見出し画像

小説「なんで、私が乳がんに?」(32)


夜中に疼痛で目が覚める。手術後、大胸筋と小胸筋の下に、それぞれ血液や漿液を集めるドレーンという管が差し込まれた。
管の先には、透明な四角いサコッシュのようなビニール袋がついている。この袋に液体が貯まる仕組みだ。透明なので中の血の色が見えていてかなりグロテスクである。
腕には点滴、下半身には尿を採る管も入っていて、体中管だらけだ。
左胸と左腕は動かないよう、幅の広いバンドで胴体に固定されている。

天井を見ながら、がんと一緒に悪いものや嫌なことは全部切り取って持っていってもらった、と思う。
さあ、これからどう生きたいか。

いいなと思ったら応援しよう!