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色のかたち、言葉の下地、70%の黒。

吉本弘 オープニングレセプション

一年に数回、とあるギャラリーにご招待いただくことがある。正確には、ギャラリーというよりも、お世話になっているファッションブランドからだ。そのファッションブランドの説明をしていると、紙面がいくらあっても足りないのでまたの機会にするが、今回は「吉本弘 HIROMU YOSHIMOTO」のオープニングレセプションだと紹介を受けた。

といっても、「吉本弘」という名前にピンとくる人は何万人に一人のレベルなのではないか。かく言う僕もまったく知らなかった。Googleで調べても、ほとんどその名前は出てこない。かろうじて出てくるのは、兵庫県の大乗寺にある円山応挙(江戸時代中期〜後期の絵師)の絵を、デジタル再製画として蘇らせたということだ。この時点でも、ふむ、なるほど、くらいの感覚だったが、あとで聞くところでは途方もない仕事であったらしい。

今回はその吉本弘の新作「ROTATION」の初お披露目ということで、オープニングレセプションではいくつかの催しがあった。それは、吉本弘さんご自身は高齢で体調が優れないということで、奥様が作品製作について解説をしてくださるということと、美術評論家の山本和弘先生が作品を見る上での講義があるということだった。話を聴くまえまでは、本人でないと語れないのではと思っていたが、奥様も作品製作の現場に立ち会い続けてきたところもあり、ご高齢ながらしっかりとした口調で語ってくださった。その言葉には、なにやら力があって、すうっとその話のなかにのめりこんでいった。

まず、今回の新作「ROTATION」だが、これは縦3m横10mの巨大な作品だ。しかも、それは何か絵が書かれているというものではなく、長方形の色のパネルが無数に並べられて構成されているだけの作品である。そう、吉本弘さんはいわゆる色彩画家なのだ。そして、今回の新作はこの一点のみ。つまり、この展示の目的はこの作品の一点のみ。奥様の話は、その渾身の一作についての話だった。

色に形を与える

まず話されていたことは、画家は何かの形象を描き、それに「色を塗る」というのが通常の考え方であるが、吉本の場合は「色に形を与えること」なんですといったことだった。「色に形を与える」。僕は頭の中がその言葉でいっぱいになった。そもそも色に形などあるわけがなく、どういうことなのかさっぱりわからなかったが、何かここには大事なヒント(これは僕が詩を書く上での)があるような気がしてならなかった。また、こうもおっしゃった。「色に居場所を与える」。このパネルが、色の居場所……。そうして、色を置いていくと、色同士がおしゃべりをするんです、それを吉本は「色がハモってる」と言っていました、というところあたりで、これは「色」だけの話ではないなと思えてきた。色彩のハーモニー、これは、特段珍しい語彙でもなんでもないと思うし、どの画家も意識していることであると思うが、こと吉本さんの色へのこだわりはもっともっと深いところにあった。

ホワイトのサンドイッチ

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