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第1回房総半島1周280K 前編

【房総半島1周280K】このキャッチーなタイトルに惹かれた!だって完走出来たら「房総半島1周したことあるよ!」って言えるわけだから。みんなが知っているあの房総半島を、自分の脚で1周するという未知の領域がなんとも絶妙だと思った。
 100マイルの挑戦本数が増えるほど、完走時のダメージは減るし余裕度は出てくる。もちろん、より高強度な練習を積み成長したからというのもあるが、経験しないと得られない肉体的&精神的な耐性が上がる気がしている。自分が今目標としているバックヤードで結果を残すには、距離と時間の限界に挑む必要がある。ということは、より限界に近い領域を経験することで耐性がつき、結果に繋がるのではとの考えに至った。そんな中この大会を知り、まさにこれだと思いエントリーした!ただ、エントリーした時は7月中旬の千葉の酷暑なんて何も考えていなかったww

 大会は、千葉県千葉市をスタートし、房総半島の南側を反時計回りでぐるっと回り、市原市をゴールとする280km (TrailNoteで距離計測 285km)のロードレース。制限時間は54時間。エイドが6箇所とCPが10箇所。エイド間のCPの写真を撮り、次のエイドで写真を見せて通過証明となる。もし写真を撮れていなければ、撮りに戻るか失格となる。コースマップはGPSデータと紙MAPが配られる。前回の日光千人同心街道での成功体験から100%GARMIN先生を信じ、GARMIN先生にインプットしたデータを確認しながら進む事にした。

コースマップ。赤がエイド(6箇所)、紫がCP(10箇所)

 エイドが少なく30~50kmごとなので、途中のコンビニを使う事が大前提となるが、コンビニが40㎞もない区間もあるという事で、自販機も使うつもりで準備した。CPは10箇所もあるのかって思っていたが、中盤以降はCPを超える事が目標になっていたので、もっと欲しいって思っていたw 計測は、配られたタグを手首に巻きセンサーに反応させるタイプで、6箇所のエイドでのみ行った。今回のエントリーは68名。
 同日青森でも260㎞のウルトラマラソンの大会があることを考えると、世の中は変態 (最大限の誉め言葉) で溢れかえっているなって思ったw

持って行ったもの、これらに加えて1.2ℓの水分を背負った
準備したタイムスケジュール、字が小さくて読むのに苦戦したw

 スタートは7月15日(土)10:00だったので、朝家から電車で移動し、9時ごろ浜野駅に到着。受付、荷物チェック、テーピング、ブリーフィング等であっという間に時間が過ぎる。そんな中、初めましての中村さんと挨拶させていただいたり、中村さんのサポートで来てたユカちゃんと談笑したり、厚木大学の方ですよねと声を掛けてくれたビービーさんのお陰で、ジャーニーラン初心者の自分でもリラックスして過ごせた。

スタート前の集合写真、控えめに写るw

 そして、自分含め62名の共走者と一緒にスタート。といっても、スタート時にタグをセンサーにタッチする必要があるため、1人1人順番にスタート。マイペースでのランを考えていたので、後ろから15‐20番目ぐらいでのスタートだった。序盤は無理せず6分半/km位のペースをひたすら刻んでいった。

スタート直後、ビービーさんのベテラン感あふれる背中。ワラーチだった!

 気温30度超、湿度は100%に近い感じだったが、日差しがなく風もあり、それくらいのペースでも無理せず進める感じだった。中村さんが前後していて少し話したが、あとから思えば相当な長旅なのはわかっていたのだから、もっとお話しさせてもらえばよかった。10㎞くらいのところでユカちゃん、みどりさんから氷を貰った。やはり氷の効果を感じ、今回も多用することを誓った。その前後は大体5人くらいの集団で走っていたが、だんだんばらけていき、15㎞くらいからはほぼ一人旅になった。22㎞くらいのコンビニに初めて寄り、飲み物、クーリッシュ、凍ったペットボトル、inゼリーを購入。今回も、コンビニはほぼ固形物は買わずに進む事にした。25㎞くらいから右足首に違和感発生。少し焦るが、どうせまた脳がやめさせようとしているだけだと言い聞かせ、普段以上に力を抜くようにイメージを変えて進んだ。30km手前位の信号で一緒になった選手と話しながら進む事でかなり気が紛れ、気付くとCP1に到着。

CP1。最初のCPまで31km、残り250㎞…先が長すぎる…w

 そのまま2㎞くらい並走出来て楽しかったが、補給のタイミングで自分が先行することになった。1人になると途端に疲労感に意識が集中し、今度は左の腸脛靭帯辺りがうずきだした。右の次は左が来たので、左右のバランス差を疑い、変な意識はやめて腸腰筋群を使って脚をあげ、力を抜く感じにした。まだ250㎞もあるので、ゴールの事ではなくCP、エイド、コンビニ等をイベント化することにした。A1に近づいたところですれ違い区間となり、選手間で応援し合いながら進む事が出来て元気が出た。その中に応援ランに来ていたウルトラマラソン界で有名な、”タイマーが大好き”のポッドキャストにも出演していた仲田さんがいて、思わず話しかけてしまった。こっちが一方的に知っていただけなのに申し訳なかったし、もう少し気の利いたことが言えなかったのかと頭の中で色々なセリフがグルグルした。相変わらずアドリブ力の弱さが露呈してしまった。ただ、そのおかげであっという間にA1に着いたから良しとしよう。

夏を満喫中!オレンジのボックスが計測器。

A1富津岬 (48km) 5時間27分経過 7位
 エイドで冷やし中華とスイカを頂いた。エイドの方々と談笑できたし、中村さんを追いかけて回っていたユカちゃん達も来ていたので、話す事でだいぶ気が紛れた。どのエイドもランナー目線で用意されていて、しかもスタッフはみんな優しいので心が救われた。そして、まさかの7位という事に驚いた。しかもエイドに先着した人が2人いて、すれ違い区間で4人すれ違ったからトップともそこまで離れていないらしい。ただ、今回も順位よりは最後までフォームを意識し、自分の走りに集中するよう再度言い聞かせて走りだした。エイド先のすれ違い区間で応援し合い、まだまだみんな元気でこっちも元気が出た。ウルトラ系は他の選手は競争相手だけど、共走仲間なんだよなーって思いつつ、また一人旅が始まった。海岸線に出ると、日差しを感じるようになった。

海沿いは眺めがよく気が紛れる。向こうに見える海岸線はほぼこれから通るという…w

 さすがにキツくなり歩きたくなるが、歩いてもゴールが遅くなるし、3日目の昼間はなるべく避けたかったので、走れるならなるべく走る意識を持っていた。市街地を抜け、山間部へ入るような道で久しぶりに選手に追い付く。たぶん吉沢さんだと思う。暑そうにしていたが、挨拶した感じでは元気だったし、力を使わないブレの少ないフォームで走っていたのでまた会えるだろうなって思えた。その後アップダウンが続く山間ルートに入ったところでCP2志駒不動様の霊水に到着。74km走ってまだCP2かよって思ったw

蛇口から湧水が絶えず出ていて使いたい放題、生き返った!

 ここにはまたしてもユカちゃん、みどりさんが私設エイドを出してくれていて氷とドリンクを頂いた。水を浴びてリフレッシュしつつ、サングラスをしまいヘッドライトを装着しナイトランへ備えた。氷は穴をいくつか開けたジップロックへ入れハットの中へ。そんな中吉沢さんと再び会う事ができた。しばらくは渓谷沿いのアップダウンルートが続いた。真っ暗になりライトをつけたところで、私設エイドを開いている方がいた。80㎞以上走っていると相当な疲労感なので、そこで頂いたコーラとお菓子はとても元気が出た。85㎞を大体10時間15分で通過するも、「あと200㎞もあるのかー、早くお風呂に入りたい」って思っていた。そして、今度は腹筋なのか腸腰筋群なのかお腹周りの筋肉痛が始まった。あれこれ痛いところが変わっているという事は、脳が走るのをやめさせようとしているに違いないと思い、フォームの維持に意識を集中し、「ゴールまでの距離は気にするな!」と言い聞かせた。ちょっとした峠を越え下り基調が続くようになり、5㎞走ったところで街に出てA2に到着した。

A2パクチー銀行(89km) 10:44経過 6位 区間 41㎞ 5:16 6位
 パクチー銀行という名の飲食店で営業しつつお店の一部をエイドとして使わせてくれていた。ここがまた雰囲気が良く、運営の方だけでなく、お店の方やお客さまみなさんが暖かい激励や気遣いをしてくれて本当に助かった。ここのエイドはカレーが出る事がわかっていたが、球磨川での苦い経験からそこまでの胃腸の感じで食べるかどうか判断するつもりだった。ここまで固形物はA1で食べたものしかなく、胃腸の調子がよさそうだったのでカレーを食べる事にした。これが本当に美味しく食べられて良かった。確実にメインであろうパクチーもお勧めいただいたが、苦手なためお断りさせていただいた。(一口メモ:ちなみに、ブロッコリーとカリフラワーも苦手ですw)エイドには5位の選手がいて、先に出て行ったが元気そうに見えた。エイドの方々に「余裕そう♡」とか「爽やか♡♡♡」とか言ってもらい、正直嬉しかった。他の人より余裕がありそうなのかもといい聞かせた。エイドにあった冷感スプレーを服にかけて貰い出発。
 出た直後に吉沢さん、中村さんとすれ違うが、2人とも良い表情でエール交換ができ元気を貰えた。明るかった時間は短く、また1人淡々と走り続ければいけない闇の世界へ突入していった。最初は街中だったが、途中から山へ上がるような雰囲気になっていった。事前に調べたコンビニの距離とこれから行こうとする道の感じに、直感的にコンビニ調べが間違っていたことを悟った。それと同時に自販機が出てきたのでドリンクを購入。ここから先は、8kmくらい何もない区間だったので直感が冴えて助かった。そのあとは結構な峠道が続き、登りはほぼ歩き通した。途中真っ暗なトンネルを通過したので思わず写真を撮ったが、何か変なものが写っていたらいたら怖いなと思ってしまい、画面を直視できなかったw

きっと何も写っていない、はずw

 その後も人気のない峠道が続いた。途中、まさかの応援車が一台通り、人がいる有難さを痛感した。その後下り続けてCP3清雄寺房総別院 (101km) に到着。ようやく100㎞を越えたが、残りまだ185km、これからの暑い昼間が訪れる事を考え絶望感が強かった。

100㎞到達記念イベント!! 記念撮影w

 その後も下りが続いたので、重力の力を使い走り続けコンビニに到着。疲労なのか眠気なのかわからないが、走る事への抵抗感があったので、ゼリー系の補給以外にアイスカフェラテを購入。一気に飲み干し、残った氷をジップロックへ入れて出発。カフェインでスッキリすることを願いながら走り続けた。良いタイミングだったのか、この後しばらくは眠気はこなかった。ただ、やっぱり疲労感がすごい。なるべく日が昇る前の気温が低い時間帯に距離を稼ぎたいと思う自分がいる一方で、「ちょっと歩いてもいいんじゃない?」と誘惑する自分も出てきて、歩く時間が徐々に長くなっていった。そんな時にまたしてもユカちゃん達の車に応援されることで、走りを取り戻すことができ、何とかCP4渚の駅たてやま (110km) に到着。 
 誰もいないし、やる事もないのですぐに出発。海沿いの道に出ていたため、公衆トイレが多くなる。そこで手ぬぐいを濡らしたり顔を洗ったりして冷やす意識は忘れなかった。結構アップダウンが繰り返され、風が強い海沿いのルートになっていき、歩きが多くなっていった。歩くと進まないので何とか走りたいが、走るという決断のハードルは結構上がっていた。それでも途中出てくる下りの勢いを借りたりして走りを増やす意識を持ち、なんとかCP5洲崎神社 (120km) の下に到着。ここでは150段位の階段を上がった先がCPとなる。ちょうど上がり切ったところ辺りに、前の選手が見え少し元気になった。そして、ここにもユカちゃん達がいたのでエールを貰い、気持ちと使う脚を切り替える意識でしっかり上る事にした。

全て走って登るつもりだったが、5段で断念したw

 階段で前の選手とエールを交わし、CP5の写真を撮りリズムよく階段を下り、水道で顔を洗い手ぬぐいを濡らし出発。すると、階段で違う脚の筋肉を使い、しかも股関節の可動域が広がったせいか、明らかに身体が軽くなっていた。多少アップダウンしていたが走り続ける事ができ、楽しくなってきた。特に同じ動きを繰り返すウルトラのロードは、レースの最中に意図的にストレッチが必要だと感じた。そのまま前の選手に追い付きエールを送り合って走り続けた。そして、130㎞地点くらいで、夜中にもかかわらず私設エイドを開いてくれている方がいた。

生き返りました。ありがとうございます!!

 そこでそうめんを頂きながら話をしていると、トレラン界隈で有名な女将さんだという事がわかった。2018年の彩の国の最後の桂木観音エイドで、お尻を叩いて貰ったお礼をすることができて良かった。今回もお尻を叩いて貰い激励を受けながら出発。ランナー目線でいいポイントに私設エイドを出してくれていて本当に助かった。そこから少し走ったところで、先行していた選手(たぶん宮本さんだと思う)がベンチで寝ようとしていたので、挨拶をして通過した。5km位走ると今度は女性一人で応援してくれている方に遭遇。こんな夜中なのに珍しいと思ったら、、、なんと義姉だった!!!ドッキリかと思うくらい驚いたが、お陰で目が覚めたし気が紛れて、A3にあっという間に到着した。

長くなってしまったので、後編へ続きます。
STRAVAの記録はこちら➡ LINK


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