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『ふしぎ駄菓子屋銭天堂8』(廣嶋玲子・jyajya)(毎日読書メモ(365))

あんまり間をあけずに『ふしぎ駄菓子屋銭天堂』シリーズ。過去2巻、鳥かごに閉じ込められていて、間接的にしか銭天堂にちょっかいを出してきていなかった、たたりめ堂のよどみさん、鳥かごから釈放され、早速銭天堂に宣戦布告に来る。来たついでに自分の手下を銭天堂に潜入させていく。

案の定、よどみさんのちょっかいで効能にブラックな要素が追加されたアイテムを買った幸運のお客さまは、紅子の思いもかけぬ不幸な効果に苦しめられることになる。火消しをして回る、紅子と飼い猫の墨丸。火消しの結果、買った駄菓子の効力は消えるが、それを使う前と違う自分になっていることを自覚するお客さまたち。

この巻では結局、自業自得的なひどい目に遭った人はいなかったが、そのバランスの危うさを露呈する巻でもあった。よどみが渡したスリスリリンゴを食べて、天才的なスリの能力を得てしまった少女が、仲のよかった少女からすり取った銭天堂のアイテムは、第2巻で、アイテムの使い方を誤った少女が封じ込められていた巫女缶だった。この巫女缶のエピソードは、お客さまが遭遇した中でも空前のバッドエンドだったが、6巻も後になって(物語の中では2年後)、やはり幸運のお客さまだった警官によって、救出されるという回収があるとは。

そして、エピローグで、銭天堂に侵入したよどみは、自分自身で作ったアイテムによってひどい目に遭う。同情の余地なし。紅子と対決しようとしないで、自分のテリトリーで人の心の暗い部分を侵食して暮らしていれば、紅子がよどみを阻止したりはしないのに、こうして突っかかってきては自爆するのは、よどみに、そうせずにいられない何か(良心のかけらなの?)があるということなのか? 対決は一旦休止するが、まだ続く、らしい。

過去の感想:1巻 2巻 3巻 4巻 5巻 6巻 7巻

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