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未来を考えると不安になるのはなぜ? 『インサイド・ヘッド2』

8月1日(木)公開 全国ロードショー

■あらすじ

 高校入学を控えた13歳のライリーは、視察に来ていたアイスホッケー強豪高校からコーチから、休み中の強化キャンプへの招待を受ける。チームメイトで親友のブリーとグレイスも一緒だ。ここでコーチに好印象を持ってもらえれば、チームのメンバーになれるだけでなく、スポーツ奨学生の資格も得られるかもしれない!

 同じ頃、ライリーの頭の中では大変なことが起きていた。突然「思春期」のアラートが鳴り響いたかと思うと、大勢の工事スタッフたちが感情の操作盤を新しいものに付け替えてしまったのだ。そして現れたのが、新しい感情たち。何かと先々のことを先回りして気にやむシンパイ。他人のものを欲しがるイイナー。人見知りのハズカシ。面倒くさがりのダリィ。

 新メンバーのシンパイは、それまでヨロコビたちが作ってきたライリーの感情の花を投げ捨てる。これに抗議したヨロコビたち古顔の感情たちも、シンパイの手で追放されてしまうのだった……。

■感想・レビュー

 2015年に公開されたディズニー・ピクサーの長編アニメーション映画『インサイド・ヘッド』の続編。9年ぶりの新作だが、前作で11歳だったライリーは13歳になっている。劇中の時間と現実の時間がまったく不整合だが、このあたりは登場キャラクターが年を取らない、アニメーション映画だから許される時間の処理だろうか。

 僕は映画を基本的にその時々の一回しか観ないので、前作『インサイド・ヘッド』を観たのも9年前の一度きり。内容はほとんど忘れているのだが、これは「頭の中のさまざまな感情が擬人化されている」というアイデアだけ覚えていれば、一応困ることはないレベルだと思う。

 前作ではヨロコビとカナシミの対立が物語の軸になっていたのだが、今回はヨロコビたちを追放したシンパイがヴィランのような役回り。しかし前作がそうであったように、これは頭の中のある感情が良いとか悪いと言っているわけではない。

 人は成長する中で、物事をその場その場の感情では判断することをやめる。過去の経験や知識を元に、未来のことを理性的に推論し、適切な行動を合理的に選択することを覚える。それは人間にとってごく自然なことだが、ならばなぜ今回新登場のキャラクターは「カンガエル」や「リセイ」ではなく「シンパイ」なのだろう? それは人間がいくら理性を働かせても、未来のことはわかりっこないからだ。

 人間に未来のことはわからない。しかし人間は、そのわからない未来を考えてしまう。そこから生まれるのが、不安であり心配だ。人間は先々の不安や心配をなるべく少なくしようと考え、結果として不安や心配を余計に増やしてしまう。不安だから未来を考え、未来を考えてますます不安になる。これが暴走しているのが今回のライリーだ。

 ライリーの不安の暴走は、未来に不安を感じている現代人の自画像でもあるのだ。だがそれをどう解決すればいいのかは、映画を観てもよくわからなかった。

(原題:Inside Out 2)

TOHOシネマズ日比谷(スクリーン9)にて 
配給:ディズニー
2024年|1時間36分|アメリカ|カラー 
公式HP:https://www.disney.co.jp/movie/insidehead2
IMDb:https://www.imdb.com/title/tt22022452/


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