【源氏物語を楽しむ2】源氏物語蒔絵@東京国立博物館2/2
ガラスに顔をめいっぱい近づけ写真を撮っていると、布を持った職員の方がガラスに付いた指紋などを拭き取りにやってくる。お手間を取らせておりますm(__)m。
掻上箱:髪結いの道具類を入れる小箱。「古めきたる鏡台の、唐櫛笥 (からくしげ) 、掻上の笥など取り出でたり」『第6帖 末摘花』
”表面に九曜文(くようもん)を散らしており、婚礼のために誂えられた調度の一部とみられる。
鏡台には「花宴(はなのえん)」、「胡蝶(こちょう)」、
鏡箱には「桐壺」、
櫛箱には「篝火(かがりび)」、
沈箱には「末摘花」。”
九曜文:中心に大きな1つの星を置き、その周囲に8つの星を配す。
外側には「第14帖 澪標(みおつくし)」、「第8帖 花宴(はなのえん)」、「第13帖 明石」などが描かれている。
光源氏と佇む女性は誰だろう?花宴だったら朧月夜?、明石だったら明石の君?澪標だったら斎宮女御(さいぐうのにょうご)?
開かれている頁は「第1帖 桐壺」なんでしょうね。あまりに有名な出だしを読むことができる。
”いづれの御時にか、女御、更衣あまたさぶらひ給(たま)ひけるなかに、いとやむごとなき際(きわ)にはあらぬが、すぐれてときめき給(たま)ふありけり。~”
源氏物語全54帖を読んで思ったこと。千年もの長い年月生き残るには訳がありすぎる。生きている時代も置かれている状況も違いすぎるのに、人の心とはこうも変らないのか、と人間の普遍性を目の当たりにさせられる。
コピー機が無かった時代、作品を残すのは「人力」あるのみ。その手間暇をかける理由がありすぎる。
連綿と人の手により写本され、大名の御姫様の婚礼道具となる。家事も子育てもすることなく、美しい着物を着て日がな一日、この物語のページを繰るお姫様たちによって大事に大事に受け継がれてきた、日本文学の最高傑作。
私には、鬼籍に入った後に会いたい人リストがあるが、「紫式部」もそのリスト上にいる。彼女に聞きたいことが山ほどある。例えば「第54帖 夢浮橋」はあれで終わりなのか?、六条御息所との出会いはどのようなものであったのか?、何故、光源氏の死については何も記さなかったのか?
いな、こんな質問の数々よりも彼女にぶつけたい一言がある、
「あなたは天才だ!」と。
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