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【完全解説】サイバーエージェントの人材育成・社員モチベーション向上施策を徹底公開!!

はじめに

サイバーエージェントは、創業以来、革新的な事業展開とともに、その企業文化と人事戦略で業界をリードしてきました。特に、従業員のモチベーションとコミットメントを高めるための独自の取り組みは、多くの企業にとって参考になる事例です。本記事では、サイバーエージェントがどのようにして社員一人ひとりの内発的動機付けを引き出し、全員が会社の目標にコミットする文化を築いてきたのかを掘り下げていきます。

この記事の目的は二つあります。一つ目は、サイバーエージェントが実施している具体的な人事施策を詳細に解説すること、そしてもう一つは、これらの施策がどのように従業員のエンゲージメントと企業成果に貢献しているかを明らかにすることです。サイバーエージェントの事例を通じて、読者が自社の人事戦略に生かすための実践的な洞察を得ることを目指しています。

従来の管理主導のアプローチから脱却し、より自律的で創造的な職場環境を推進するサイバーエージェントの施策は、新しい時代の人材管理のあり方を示唆しています。この記事が、他の人事のプロフェッショナルにとって有益な情報源となり、自社の取り組みに革新的なアイデアをもたらすことを期待しています。

(出典:統合報告書 2023)

全施策リスト(有料コンテンツ)

施策を全てExcel, PDF, スプレッドシートでまとめている表は有料となります。購入頂けますと画像でまとめたデータ、エクセルデータがアクセス可能です。スプレッドシートデータは申請式となっております。

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また若手育成に興味がある方々はサイバーエージェントの人事部門役員の曽山さんの本もぜひご覧下さいませ。
若手育成「抜擢メソッド」を収録したこの本は、300人以上の管理職育成に携わった経験をもとにしています。豊富な図表やリストが満載で、現場ですぐに活用できる実践的な内容となっています。ぜひ、ご参考にしてください。



ビジョン策定

Vision

https://www.cyberagent.co.jp/corporate/vision/

全社総会 CyberAgent Award

サイバーエージェントでは、半年に一度、グループ全体の成果を称える全社総会を開催しています。この総会では、期間内に最も優れた成果を挙げた個人、チーム、プロジェクトが表彰されます。以前は全社員が一堂に会してこのイベントを実施していましたが、社員数の増加と新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて形式を変更しました。現在では、ノミネートされた者や特定のグレード以上の社員のみが物理的に参加し、他の社員はオンラインでライブ中継を視聴します。視聴者はコメントを通じてイベントを盛り上げることができます。

この全社総会では、単に表彰するだけでなく、舞台演出や会場装飾にも創意工夫を凝らし、参加者にとって記憶に残る体験を提供しています。受賞者にはオリジナルデザインのトロフィーと金銭的なインセンティブが授与され、これが社員のモチベーション向上に大きく寄与しています。このような取り組みにより、全社員が目標に向かって努力する文化が育まれ、それぞれの成長と企業全体の発展を促しています。

出典:https://www.cyberagent.co.jp/sustainability/info/detail/id=26071

部署表彰

出典:https://www.cyberagent.co.jp/sustainability/info/detail/id=26071

サイバーエージェントでは、企業全体の成果を称える全社総会だけでなく、各部署でも毎月、その月に特に活躍した個人やチーム、プロジェクトを表彰する機会を設けています。この制度は、身近なメンバーの努力と成果を直接的に評価し、称えることで、部門内のコミュニケーションと団結力を高め、切磋琢磨の環境を創出しています。

表彰される個人やチームには金銭的なインセンティブが付与されるため、これが大きなモチベーションの向上に寄与しています。このような取り組みにより、社員一人ひとりが自己の成長を実感できるだけでなく、チーム全体としても力を合わせて目標に向かう意欲が増すため、全体としてのパフォーマンス向上にもつながっています。

月イチ面談

サイバーエージェントでは、2005年から「月イチ面談」という制度を推奨しています。これは上司と部下が定期的に1対1で行うミーティングで、強制ではなく推奨という形をとっています。その理由は、面談を義務化してもその本質的な意義が失われる可能性があるためです。このアプローチにより、自発的かつ意味のある対話が促されています。

月イチ面談の導入背景

月イチ面談を導入した背景には、企業全体の評価制度の見直しがあります。評価の納得度を向上させるために、納得度が高い部署と低い部署の違いを分析したところ、コミュニケーションの頻度と質が大きな違いとして浮かび上がりました。納得度が高い部署では、上司と部下が定期的に良い意味で対話を交わし、お互いの期待と評価についての理解を深めていたのです。逆に、評価に不満を持つ部署では、このような対話がほとんど行われていませんでした。

月イチ面談の目的と効果

月イチ面談の主な目的は、部下の成長を促し、上司と部下の信頼関係を深めることです。定期的な面談を通じて、部下は自分の仕事の進捗を振り返り、具体的なフィードバックを受けることができます。これは部下の自信とモチベーションを向上させ、さらなる成果を引き出すことに繋がります。

【月イチ面談で聞くべき3つのポイント】
先月の成果に対する振り返り
今月どうするのかという議論
中長期のキャリアの話

トレーナー・トレーニー制度

人も組織も成長する仕組み「トレーナー・トレーニー制度」

サイバーエージェントが実践する「トレーナー・トレーニー制度」は、社員の成長と組織の発展を促す育成カリキュラムの一環です。この制度は、新入社員が入社すると、それぞれに経験豊かなトレーナーが割り当てられます。トレーナーの役割は、トレーニーが直面する業務の課題を共に解決し、目標の進捗を確認することにあります。この一対一の指導関係は、新入社員が迅速に業務に適応し、必要なスキルと知識を身につけるための支援を提供します。

トレーナー・トレーニー制度の特徴

  1. 全職種対象:この制度はエンジニアだけでなく、全ての職種に適用されており、組織全体で一貫した育成方針が取られています。

  2. 定期的な面談とフィードバック:トレーナーは定期的に面談を行い、トレーニーの業務の進捗やキャリアの発展をサポートします。これにより、トレーニーは自身の成長を可視化しやすくなり、自己改善につながる具体的なフィードバックを受け取ることができます。

  3. コミュニケーションの重視:単なる業務指導にとどまらず、トレーナーはトレーニーとの雑談を交えたコミュニケーションを大切にしています。これにより、職場内の人間関係が強化され、先輩と後輩の垣根を超えた「仲間」としての関係性が築かれます。

成果と影響

この制度により、新入社員は社内のネットワークを迅速に構築し、業務に必要なスキルアップを効率的に図ることができます。また、トレーナー自身も教えることで自己の知識を再確認し、リーダーシップ能力を磨く機会となっています。さらに、この制度は社員間の信頼関係を深め、組織全体のコミュニケーションと協働の文化を促進しています。

サイバーエージェントの「トレーナー・トレーニー制度」は、個人の成長だけでなく、組織全体の活性化に寄与しており、その効果は多方面にわたっています。

トレパス

「トレパス」とは、サイバーエージェントにおける新卒社員の育成を担当するトレーナー向けのオンライン研修プログラムです。このプログラムは「トレーナーの羅針盤」という意味を込めて命名され、新入社員の効果的な指導と成長を支援するための教育ノウハウを提供します。事業部人事が中心となって設計したこのシステムは、特に試験を設けることなく、全講義を受講することでトレーナーが育成の合格点を得るための基準とされています。

リモートワーク下での新卒育成の必要性

新型コロナウイルスの影響でリモートワークが広がる中、サイバーエージェントでは2020年度の新入社員が主にリモートワークで業務を行うこととなりました。通常であればオフィス内で自然に行われる育成やフォローが、オンラインでは人との関わりが限定されがちであり、そのギャップを埋める必要がありました。そのため、新卒社員を一日でも早く戦力化するために、最も多く関わるトレーナーの育成を強化することが重要とされ、「トレパス」が開始されました。

全社横断の体系的な育成

トレパスはオンライン研修として提供されるため、地理的な制約なく全社員が参加可能です。これにより、従来の拠点分けや会議室のキャパシティといった問題を解消し、部署や職種、年次を超えた全社横断の育成が可能となりました。このアプローチにより、組織全体で一貫した育成が行えるようになります。

トレーナーチェックリスト

「ONEメッセージ」メソッドの紹介

トレーナーがトレーニーに厳しいフィードバックを伝える際に用いる「ONEメッセージ」メソッドを導入しています。この方法では、次の三つのステップに従ってフィードバックを構築します。

結論:指摘したい主要なポイントを一つに絞ります。
反論への対策:結論を伝えた際に予想される反論に対して、事前に対応策を準備します。
具体的なアクション:結論に基づいた具体的な行動計画を策定します。

このメソッドは、トレーナーがトレーニーに対して効果的かつ建設的なフィードバックを提供するためのものであり、理解と受け入れを促すことを目的としています。

サイバーエージェントの「トレパス」プログラムは、新卒社員がリモート環境下で迅速に成長し、組織全体の育成能力を向上させるための重要な取り組みです。

キャリチャレ

「キャリチャレ」とは、サイバーエージェントで導入されている社内異動公募制度のことを指します。この制度は、社員が自らのキャリアを積極的に形成し、新たなチャレンジを求める文化を支援することを目的としています。

キャリチャレ制度の概要

キャリチャレは、現在の部署に1年以上所属している社員が対象となります。社員は、自分が挑戦したいと考える他部門やグループ会社への異動を申し込むことができます。この制度を通じて、社員は自らのキャリアパスを設計し、多様な経験を積む機会を得ることができます。

キャリチャレの特徴

  • 自発的な異動申込:キャリチャレの最大の特徴は、社員が自ら手を挙げて異動を希望できる点です。これにより、社員一人ひとりが自身のキャリアに対して主体的に行動を起こすことが促されます。

  • 定期的なチャンス:異動を希望する社員は、年に2回設けられるキャリチャレの期間中に申し込みを行います。この定期的な機会は、社員が自身のキャリアについて考え、計画的に異動を検討するための枠組みを提供します。

  • 異動の自由度:サイバーエージェントでは定期異動を行わないため、キャリチャレは社員が自らの意志で新しい挑戦を探求するための主要な手段となります。

制度の利用方法

異動を希望する社員は、キャリチャレの期間に申し込みを行い、希望する部門やグループ会社とのマッチングが行われます。適切なマッチングが行われた場合、社員は新たな部門での業務を開始し、異なる環境での成長を経験することができます。

キャリチャレ制度は、社員が自身のキャリアを積極的に形成し、異なるスキルや知識を身につけるための絶好の機会を提供しています。これにより、個々の社員だけでなく、組織全体の柔軟性と革新性が向上することが期待されます。

キャリチャレのフロー
「キャリバー」TOP
適材適所を実現するキャリアエージェントの仕組み

ジギョつく(2015年廃止)

「ジギョつく」とは、サイバーエージェントが以前実施していた内部の新規事業提案コンテストです。この制度は、社員が新しいビジネスアイデアを提案し、最も優れた提案には賞金100万円が授与されるというものでした。2004年頃から2015年にかけて行われ、社員による新規事業の創出を促し、組織内のイノベーションを推進するための一環として設けられました。

「ジギョつく」の特徴と目的

  • 挑戦の機会提供: 社員に新規事業の立案と実行の機会を提供し、その過程でリスクを取ることの重要性を学ぶ場とされていました。

  • 非金銭的モチベーション: 優勝者には100万円が授与されますが、目的は単に大金を手に入れることではなく、創造性と実行力を発揮することに重点を置いていました。このため、主な報酬は金銭だけでなく、事業の実現とキャリアアップの機会にもつながることが期待されていました。

成果と課題

  • 新規事業提案の風土の創出: 「ジギョつく」は、1000件もの提案がある年もあり、社内に新規事業を提案する文化を確立しました。参加者は、実際に内定後に事業部長として活動するケースもあり、このコンテストがキャリアのステップアップにつながることも多かったです。

  • 事業の持続性の課題: しかし、このコンテストの致命的な問題は、提案された多くの事業が長期にわたって持続しなかったことです。優れたアイデアが生まれる一方で、実際に市場で成功する事業にまで成長した例は少なかったとされています。

「ジギョつく」は、社員の創造性を刺激し、新しい事業アイデアの実験場として機能しましたが、持続可能な事業モデルへの発展は限定的であったことが振り返られています。このため、事業提案だけでなく、それを持続させるためのフォローアップの強化が必要だったと考えられます。

CAJJプログラム(2022年にCAKKに移行)

「CAJJプログラム」はサイバーエージェントにおいて事業の営業利益規模に基づいてランク付けし、それに応じて事業拡大や人材育成を図る取り組みでした。このプログラムは、事業ごとの業績目標達成を目指すと同時に、撤退基準などを明確化し、組織全体の効率化を促進していました。

CAKK制度への移行

2022年10月には、このCAJJプログラムは「CAKK制度」へと移行しました。CAKK制度(サイバーエージェントの継続的な企業価値の向上を目的とした制度)は、CAJJの基本的な枠組みを踏襲しつつ、さらに経営資源の最適化と新規事業の創出に重点を置いています。この新しい制度は、各事業や連結子会社が現在どの成長ステージにあるか、将来の利益規模はどれほどになるかを考慮して、戦略的に人材やその他のリソースを配置します。

CAKK制度の主な特徴と目的

  1. 戦略的リソース配分:事業の成長段階や将来の利益見込みに基づいて、人材や資金などの経営資源を効果的に配分します。

  2. 定期的な企業価値向上会議:半期に一度、企業価値向上会議を開催し、外部環境の変化に応じた事業戦略の見直しを行います。この会議では、事業の統合や撤退の判断も行われ、組織全体の適応性と持続可能性を高めることが目指されます。

  3. 新規事業の創出を促進:既存事業の成長だけでなく、新たな市場機会の探索と事業創出にも注力。革新的なアイデアや技術を事業化することで、会社全体の競争力を強化します。

結論

CAKK制度は、サイバーエージェントの事業ポートフォリオの持続的な成長と利益最大化を目指す重要な戦略的取り組みです。この制度により、組織は市場の変動に迅速かつ効果的に対応できる体制を整え、長期的な企業価値の向上を図っています。

技術者・育成・採用強化

サイバーエージェントが2006年に開始した「技術のサイバーエージェント」構想は、代表の藤田氏が技術者の採用と育成を強化することを対外的に宣言し、その動きを本格化させたものです。この取り組みは、企業としての技術力の核となるエンジニアリングチームの強化を目指し、技術者の数を12年で2,000人を超える規模にまで増やしました。

技術のサイバーエージェントの展開

  • 技術者の採用と育成:藤田氏の主導の下、エンジニアの採用に力を入れ、高い技術力を持つ人材を積極的に確保しました。また、内部育成プログラムを通じて、在籍エンジニアのスキルアップとキャリア開発を促進しています。

  • プロダクト開発におけるエンジニアの活躍:ブログサービス「Ameba」やインターネットテレビ局「AbemaTV」など、多数の成功したメディア事業においてエンジニアが中心的な役割を果たしています。これらのプロジェクトにおける技術者の貢献は、企業としての技術指向を強化しました。

  • 組織とポリシーの強化:2018年1月には、「技術政策室」を新設し、エンジニア組織のマネジメントを一層強化。この部門は、技術戦略の策定と実行を担い、技術者の職能ごとの評価制度やキャリアパスの整備にも注力しています。

経営陣としての技術者の位置づけ

藤田氏は長年にわたり、技術者の必要性とその価値を認識しており、この考えが組織の高い階層でも重視されるようになりました。技術のサイバーエージェント構想は、エンジニアが企業戦略において重要な役割を担うことを確立し、技術者が経営陣に選出される流れにも寄与しています。

結論

「技術のサイバーエージェント」の推進は、サイバーエージェントが技術中心の企業文化を確立し、競争の激しいデジタルマーケットでのリーダーシップを強化するための重要なステップです。これにより、企業全体のイノベーションが促進され、新しいビジネスチャンスを創出する基盤が整いました。

あした会議

あした会議

「あした会議」は、サイバーエージェントが未来を見据えた新規事業の創出や経営課題の解決を目的として年に1~2回開催している戦略会議です。この会議は合宿形式で行われ、社内から選抜された執行役員や専門知識を持つ社員がチームを組み、提案内容を競います。代表の藤田氏が直接審査に関わることで、提案の質と実現可能性が高まります。

会議の概要と目的

  • 会議の形式と参加者: 会議はチーム形式で進行し、選抜されたメンバーが約1ヶ月間、市場のトレンド分析や社内の課題を研究し、具体的な提案を行います。

  • 提案の内容: 提案は新規事業のアイデアや経営課題の解決策に焦点を当てており、30案程度の提案から約15~20案が実際に採用されます。

  • 主要な成果: これまでにゲーム事業の強化、社員のコンディション管理を目的とした専門部署の設立、多様な働き方をサポートするマネジメントシステムの開発など、多岐にわたる施策が生み出されています。

成果と影響

「あした会議」を通じて、新規事業からの累計売上高は約3,259億円、営業利益は約455億円に達しています(2021年9月末時点)。この会議は、サイバーエージェントの中長期的な成長戦略を支える重要な機能を果たしており、社内外の変化に柔軟に対応し、持続的な成長を達成するための革新的なアイデアが創出されています。

まとめ

「あした会議」は、サイバーエージェントのイノベーションを促進し、新たな市場を切り開くためのプラットフォームとして機能しています。この取り組みは企業文化の一部として根付いており、攻めの姿勢と守りのバランスを取りながら、企業の持続的な成長を支えています。

出典:サイバーエージェントの持続的成長を支える 「あした会議」
出典:サイバーエージェントの持続的成長を支える 「あした会議」
出典:サイバーエージェントの持続的成長を支える 「あした会議」
出典:サイバーエージェントの持続的成長を支える 「あした会議」

ミッションステートメント策定

Mission Statement

インターネットという成長産業から軸足はぶらさない。
ただし連動する分野にはどんどん参入していく。

オールウェイズFRESH!
能力の高さより一緒に働きたい人を集める。
採用には全力をつくす。
若手の台頭を喜ぶ組織で、年功序列は禁止。
スケールデメリットは徹底排除。
迷ったら率直に言う。
有能な社員が長期にわたって働き続けられる環境を実現。
法令順守を徹底したモラルの高い会社に。
ライブドア事件を忘れるな。
挑戦した敗者にはセカンドチャンスを。
クリエイティブで勝負する。
「チーム・サイバーエージェント」の意識を忘れない。
世界に通用するインターネットサービスを開発し、グローバル企業になる。

https://www.cyberagent.co.jp/corporate/vision/

CA8役員交代制度(2018年にCAKKに廃止)

CA8役員交代制度は、サイバーエージェントにおいて導入されていた、役員会の構成と運営に関する革新的な人事制度でした。この制度は2008年に導入され、役員会のメンバーを8名に限定し、2年ごとに2名の役員を交代させるというルールに基づいて運営されました。

CA8役員交代制度の特徴と目的

  • 役員の定数と交代サイクル: 役員会は常に8名で構成され、任期は2年ごとに更新され、交代が行われることで、常に新しいアイデアとエネルギーが組織にもたらされました。

  • サプライズ要素の活用: 新たな役員の選出は事前に通知されず、社員総会での発表という形を取っていました。これにより、社内での期待感と緊張感を維持することができ、役員への注目度も高まりました。

  • 動機付けと活性化: 役員のポジションが保証されていない状況は、役員自身のパフォーマンス向上を促し、また、次世代のリーダーにとっても目指すべき明確な目標と機会を提供しました。

影響と評価

CA8制度は、サイバーエージェント内外から高い評価を受け、一部で画期的な人事制度として賞を受賞するほどの影響を与えました。役員の定期的な入れ替えは、組織内の競争を促進し、役員層の活性化を図ることに成功しました。また、新しい役員が導入する新鮮な視点やアイデアは、企業全体の革新に寄与しました。

制度の終了とその後

2018年に、CA8制度はより包括的なCAKK制度に統合されました。CAKK制度では、企業価値の向上を目的として、事業や人材の管理をさらに戦略的に行うための新たな枠組みが導入されています。CA8制度の精神は、CAKK制度においても引き継がれており、役員のダイナミズムと企業の革新を継続的に促進するための仕組みが取り入れられています。

キャリアエージェント

適材適所を実現するキャリアエージェントの仕組み

サイバーエージェントの人材管理とキャリア開発戦略には、複数の革新的な取り組みが含まれています。これらのプログラムは、社員の才能を発掘し、最適な位置に配置することを目的としています。具体的な取り組みには以下のようなものがあります。

人材覚醒会議

この会議は役員が集まり、戦略的な人事配置について議論する場です。主な目的は、優秀な人材を組織内で最も効果的に活用することにより、個人のキャリア成長と事業の拡大を同時に促進することです。この会議を通じて、経営層は人材のポテンシャルを最大限に引き出し、企業全体のパフォーマンス向上を図ります。

キャリチャレ

キャリチャレは社内異動公募制度で、社員が現部署で1年以上勤務した後、自ら希望する別の部門やグループ会社への異動を申請できるシステムです。この制度は社員に新たな挑戦の機会を提供し、多様な経験を通じてキャリアの幅を広げることが可能です。

キャリバー

キャリバー

キャリバーは、グループ内の各部署の職場環境や人材ニーズを可視化するシステムです。このシステムにより、社員は異動を検討する際に、部署の雰囲気や求められるスキルセット、現在の人材構成を事前に把握することができ、情報に基づいたキャリアの選択が可能になります。

キャリテレ!

キャリテレ!

キャリテレ!は、社員の事業理解を深めるための動画コンテンツです。インタビュー形式で各部署のリーダーが仕事内容や部門の特色、求める人材像などを説明することで、社員が他部門の業務について理解を深める手助けをします。これは、社員が自らの興味やスキルに合った部署への異動や、キャリアの可能性を探る際に非常に有効です。

これらのプログラムは、サイバーエージェントが社員一人ひとりの能力と志向に合わせたキャリアパスを提供し、組織全体の柔軟性とダイナミズムを促進するために設計されています。これにより、社員は常に新しい学びと成長の機会を得ることができ、企業も持続的に成長を遂げることができます。

GEPPO

出典:適材適所を叶える仕組み

「GEPPO」とはサイバーエージェントが導入している社内アンケートシステムで、社員のコンディション、キャリア志向、そして現在直面している課題に関する情報を毎月収集することを目的としています。このシステムは、社員の幸福度を高め、組織内の適材適所を実現するための重要なツールとして機能しています。

GEPPOの概要と目的

  • 定期的なフィードバック: 社員は毎月、定められた3つの質問に回答します。これにより、管理者や人事部は社員の現在の状況やニーズを把握しやすくなります。

  • 適材適所の実現: 収集された情報を基に、社員が最も能力を発揮できるポジションに配置するための調整が行われます。これは、個々の社員が満足し、生産性が高い環境で働けるようにするためです。

  • ミスマッチの解消と課題解決: 社員からのフィードバックをもとに、組織と個人のミスマッチや業務負荷の不均衡などの問題を特定し、改善策を検討します。

GEPPOの実施効果

  1. 組織の透明性向上: 定期的なアンケートにより、組織全体の課題が明確になり、それに対する対策が迅速に取られます。これにより、組織の透明性が向上し、社員の信頼を得やすくなります。

  2. 社員のモチベーション向上: 自身の意見や懸念が組織に受け入れられ、それが実際の改善に繋がることで、社員のモチベーションが向上します。

  3. パフォーマンスの最適化: 社員が自分に合った役割や業務に従事することで、パフォーマンスが最適化され、全体の生産性が向上します。

結論

GEPPOシステムは、社員一人ひとりがその才能と能力を最大限に発揮できるよう支援することで、組織全体の成長と発展を促進する役割を担っています。定期的なフィードバックの取得とそれに基づく行動は、サイバーエージェントが継続的な成功を収めるための基盤を強化しています。

出典:適材適所を叶える仕組み

プロレポ

目標設定の段階

  • 期初の組織目標の設定: 半期の始まりにチーム全員が参加する会議で、組織目標を設定します。このプロセスは、各メンバーがマネジメントの視点を持ち、組織の目標に対して共有意識を持つためのものです。

  • 個人目標の同期: 組織目標を基にして、各メンバーが個人の目標を設定します。これにより、個人の働きが直接組織の成果に結びつくことを明確にし、モチベーションの向上を図ります。

フォローアップの段階

  • 月次の進捗面談: 上長と社員が月に一度、1対1で面談を行い、目標に対する進捗状況や遭遇している課題を確認します。これにより、随時課題の解決と目標達成に向けたサポートが行われます。

  • 半期末の評価: 半期の終わりには、達成した結果に基づいて目標達成度が評価され、その結果が給与や年俸の見直しに反映されます。これにより、成果に対する公正な評価が保証され、成果主義の文化が強化されます。

プロレポの組織への影響

プロレポはサイバーエージェントにおいて、単に目標を設定し達成するという機能を超え、社員の自律性と責任感を養い、積極的に自らのキャリアを形成していく文化を促進しています。対話を通じて自らの役割を深く理解し、挑戦と決断を重ねることで、個人の成長と組織の目標達成が同時に進むように設計されています。この継続的なサイクルは、個人の能力開発と組織の成果向上の両方に貢献しており、サイバーエージェントの競争力の源泉となっています。

YMCA

「YMCA(ヤングマンサイバーエージェント)」は、サイバーエージェントにおける若手社員の育成と活躍を促進するための組織です。この組織は、特に20代の社員に焦点を当て、彼らの能力開発とキャリア成長を支援することを目的としています。

YMCAの主な目的と機能

  1. 能力開発

    • YMCAは20代社員のスキルと知識を向上させるためのトレーニングプログラムやワークショップを提供します。これにより、若手社員が迅速に業務に適応し、専門知識を深めることができます。

  2. ネットワーキングとメンターシップ

    • 社内でのネットワーキングイベントやメンターシッププログラムを通じて、若手社員が他部門の経験豊富な社員と交流し、指導を受ける機会を持てるようにします。これは、彼らの視野を広げ、異なる業務知識を吸収する手助けとなります。

  3. 熱量とモチベーションの維持

    • サイバーエージェントのような競争が激しい市場では、20代の特有の熱意とエネルギーを維持することが重要です。YMCAは、これを維持し、さらに発展させるためのコミュニティビルディング活動やチャレンジングなプロジェクトに若手社員を積極的に参加させます。

  4. 可視性と認知の向上

    • 大規模組織においては、個々の社員の成果が見過ごされがちです。YMCAは、若手社員が成し遂げた成果を社内外に広く認知させることを目的とし、彼らの成果をハイライトするイベントやプレゼンテーションの機会を提供します。

組織への影響

YMCAの存在によって、サイバーエージェントは若手社員が持つ潜在能力を最大限に引き出し、彼らが会社の将来のリーダーとして成長する土台を築くことができます。また、社内での若手社員の活躍が広く認知されることで、モチベーションの向上とともに社員全体の士気が高まると期待されます。YMCAは、サイバーエージェントが持続的に成長し、市場での競争力を維持するための重要な戦略の一つと言えるでしょう。

出典:【若手の育成】若手が“自走する”独自施策「YMCA」
出典:【若手の育成】若手が“自走する”独自施策「YMCA」

macalonパッケージ

「macalonパッケージ」は、サイバーエージェントが導入している女性活躍推進制度で、特に女性社員が職場で長く活躍し続けることを支援するために設計された9つの具体的な制度から構成されています。これらの制度は、社員が家庭と仕事の両立をより容易に行えるようにするため、また女性社員がキャリアを通じて継続的に成長できるようにするために開発されました。

macalonパッケージの主要な制度とその目的

  1. エフ休(F休):

    • 女性特有の体調不良時に月1回取得できる特別休暇。プライバシー保護のために理由を開示せずに利用可能。

  2. 妊活休暇:

    • 不妊治療を行っている女性社員が治療のために必要な通院等を目的として、月1回まで取得可能な特別休暇。

  3. 妊活コンシェル:

    • 妊活に関する専門的なアドバイスを必要とする社員が専門家と個別にカウンセリングできる制度。

  4. 卵子凍結補助:

    • 女性社員が将来の妊娠に向けた卵子凍結のための医療プロセスに対して、費用の補助を提供。

  5. キッズ在宅:

    • 子供の病気や学校の臨時休校等で自宅での看護が必要な場合に在宅勤務が可能。

  6. キッズデイ休暇:

    • 子供の学校行事に参加するために利用できる特別休暇。

  7. 認可外保育園補助:

    • 認可保育園に入れない場合の認可外保育園の費用を補助し、社員の仕事復帰を支援。

  8. おちか区ランチ:

    • 同じ地域に住むママ社員同士での情報交換や相談を目的としたランチミーティングの費用を補助。

  9. パパママ報:

    • パパママ社員の働き方や家庭生活に関する情報を共有し、社内の相互理解を促進するための社内報。

これらの制度は、女性社員が職場で直面する様々な課題を克服し、キャリアの中断を防ぎながら持続的な成長を遂げるために設計されています。macalonパッケージは、サイバーエージェントの女性社員だけでなく、家庭を持つ男性社員にも利益をもたらすことで、より包括的で支援的な職場環境を実現しています。

出典:https://www.cyberagent.co.jp/way/list/detail/id=27933
出典:https://www.cyberagent.co.jp/way/list/detail/id=27933
出典:https://www.cyberagent.co.jp/way/list/detail/id=27933

技術者向け支援制度「ENERGY(エナジー)」

「ENERGY(エナジー)」はサイバーエージェントが導入している技術者支援制度で、開発支援、スキルアップ支援、キャリア支援の3つの軸で構成されています。この制度は技術者が最大限に能力を発揮し、持続的に成長できる環境を提供することを目的としており、具体的な施策として13の制度がパッケージ化されています。

開発支援

  • ENERGYコンシェルジュ: 技術者が開発に集中できるように、スケジュール調整や備品購入、経費精算などの事務作業を代行します。

  • サポリスト: 技術者の業務効率向上につながる経費を補助する制度で、書籍、ハードウェア、資格取得費用などが補助対象です。

  • Development Inner Sourcing: 社内のセキュリティポリシーの元で、開発したソースコードをグループ内で共有し、技術資産の活用を促進します。

  • ENERGY Wi-Fi: 私用デバイスからのアクセスを許可し、業務外の研究や検証用に特別なWi-Fiネットワーク環境を提供します。

スキルアップ支援

  • CA BASE CAMP: サイバーエージェントグループの技術者が集まり、年に一度開催される技術カンファレンスです。

  • CAゼミ制度: ゼミのように興味のある研究テーマに基づいて活動し、技術者の知識向上を支援します。

  • 勉強会/イベント開催サポート: 技術的なインプットとアウトプットを活性化するために、勉強会やイベントの開催を支援します。

キャリア支援

  • FA権: 技術者が異動を希望する場合に、その過程をサポートする制度です。

  • ジンジニア: 若手エンジニアが定期的に1on1のサポートを受けられる制度で、ナナメ上の先輩エンジニアと交流ができます。

  • JBキャリアプログラム: エンジニアのステップアップを実現するための評価制度です。

  • Developers Experts: 特定の技術分野で優れた知識とスキルを持つエンジニアを支援し、その分野の発展に貢献させます。

特別な認識

  • CA BASE AWARD: 社内の技術者やクリエイターを表彰するイベントで、年に一度開催されます。

これらの制度を通じてサイバーエージェントは技術者の成長とキャリア発展を積極的に支援し、持続可能な技術革新を推進しています。

CA BASE AWARD

JBキャリアプログラム

「JBキャリアプログラム」はサイバーエージェントにおけるエンジニアのキャリア形成と評価のための全社共通の制度です。このプログラムは、エンジニアが明確なキャリアパスを持ち、能力に応じて適切に評価されることを目指して設計されています。

JBキャリアプログラムの概要

ジョブグレードの設定

  • グレード範囲: JB1からJB13までのジョブグレードが設定されており、各グレードは特定の職務と職能を定義しています。

  • 職務と職能: グレードは職務(どのような仕事をするか)と職能(その職務を遂行するために必要な能力やスキル)に基づいて定義されています。これにより、社員が自分の位置を明確に理解し、次のステップへの道筋を描きやすくなります。

評価と報酬

  • 給与レンジ: 各JBグレードには固有の給与レンジが設定されており、社員のスキルや貢献度に応じて給与が決定されます。

  • 定期的な評価: 半期ごとに評価の見直しが行われ、社員のパフォーマンスとグレードが適切にマッチしているかを評価します。これにより、継続的な成長と公正な報酬が保証されます。

目的と役割

  • キャリアのガイドライン: JBキャリアプログラムは単なる評価制度ではなく、社員が中長期的なキャリアプランを立てる際のガイドラインとして機能します。各グレードで求められる職能の明確化により、社員は次のキャリアステップに必要なスキルや知識を具体的に理解し、自己発展のための目標設定が容易になります。

  • 透明性とモチベーションの向上: グレードと給与が明確に連動しているため、社員は自分の努力が直接報酬に反映されることを認識でき、モチベーションの向上につながります。また、全社共通の評価基準により、評価の公正性と透明性が保たれます。

「JBキャリアプログラム」は、サイバーエージェントが技術者にとって魅力的な職場環境を維持し、優秀な人材の獲得と育成を促進するための重要な戦略です。エンジニアが自身のポテンシャルを最大限に発揮し、継続的なキャリア成長を遂げられるよう支援することで、企業全体のイノベーションと成長を促進しています。

https://www.cyberagent.co.jp/techinfo/careers/
https://www.cyberagent.co.jp/techinfo/careers/

CAramel

「CAramel(カラメル)」はサイバーエージェントにおける女性活躍推進を目的とした横断組織で、2017年に有志メンバーによって設立されました。この組織は、女性社員のキャリア支援と職場環境の改善を主な目的としており、所属部署やミッションの違いを超えた全社員が参加しています。

CAramelの主要活動

  1. 活躍人材抜擢:

    • 現場で支持される女性メンバーを積極的に抜擢し、リーダーシップやプロジェクト管理の機会を提供します。これにより、女性の可視性と影響力を社内外に示し、更なるキャリアアップを促進します。

  2. 関係性構築:

    • 社内のメンバー同士が互いに結びつくことを促すイベントやミーティングを定期的に開催します。これにより、社内のネットワーキングを強化し、異なる部署間での協力や知識の共有を促進します。

  3. 発信活動:

    • 女性社員の活躍やイベント、ワークショップの様子を社内外に広報することで、組織の取り組みを可視化し、女性の活躍を支援する企業文化を推進します。定期的にニュースレターや社内広報を通じて情報を提供しています。

組織の価値と影響

CAramelは、女性が職場で成功し、長期的に活躍できる環境を整えることにより、サイバーエージェントの持続可能な成長を支えています。この組織を通じて、女性社員だけでなく、企業全体の多様性と包摂性が向上し、より革新的なアイデアが生まれやすい職場環境が実現しています。

事例1 女性社員が健康に過ごすための勉強会『プレコンセプションケアイベント』開催
女性社員が健康に過ごすための勉強会を開催し、妊娠前から健康管理について学ぶ機会を提供します。これにより、女性社員が自身の健康について意識し、ライフステージに合わせたサポートを受けることが可能になります。

出典:https://www.cyberagent.co.jp/way/list/detail/id=29527

事例2 サイバーエージェント全社の働き方を知るための冊子『CAreer view(キャリアビュー)』発行
サイバーエージェント全社の働き方を紹介する冊子を発行し、様々なキャリアパスを紹介することで、特に女性社員が自身のキャリア形成に役立てる情報を提供します。これにより、キャリアの多様性と選択肢を提供し、女性が自己実現を図るための支援を行います。

出典:https://www.cyberagent.co.jp/way/list/detail/id=29527

次世代マネジメント室

「次世代マネジメント室」はサイバーエージェントにおいて非常に重要な役割を担う若手エンジニア向けの組織です。この組織は、技術者が直面する現場の課題を経営層に直接提起し、その解決策を探求し実行に移すことを目的としています。次世代のリーダーたちが組織全体の技術戦略や管理課題に積極的に関与することで、サイバーエージェントの技術基盤とイノベーションを強化しています。

次世代マネジメント室の主要な活動と目的

  1. エンジニアと経営層の架け橋:

    • 選抜された若手エンジニアは、通常の開発業務に加えて、経営層と直接対話する機会を持ちます。これにより、現場の声が経営戦略に反映されやすくなり、より現実的で効果的な改善策が生まれます。

  2. 経営課題の提起と解決:

    • メンバーは代表取締役や技術担当の専務執行役員などの経営層に対して、技術組織が直面する課題を提起し、解決策を提案し、実行に移す責任を担います。これにより、若手エンジニアは実際の経営課題を解決する経験を積むことができます。

  3. 全社技術戦略の策定支援:

    • CTO統括室や他の横軸組織との連携を通じて、グループ全体の技術戦略の策定を支援します。これにより、組織全体の技術革新と成長を支える戦略が形成され、実施されます。

  4. 知識の吸収と共有:

    • 様々な部署やグループ会社からの選抜メンバーによって、多様な知見やアイデアが共有され、新たな技術や方法論が社内で広まることが期待されます。

影響と期待される成果

次世代マネジメント室の活動は、若手エンジニアが自らのキャリアを積極的に形成し、早い段階で経営感覚を養う機会を提供します。これにより、技術的なスキルだけでなく、経営戦略を理解し、それに基づいた決定を行える能力も身につけます。また、組織全体としては、若手が持つ新しいアイデアやエネルギーを経営に反映させることができ、より革新的で持続可能な成長を達成するための基盤が強化されます。

Developer Experts制度

「Developer Experts」には、サイバーエージェントのパーパス「新しい力とインターネットで日本の閉塞感を打破する」の実現を目指し、大きく以下3つの役割が任されています。

1.各担当領域において高い専門性と、その高い技術力と経験をいかし、難易度の高い技術課題を解決することで、サイバーエージェントグループ全体の持続的な企業成長に貢献すること。

2.各担当領域における当社の顔として、これまで積み重ねてきた挑戦や得た知見を、OSS活動・コミュニティ活動・情報発信などを通じて積極的に行うことで、世の中のイノベーションを加速させ、各担当領域発展のための先端を担うこと。

3.サイバーエージェントグループ全体の技術力発展のため、各担当領域の強化をリードするとともに、後進への技術や能力の伝承・育成の役割を担うこと。

出典:https://www.cyberagent.co.jp/techinfo/info/detail/id=23823

​​​​​​これらの活動を支援するため、会社からは国内外を含む活動費のサポートを行い、全面的にバックアップしていきます。また、次期 Developer Experts 候補として、各技術領域の発展と、サイバーエージェントグループへの還元に高い貢献意欲を持ったエンジニアを幅広く活動をサポートしていくための「Next Experts」制度もあわせて運用していており、現在12名の「Next Experts」が在籍しています。

出典:https://www.cyberagent.co.jp/techinfo/info/detail/id=23823
出典:https://www.cyberagent.co.jp/techinfo/info/detail/id=23823

決算戦略説明会

「決算戦略説明会」は企業の透明性を高め、事業戦略の効果的な実行を確認するための重要なプラットフォームです。この会議は、各事業責任者が自部門の戦略と成果をプレゼンテーションする場であり、経営層だけでなく関連するステークホルダーに対しても戦略の方向性と実行の進捗を報告します。

目的と機能

  1. 戦略的方向性の確認:

    • 各事業責任者が決算期に合わせてその期間の成果と次期の戦略を詳述します。これにより、経営者は事業の成長推進のために必要な調整を行うことができます。

  2. 戦略の適応性と柔軟性の確保:

    • 成果が伴わない場合や市場環境の変化に応じて、必要に応じて事業戦略の転換を行います。このプロセスは、事業の持続可能な成長を支えるために不可欠です。

  3. 事業責任者の能力開発:

    • 決算戦略説明会は、事業責任者にとって戦略的思考とプレゼンテーションスキルを鍛える絶好の機会となります。また、戦略的説明責任を果たすことで、そのリーダーシップと戦略的判断力が試されます。

  4. 内外へのコミュニケーション強化:

    • この会議を通じて、社内外のステークホルダーに対して透明性を高め、企業価値向上への取り組みを明確にします。これは投資家や市場に対する信頼を深める効果も持ちます。

影響と期待される成果

  • 事業の効率化と成長促進:

    • 戦略が明確になることで、各部門はより効率的に目標に向かって動くことができ、企業全体の成長が加速します。

  • 戦略的な意思決定の迅速化:

    • 経営者は事業戦略の成果を迅速に把握し、必要に応じて即座に調整を行うことができるため、市場の変化に柔軟に対応することが可能です。

  • 社内外の信頼構築:

    • 定期的な戦略の共有と成果の報告は、社内外の関係者からの信頼を得るための重要なステップです。

「決算戦略説明会」は、サイバーエージェントの持続的な成長と適応能力の強化を目指し、組織全体の戦略的な思考と実行能力を向上させるための核となるイベントです。

リスキリングセンター

「リスキリングセンター」は、サイバーエージェントが設立した、技術トレンドの変化に迅速に対応し、エンジニアのスキルアップとキャリアアップを支援するための専門組織です。このセンターは、エンジニアが持続可能なキャリアを築き、技術革新の最前線で活躍できるように設計されています。

目的と機能

  1. 技術の迅速なキャッチアップ:

    • IT技術は日々進化しており、新しいプログラミング言語や開発ツールが登場しています。リスキリングセンターは、これらの新技術をエンジニアが迅速に学べる環境を提供し、現場での即戦力として活躍できるよう支援します。

  2. キャリアアップとキャリアチェンジの促進:

    • エンジニアがキャリアの次のステップへ進むためのトレーニングプログラムを提供し、専門技能の向上だけでなく、新たなキャリアチャンスへの橋渡しを行います。

  3. 外部向けアカデミーの提供:

    • サイバーエージェントでは、エンジニア育成を目的とした無料のアカデミーを社外にも開放し、広く才能を引き寄せ、育成します。これにより、外部の優秀な人材を社内に取り込む新たな窓口を設けています。

・「Go Academy
・「Graphics Academy
・「Flutter Academy

期待される成果

リスキリングセンターを通じて、サイバーエージェントはエンジニアの技術力とキャリアの多様性を高め、業界内での競争力を強化します。また、社外の人材に対しても教育機会を提供することで、企業のブランド価値と社会への貢献をさらに拡大しています。このような継続的な投資と取り組みが、企業の持続的な成長とイノベーションを促進します。

CTO統括室

グループ全体の技術戦略策定を行う横軸組織「CTO統括室」

主席認定制度

テクノロジー及びクリエイティブ領域において、極めて高い専門性を有し、当社に大きな貢献をもたらしている特別な人材を処遇するための制度です。

https://www.cyberagent.co.jp/news/detail/id=28321


CAJJプログラム(2022年にCAKKに移行)

CAKK制度

CAKK制度は、サイバーエージェントが企業価値を持続的に向上させるために設計された戦略的な取り組みです。この制度は、以前のCAJJプログラムから進化し、2022年10月から全面的に実施されています。この新しいアプローチでは、事業の成長段階や将来の利益規模を考慮して、各事業や連結子会社の管理を最適化します。

CAKK制度の主要な特徴

  1. 事業の再評価とランク付け:

    • CAJJプログラムで用いられていた事業の営業利益規模に基づくランク付けのアプローチを踏襲しながら、更に詳細な分析を行い、各事業の現在と将来の成長ポテンシャルを評価します。

  2. 経営資源の最適化:

    • 事業の成長段階に応じて人材や資金などの経営資源を適切に配置し、効率的な運用を図ります。これにより、資源を有効活用しながら、成長を加速させることが可能になります。

  3. 新規事業の創出:

    • 市場の変化に対応し、新しいビジネスチャンスを積極的に探索します。新規事業の創出は、企業の持続的成長に不可欠です。

  4. 企業価値向上会議の開催:

    • 半期に一度、企業価値向上会議を開催し、外部環境の変化に応じた事業戦略の見直しを行います。この会議では、事業の統合や撤退の決定も行われ、企業の戦略的な柔軟性と適応力が試されます。

期待される成果

CAKK制度によりサイバーエージェントは、各事業の特性と市場の要求に応じて迅速に対応できるようになります。事業部や子会社が各自の責任とともに自由度を持って運営できるようになるため、イノベーションの創出が促進され、全体としての企業価値が向上します。また、この制度は経営層による戦略的な判断を支援し、組織全体の目標達成に貢献することが期待されます。

サイバーエージェントのCAKK制度は、企業の持続可能な成長と革新を支えるための戦略的かつ柔軟なアプローチを提供し、変化する市場環境においても競争力を保持し続けることを目指しています。

パーパス策定

https://www.cyberagent.co.jp/corporate/purpose/

藤田晋氏のリーダーシップの下でサイバーエージェントが新たなパーパス「新しい力とインターネットで日本の閉塞感を打破する」を掲げた背景には、社会的な価値観の変化と企業の持続可能な成長と社会への貢献に対する内外の期待が反映されています。

ESG投資とSDGsの影響

ESG投資とSDGsへの注目が高まる中で、企業の社会的な責任や持続可能性への関心が増加しています。藤田氏はこれを重要な動機として挙げ、企業活動が単に利益を追求するだけでなく、より広い社会的な問題解決に貢献することが必要だと認識しています。これには、社員が自らの仕事を通じて社会貢献を実感できるような体制を整えることが含まれます。

社内外の価値観の変化

テクノロジーとクリエイティブの分野で革新を続けるサイバーエージェントですが、藤田氏は企業が社会にどのような貢献をしているかを明文化し、社員が自社の社会的価値を理解しやすい形で表現することの重要性を感じています。これは、社員が自身の業務をより意義深いものと感じ、モチベーションを持続させるためにも効果的です。

パーパスの具体化と経営方針への統合

藤田氏によると、パーパスを定めることは、「創業来のビジョン『21世紀を代表する会社を創る』の実現」において中核的な役割を果たします。パーパスの明確化によって、社員一人ひとりが自分の役割とそれがどのように社会に影響を与えているかを理解し、より意欲的に業務に取り組むことが可能になります。

パーパスと企業文化

最終的に、サイバーエージェントの新しいパーパスは、企業文化を形作り、社員が共感し、誇りを持って仕事に取り組む基盤を提供することを目指しています。これにより、社内外における企業のブランド認知が向上し、より多くの才能が惹きつけられ、企業の持続的な成長が支えられることになります。

このような取り組みは、サイバーエージェントが直面している社会的および経済的課題に対する具体的かつ戦略的な応答と言えるでしょう。

社長研修

サイバーエージェントの創業者である藤田晋氏の社長退任と会長兼CEOへの移行意向表明は、企業の将来に大きな転換点をもたらしています。特に、「社長研修」プログラムの導入は、次世代のリーダー育成と組織の持続可能性に対する彼の深い洞察と計画性を示しています。

社長研修プログラムの意義

この研修は全社から選ばれた16名の有望な人材を対象に行われ、彼らに経営の知識とスキルを深めさせることを目的としています。藤田氏は「次の社長は誰か」という個人の選定よりも、「どのようにして組織全体がスムーズに引き継ぎを行えるか」というプロセスの確立に重点を置いています。これは、単一の後継者に依存するのではなく、組織全体としての引き継ぎ体制の強化を図ることで、経営の安定性と持続性を高める戦略です。

社長研修から見るポスト藤田時代の展望

藤田氏の後継者として名前が挙がる山内隆裕専務や飯塚勇太専務は、それぞれが持つ独自の強みと実績により最有力候補とされていますが、藤田氏の言及する「引き継ぎ可能な体制」の構築が、実際の後継者選定において最も重要な要素となります。これは、複数の候補が同時に成長し、競い合う中で、より適したリーダーシップが発揮されることを期待しています。

藤田氏の発信の背景にある葛藤

藤田氏が抱える葛藤は、個人としての後継者選びではなく、彼が築き上げた企業文化と事業の継続性をどのように保証するかにあると考えられます。彼のビジョンによれば、個々のリーダーシップよりも組織全体としてのリーダーシップの広がりをどう確保するかが、彼の最大の関心事と言えるでしょう。

まとめ

サイバーエージェントの未来は、単に新しい社長が誰になるかではなく、どのようにして組織が次世代のチャレンジに対応できるかにかかっています。藤田氏は「3代目社長」の選定にあたり、個人の能力だけでなく、組織全体としての成熟度を重視しており、その過程で多くの洞察と学びが得られることを期待しています。

Tech DE&I プロジェクト

サイバーエージェントが展開している「Tech DE&I プロジェクト」は、技術部門におけるダイバーシティとインクルージョン(Diversity & Inclusion、DE&I)を促進するための重要な取り組みです。このプロジェクトは、技術分野における性別やバックグラウンドの多様性を強化し、組織全体のイノベーションと生産性向上に貢献することを目的としています。

Tech DE&I プロジェクトの主な目的と取り組み

  1. ジェンダーギャップの解消:

    • IT業界におけるジェンダーギャップは広く認識されている課題です。サイバーエージェントでは、女性エンジニアの増加やキャリアアップを支援することで、このギャップを解消しようとしています。

  2. 多様なバックグラウンドの受容と促進:

    • 技術部門での多様性を促進することで、異なる視点が組み込まれ、新たなアイデアやソリューションが生み出されます。これは、創造的な問題解決とイノベーションの源泉となります。

  3. 社内カルチャーの醸成:

    • 共に働く社員間で相互理解を深め、全員が尊重され受け入れられる文化を作ることで、社員の満足度と企業のアトラクティビティが向上します。

役員の直接的な関与

神谷がTech DE&I Leadとしての役割を担うことで、この取り組みは更なる強化を図っています。彼女の以前からの社外での女子学生へのIT技術・キャリア支援活動は、この役割において豊かな経験と情熱をもたらします。彼女のリーダーシップの下で、プロジェクトは具体的な成果を目指して進められています。

期待される影響

「21世紀を代表する会社を創る」というサイバーエージェントのビジョンを実現するためには、DE&Iの推進が必須です。この取り組みを通じて、サイバーエージェントは業界内でのリーダーシップを確立し、広く社会に対しても前向きな影響を与えることが期待されています。企業の競争力強化だけでなく、社会全体の進化に寄与することを目指しています。

参考URL

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