小説「なんで、私が乳がんに?」(33)
病室に、医長とおぼしき高齢男性を頂点とし、渡り鳥の群れのように三角を形成した白衣の一団が現れた。これは、ドラマ「白い巨塔」でおなじみの「財前先生の総回診〜」のリアル版ではないか?とワクワクした。
まあ時代も違うのだろうし、ここは大学病院ではないのでそこまで権威主義な雰囲気は感じられない。
雁の群れの2列目くらいに位置している東村先生は、群れを抜け出して言った。
「組織検査の結果出ましたけど、やっぱり非浸潤でしたのでね、安心してくださいね。」
ああ、よかった。不幸中の幸い、顔面