西村賢太『苦役列車』(毎日読書メモ(371))
西村賢太『苦役列車』(新潮社、のち新潮文庫)の読書メモ。今更ながら、冥福を祈ります。もっともっと書くべきものを持っていただろうと思われるのに。
駆け足で、自分の半生を振り返る私小説。これは西村賢太入門小説なのか? 自分が向き合っているものをなんらてらうことなく描いているような(あくまでも「ような」)小説の中で、労働の現場で出会った自分と同じなのか違うのかわからない(でも違った)若者との絡みをメインテーマにしているが、勿論あくまでも、自分が向き合おうとしていない形で向き合っている現実、そこが本当に描きたいところなんだろうね。彼は、どこへ向かっていくのか。(2011年4月の読書メモ)