【写真日記】歴史と自然のまち飛騨国府で紅葉を楽しむ
先週の土曜日(11月6日)、里の紅葉を見に出かけてきました。
向かったのは国府町(岐阜県高山市)です。
「平成の大合併」で高山市になりましたが、その前は吉城郡国府町と言われていた場所です。
高山市街地からは、車で北へ約20分ほどのところにあります。
それでは紅葉を見に行ってきましょう。
宇津江四十八滝(県立自然公園)
まずはこちら。宇津江四十八滝の紅葉を楽しみましょう。
全国自然100選地、岐阜県名水50選地に選定された約800ヘクタールの県立自然公園で、しぶきをあげて落下する滝群は四季折々に装いを変え、まさに秘境そのものです。名づけられた13の滝のなかでも王滝は高さが18.8メートルあり、訪れる人を魅惑します。滝の頂上にある上平滝までは約880メートルあり、園内は歩きやすいよう石畳等が整備されており、所要時間は約1時間です。
標高900メートルの渓谷内は、ブナ、ナラ、クルミ等の大木が茂り、貴重な山野草も見られ自然観察が楽しめます。 (上記サイトより引用)
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滝山の入り口にあるキャンプ場に車を停めて、山の方へと歩きます。
ちなみにこの日は、いつもと比べて車が多く、しかも他県ナンバーが多し。いつもはもう少し静かでひっそりしているのですが…。
「どうしてかな?」と不思議に思ったら、どうも数日前に、某テレビ局のローカルニュースで、この滝の紅葉の様子が放送されたようです。それで観光客がどっと押し寄せたんですね。なるほど納得。
渓流沿いの舗装された道をテクテクと登っていきます。
色鮮やかな葉。グラデーションに染まっていて、とても美しいです。
レストハウスがある場所に到着しました。ここが滝への登り口になります。
遊歩道沿いの木々が美しく紅葉していました。
…と、散策はここまで。これ以上先に進むと、山の頂上まで登らなきゃいけなくなるので、残念だけどUターンしてレストハウスへ向かいました。
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こちらがレストハウス。いつもは空いているのですが、この日はお客さんでいっぱいでした。
ちょっと早めのお昼ご飯。天ぷらうどんをいただきます。
手作り感満載の玉ねぎのかき揚げ、富山の赤巻きかまぼこ。そして、もっちりとこしがあるうどん。素朴だけど滋味深く、美味しかったです。
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レストハウス横の木々の葉も、鮮やかに美しく染まっていました。
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渓流と紅葉。
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この宇津江四十八滝の近隣には、キャンプ場や温泉があり、山に登って滝を楽しんた後には温泉につかって疲れを癒し、そのままキャンプで自然を堪能することができます。
キャンプ場は今は閉鎖されていますが、夏季(7~9月)には開業されるので、夏休みに遊びに来るのも良さそうですね。
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この滝の様子については、(2年前に書いた)私のこちらの記事をご覧くださいね。①・②・➂
荒城神社
宇津江四十八滝を後にして、次に立ち寄ったのは、同じく国府町内にある荒城神社です。
荒城神社は延喜式神名帳(927年)に飛騨式内八社の一つと記され、古来より川の神、水の神(河泊大明神)として地域の信仰を集めてきました。本殿は、室町初期の三間社流造り、杮板葺きの建物全体が優美な姿です。明徳元年(1390年)に再建され数度の修理を経ています。(国指定重要文化財)
〈上記サイトより引用〉
ちょっとここで「飛騨の匠」(ひだのたくみ)について説明させてください。
昔、奈良時代に、朝廷は、日本各地から「税」を徴収する際、飛騨国に対しては「飛騨工(ひだのたくみ)制度」を作り、木工技術者を都へ送ることをもって税の代わりとしました。
こうして、奈良時代から平安時代末期までの間、飛騨から多くの工人たちが都へと出ていき、神社仏閣など多くの建物の建築に携わってきました。
この400〜500年間にわたる「飛騨工」制度は鎌倉時代に終わりを迎えます。しかし、飛騨人の木工建築やモノづくりの技術は、この制度が終わった後も名高く残り、後の世では「飛騨の匠」と呼ばれ、名工の呼称となりました。(詳しくは、この下のサイトをご参照ください)
ちなみに、この「飛騨の匠」が残した作品群(建物)と技術は、文化庁の「日本遺産」に選ばれています。
この荒城神社も、「飛騨の匠」の高度な技術によって建築された作品(建物)の一つなのです。
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こちらが荒城神社の鳥居。
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阿吽(あ・うん)というより、歯を食いしばって「にー!」の表情をしている狛犬さま。歯並びがとっても綺麗です。
なんだか可愛いですね。
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境内に入ると、左手に拝殿が見えてきました。
白木で作られた建物。扉の上についている紋は「勾玉」です。
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拝殿の横から後ろ側に回ってみます。
拝殿の奥にある本殿へ。この本殿が日本遺産構成文化財になっています。
屋根をご覧ください。
先端に向かっていくほど大きく反り返っています。この屋根のカーブ、木材でここまで美しく曲げるのは非常に難しいはず…。これが匠の技なんですよね。なんと、室町時代初期の造りです。
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この荒城郷を見守るご神木の大杉。
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鮮やかな紅葉を期待したのですが…。針葉樹が多いため、紅葉はこの辺りだけでした。。
まっすぐに伸びる杉の木立。清々しいです。
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手前の葉が散った木々は桜だそうです。春になると、また違った風情が楽しめそうです。
安国寺
次に、同じく国府町内にある安国寺に向かいました。
太平山安国寺は、臨済宗妙心寺派の古刹で、本尊は釈迦牟尼仏、脇侍を文殊菩薩、普賢菩薩とする三尊仏です。
室町幕府を築いた足利尊氏・直義兄弟が、夢窓国師の勧めで国土の安寧を計るため、貞和元(1345)年に光厳上皇の院宣により、国ごとに安国寺と利生塔を設置。飛騨では以前からあった少林寺を指定し、寺号を安国寺と改めました。京都南禅寺から瑞厳和尚を開山として迎え、貞和3(1347)年に創建されました。
安国寺経蔵は、応永15(1408)年建立で、飛騨における唯一の国宝建造物です。全体的に禅宗様が中心ですが、所々に和様が加わった折衷式の建物となっています。 (上のサイトより抜粋)
先ほどの荒城神社と同じく、こちらも室町時代の建物が残る古刹です。また、この寺の境内に経蔵があるのですが、この経蔵が飛騨唯一の国宝であり、また、(荒城神社の本殿と同じく)文化庁の日本遺産の「飛騨の匠」構成文化財に指定されています。
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安国寺の駐車場に到着。車を停めて山門に向かいました。
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石段を登って山門をくぐり、境内に入ります。
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こちらが本堂。外から拝ませていただきました。
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この本堂の左側に行くと、横に石段がありました。石段の奥へと目を向けると、ひっそりと佇む経蔵が見えました。
室町時代から戦乱の世を経て、江戸から幕末、近代へ…。人間の長い歴史をじっと見つめてきた建造物です。飛騨の匠の作。
周囲の紅葉が寺院を美しく彩っていました。
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本堂の左奥に、お堂がありました。
お堂の前の小さなお堀を覗くと…。
水面に映った紅葉。まるで鏡のよう。空の青も映り込んでいます。色鮮やかで美しいです。
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更に境内の中を散策すると、明るい朱色の葉が広がっていました。
穏やかな山の秋です。
宇津江・熊野神社
こちらは番外編です。
宇津江四十八滝から荒城神社に向かう途中で、素晴らしい紅葉を見つけました。思わず車を停めて、しばし紅葉に見とれました。
国府町宇津江の熊野神社です。
見事な色合い。うっとりするほど美しく、鮮明さに圧倒されました。
自然豊かな町で楽しむ紅葉。誇り高き伝統の技と文化の香りを感じました。
飛騨の紅葉は、ここをピークに終盤へと向かいつつあります。
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