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日本の技法 "手縫い仕立ての風琴マチ名刺入れ"

こんにちは、主にヨーロッパ産の革を使用し、手縫いで革小物を製作していますenfoque -エンフォケ-でございます。

過去、思い切ってほんの数年暮らした"スペイン"。滞在中にスペイン国内、イタリア、ベルギー、オランダ、ドイツなどの数カ所を旅行し、EU圏の人々や様々な国籍を持つ人々が入り混じる国で暮らしたことから、外から日本を見る視点や日本独特のモノに、ちょいちょい興味を持つ傾向にある。
スペイン滞在中に知り合った、ジュエリーデザイナーの友人、ファッションデザインを勉強していた友人、バレンシアの火祭り職人の友人、陶芸家の友人、アートや伝統工芸品、クラフトマンシップを感じるものに魅了されたりしながらも、日本へ戻ったら、個人でデザインやモノ作りに関わる仕事を出来ないか? と思っていた。
その頃は、現在のように手縫いでの革小物を"自分で仕立てて作る"とは考えていなかった。

"日本独自の技法 風琴マチ"

風琴マチは、名刺入れや束入れ(長財布)などの製作で使われる日本独自の技法で、一般的なマチは内側に折れ曲がるカタチですが、風琴マチは外側に折れ曲がる作りになっていて、楽器のアコーディオン(風琴)の蛇腹部分に似ているため、風琴マチと呼ばれています。名刺やお札を出し入れしやすい機能性に優れています。

製作途中の画像、真ん中のパーツが組み立てた"風琴マチ"。 革の裁断には革包丁を使用。

本で知った "独特な製作方法"

風琴マチは独特な組み立て方で製作します。基本的に縫製はせず、接着とヘリ返しという方法で組み立てます。(札入れなど縫って仕立てる場合もあります。)
仕立てる知識と正確で繊細な技術が必要で、正直、手間と時間がかかります。

ひと言で言えば… "ムズイ"

以前、"一流サンプル職人が教える 本格 革財布の仕立て方"という本に載っていた
ミシン縫いで製作する風琴マチの"束入れ" (長財布)そのパターンをヒントに、似ていて異なるカタチ、風琴マチの"名刺入れ"を初めて作ったのが4年程前。
その頃は、多少の知識と経験はあれど、技術力はまだ発展途上で、それなりに試行錯誤で試作した。自分で考えて作るわたしにとって面白く、良い経験となった。

以下は今回、新たに製作した"手縫い仕立ての風琴マチ名刺入れ" ↓↓↓

名刺を出し入れしやすい機能性に優れています。名刺入れ部分の前後もポケットとなっています。

"アート思考"と"デザイン思考"

ひとり手仕事で作り上げるモノ作りの中で、創造、知識、技術のアップデートと、自分軸の考え方"アート思考"になりがちだが、いろんな物を見たり使いやすいデザインやシンプルなパターンなど、色々考えたりもする。頭の中でパターンを分解、組み立てたりしつつ図面を書いては細かなポイントや加工の指示を忘れないように書き入れておく。革の質によって微妙に変える工夫などもある。それなりに時間をとられるが、必要なこととポジティブに考えるようにしている。必要なもの、求められているもの "デザイン思考"を理解しておかないといけないが、風琴マチの日本独自の技は、わたしは伝統の技という風には捉えず、自由な発想、アイデアから生み出された"アート思考"のものと思っている。

製作道具や糸。ヨーロッパ目打ち、研いだ菱切り、エルメスでも使われているフランス製の手縫い糸。

"イタリアンレザーにて製作"

イタリア、トスカーナ州にある2社のタンナーで製造されたベジタブルタンニンで鞣された染料仕上げのオイルレザー。フランス製のワックスリネン糸にて手縫いし製作。シボ(皺)有りの革とスムースタイプの革、2種類のイタリアンレザー共に、だんだんと艶が増し経年変化(エイジング)していきます。天然皮革の自然な風合い、質感を好まれる方におすすめです。

材料や道具の質… わたし好みのモノ、それらのクオリティを追求すると、日本より海外製のものが多くなっている。"だって、日本にないんやもん…"

海外にはない日本独特の仕立て、ちょっと珍しいアイテムとしても良いと思います。

これまで技術や知識を受け継いできた先人達は、日本の技法など"後進の育成"として伝えておられるのだろう。わたしの場合、初めは日本の独特な作りをいかに正確に仕立てられるか?というチャレンジで作ったが、今は、より正確に、丁寧に仕立てることを心掛けて作る。

わたしは、安易にカタチにするモノ作りではなく、質や技術のアップデートを意識しつつモノ作りをしていきたい。

また海外に行ける機会があれば、"風琴マチの名刺入れ"を、ひとつのアイテム、日本の技術のネタとして持って行きたいと思う。
その前に使わずどんどん忘れていくスペイン語をブラッシュアップしなくてはならない… 新たに英語の勉強も… わたしにとって他言語の勉強は作ることより、もっともっと難しい。。。

Tengo que aprender ingles, y que necesito repasar mi español antes de viajar al extranjero.

ではまた、¡Hasta luego!

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