原田眞人【さらば映画の友よ インディアンサマー】|かつての映画狂少年たちへ
日本映画|1979年|111分
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■noteを通じて出会った映画
noteで映画評(映画日誌「乱れ撃ちシネnote」)を書いておられる きっかけ屋さんの名刺がわりの伝記書籍を読んだことがきっかけで、この映画のタイトル【さらば映画の友よ インディアンサマー】を知りました。
なんと、きっかけ屋さんが、かつてこの映画プロデューサーをされていたのです。
また、光栄にもコメントのやりとりをさせて頂いたこともあり、この映画にとても興味を持ちました。
■かつての映画狂少年の集まり
この映画を知ってから偶然にもこの映画の話題が仲間内で出ました。
映画監督の先輩宅のリビングで、VHSで映画を観続けていたある日のことでした。
メンバーは先輩、脚本家、私の男3人の会で、かつての映画狂少年といえる人たちです。
午後1時くらいから観始めて、すでに午後8時くらいになっていたかと思います。
ふいに、この映画の話題が始まりました。
ちょうど私がこの映画を知ったばかりの頃でしたので、あまりのタイミングに、俄然、観なければいけない映画だと確信しました。
そして、観ました。
子どもの頃の映画館の匂いや、映画に取り憑かれた青春や、スクリーンと現実の境目で彷徨ったあの頃の記憶は、やっぱり大切なものです。
私もまた、この映画が大好きになりました。
■映画の質感があふれている
この映画には、映画が溢れています。
名作やヌーベルバーグやロマンポルノや任侠映画やアメリカ版任侠映画の質感が、登場人物たちの心象風景を通して、描かれています。
どれだけの映画のモチーフが散りばめられているのか、きっと私の知識では追いつきませんが。
それでも、あっ、これはあの映画だ!なんていくつかの映画の記憶が蘇ります。
■映画に取り憑かれて
スクリーンと日常の境目を漂って生きる、映画に取り憑かれた魂のピュアで危うい姿が、画面に質感となって焼きついてます。
1979年当時の映画に取り憑かれた男が生きてる世界観がリアルです。
同時に自主映画を作っていた1990年代後半頃の空気感も思い出しました。
映画に取り憑かれた世界観で生きている人々が社会性に対峙する危うい姿のようなもの。
映画狂少年たちの空気感のようなものです。
映画狂少年が、映画の登場人物になりきって、映画から出られなくなったりして。
なんとも気恥ずかしい、その気恥ずかしさに共感し、愛情を感じます。
■年上の映画狂友人の記憶
私には、この映画に出てくるような、映画狂な年上の友人がいました。
その人は、90年代半ばの頃に、まだ白黒テレビを使っているような、ちょっと時代から外れた人でした。
一方で映画に対してピュアな愛情を持っていて、とめどなく映画について話したものです。
たくさんのノワール映画やロックも教えてもらいました。
ただ、どこか対人関係に狂気を感じるところがありました。
【タクシードライバー】のトラビスのような。
ほどなくして、私たちは映画制作について喧嘩してしまい、それきりとなりました。
あまりにも純粋な人だったように思います。
私は【さらば映画の友よ】を観て、この年上の友人を思い出しました。
今でも、彼の映画評の数々の言葉を思い出しますし、感謝しています。
■青春の鈍いギラツキ
これからも、この映画は何度か観ることになるでしょう。
今でも私は映画を撮りたいと思っていますし、この映画を観て、映画の中のスクリーンに映るドスのようなギラギラとした熱いものが心の奥から浮上してきました。
とても大切な映画になりました。
ちなみに、私は高倉健の【昭和残響伝】が好きです。
■予告編
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