毎日読書メモ(1)村に火をつけ、白痴になれー伊藤野枝伝(栗原康)
しばらく前に、村山由佳『風よ あらしよ』を読んだときに、栗原康『村に火をつけ、白痴になれー伊藤野枝伝』(岩波書店)のことも書いたが、読んだ当時のメモが出てきたので、短いけれど転載しておく。
(読書メーターの字数制限で短いのだが、コメント欄にもう少し書き足してあったのを発見したので、ちょっと追記した)
超面白かった! 伊藤野枝という人の人生を初めて真剣になぞったが、それと同時にあまりにリアルに作者の声と作者自身の人生が出てくるので、伝記とは違ったジャンルの作品になっているような。自分のためになる、と思うと必死で勉強もするし論文も書く。どうでもいい、と思うと、子どもがお漏らししたおしめを、青鞜社の庭でうんちを振り払い、おしっこを絞ってまたそのまま子どもにつけてしまう。スキャンダルで青鞜社に迷惑が掛かり、平塚らいてうが投げ出してしまった「青鞜」をそのまま自分が編集長になって作っていたり、知らないこと多数。
子どもをぽんぽん産み、好きなものには好きと言い、踏み倒せる借金は踏み倒す。後藤新平に手紙を書いたエピソードとかも面白い。関東大震災後の騒乱の中、どさくさで大杉栄を捕らえ、惨殺し、それを隠蔽しようとした国家権力。それが意外とちゃんと人々に伝わっていたことにも驚いたが、それでも大杉と野枝と甥の橘宗一を救えなかったのは本当にもったいないことであった。もっと破天荒に生きて欲しかった。(2016年9月)
いつの間にか文庫になっていた!
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