすごく大きいです。
英検2級相当以上の資格を持っている生徒について、募集要項には次のような記述があります。
※「英検2級以上」は、TOEIC450点以上を取得している方も含みます。また、この条件を満たして入学された 方は、英語は一般生徒とは別に、取出し授業を受けることができます。
これは、大学入試までを視野に入れたアドミッションポリシーとして非常に重要なメッセージだと思います。英検2級とは、高校卒業式程度の英語力を意味するからです。
大学受験までに英検準1級まで取得しておく意味は、実はものすごく大きいです。英検2級取得者とは、英検で言えばその一歩手前まで来ている受験生を指すことになりますね。このあたりについては、
を、よろしければご覧くださいませ。
( 5 )英語の対策は
本年度江戸川女子中学を第一志望としてであれ併願校としてであれ受験される方はもちろんのこと、将来同中学の受験が少しでも視野に入っている小5以下の皆様は、もしこれまで英語を勉強してきているのであれば、英検で一つでも上の級を取得しておくことをお勧めします。
これは、江戸川女子中学校に限られないことです。英検を合否の判断に採用している学校の数はますます増えて来ています。
「この学校に入りたいな!」
「この学校に憧れるわ!」
そう思っていた憧れの学校で、急きょ「英検加点制度」が採用さたら悲しいですよね。
江戸川女子中学も、平成30年度までは一般入試で英検加点制度を設けておりませんでしたが、翌平成31年度において英検加点制度を採用しました。
英検の勉強方法と言えば、以下のとおり。
読解問題やリスニング問題は、英検の過去問や市販の英検問題集を使った演習を繰り返すことが最善の対策でしょう。
他方、文法・語彙・会話問題については、ぜひ満点を狙いたいところです。英検取得のために重要な意味を持つことも確かですが、その先の大学合格までを視野に入れると、文法・語彙・会話問題は完璧を目指した勉強スタイルでなければなりません。
その意味で、文法・語彙・会話問題についても市販の問題集を解きまくることも一案ですが、
満点を狙うのであれば、上記のnoteで紹介している「パパ問題集」をゴリゴリやっておくのがいいのではないかと思います。ラクラク取り組めるように工夫してあります。5級、4級、3級、準2級の問題集があります。
なお、5級についてはnoteでも試しに販売しています。
また、パパ問題集の中身をちょっと覗きたいな〜という方は、以下のnote記事をご覧くださいませ。
ここではnote最低価格の100円で一部お試しいただけるようにしてあります。
( 6 )まとめ
✅当日英語試験を課さず、取得済みの英検の資格で加点を行う方式を評価。
✅英語が強いと大学入試で強力なパワーを発揮する。
✅大学入試までを視野に到達したいのは準1級。江戸川女子中がその手前の2級取得者に大幅な加点を行う意義は大きい。
✅英検は一つでも上の級をとっておきたい。その際文法・語彙・会話は満点を狙う必要があり、ゴリゴリ対策をしよう。
この学校を取り上げてほしいといいうご希望のある方は、ツイッターのDMまでどうぞ。
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