毎日読書メモ(170)『太陽を曳く馬』(高村薫)
昨日、高村薫『新リア王』(新潮社)の感想を掘り起こしたので、更に探してみたら『太陽を曳く馬』(上下、新潮社)の感想文も発見。転載。読書メーターは字数制限があることもあり、あっさりとした感想しか残っていないが、すごく重たい読書だった。『晴子情歌』の表紙は青木繁『海の幸』、『新リア王』の表紙はレンブラント、『太陽を曳く馬』の表紙はマーク・ロスコ、不思議なとりとめのなさ。
2011年8月の記録より
上:不覚にも福澤サーガの続きが出ていて、それが合田雄一郎とのコラボになっているのに気づいていなかった! 彰之、そして息子秋道をめぐる殺人のエピソードを、合田が振り返って語る。『新リア王』を思い出しながら、このような深淵はどこから生まれてしまったのだろう、と考える。それにしても体力のいる読書だった!
下:下巻は一気にミステリらしくなり、何故施錠されていたサンガから和哉が抜け出し、交通事故死することとなったかを、宗教問答を通じて追求していく。これは作者のオウム論でもあったのか...宗教や哲学の乏しい知識を総動員して読む。謎解き自体はあっけなく終わったが、宗教は逃げ場ではない、ということを考えされられたことである。