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平安寿子『もっと、わたしを』(毎日読書メモ(394))

昨日、平安寿子の本の感想文を書いた後、それよりもう少し古い時期の日記を検索して、『もっと、わたしを』(幻冬舎、のち幻冬舎文庫)の感想を発見。

図書館から電話がかかってきても「○○様が2月24日にリクエストされました本が入りました」と言うだけで(自分が電話に出ても、留守電でも同様)、本のタイトルは言わない。2ヶ月前にリクエストしたのって何の本だっけな、と思いつつ図書館に行くと、平安寿子『もっと、わたしを』(幻冬舎)だった。色んな柄の釦が白地に散りばめられた表紙がすごく可愛くて、本屋の店頭で買おうか迷い、結局図書館でリクエスト出したのだが、リクエスト出す前の週に朝日新聞の書評欄で北上次郎が絶賛してしまったためか、予約数うなぎのぼりで、いつ来るかわからない、と言われてしまったのだが、結局2ヶ月。
他にも借りている本が家にいっぱいあって、借りて持ち帰ってしまうと、次に待っている人に悪い気がしたので、そのまま図書館のソファで読んでしまう。1時間半弱で読了。本の中にも釦の絵が出ていて、本当に可愛い装丁。そして、勿論内容も面白かった。平安寿子は確か3冊目、『グッドラックららばい』も『素晴らしい一日』も、色んな登場人物を一人称で語れる、面白い本だったのだが、それが更に洗練された感じ。5つの連作短編で、それぞれに違う人が一人称で自分の恋愛観を語っていくのだが、前の作品に出ていた脇役の人が次の作品の主人公になっていき、色んな職業、色んな立場の人が出てくるのに、それぞれが色々な立場で絡まりあっていて、前の作品の主人公がこっちの作品の主人公にはこう見えるんだな、とか、そんなところも面白かった。どの人も精神的にすごく捻じ曲がっているように描かれ(容姿自慢のいやな性格の人と、逆にコンプレックスの塊みたいな人と)、いやん、本当にこんなこと考えている人いるのかしら、と思いつつ、でも作品の最後までに、もしかしているのかも...という気にならされる。これといった事件もなく、ミステリー性もなく、読む人によっては「so what?」な小説だと思うけど、わたしにとってはとても楽しい読書だった。(2004年4月の読書メモより)。

#読書 #読書感想文 #平安寿子 #もっとわたしを #幻冬舎 #北上次郎 #グッドラックららばい #素晴らしい一日

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