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裏拳の幸福

息子と同じ布団で寝るのは初めてだ。
おうちではベッドインベットで寝ているから。
息子との入院生活3日目、ちょっと慣れて来た。

ベッドの脇にパイプ椅子があるけれど、長時間座っているのは疲れるし抱っこもしにくい。なので日中も基本的に息子と一緒にベッドで過ごしている。

熱が下がった息子。点滴に繋がれた左手の装備は少し痛々しいけれど、平常どおり眉尻を下げて眠るようになった。気持ちよさそうに。

私も一緒に眠るときは、ベッドのなかでなるべく息子と距離をとる。でも起きている間は息子のすぐ右横に、目線の高さを揃えるように寝転がる。

シームレスに息子と横並びになるだけで、抱っことはまた違う一体感が感じられる。息子をひとりじめしている感じ。普段だって実質ひとりじめ状態なのに、改めてそれが強く感じられるなんて不思議だ。

その並びで息子が起きていると、ほぼ100パー彼の裏拳を顔にくらう。赤ちゃん特有に、両手をW字にしてパタパタと動かすのだ。これが結構いたい(笑)鼻の上に裏拳がくることが多い。たまにアッパーもある。

至近距離で横になっていたらそりゃそうなるのだけれど、離れがたくて動かないようにしている。
点滴に繋がれていないほうの、白ぱんみたいなふくふくの手の甲が繰り出す裏拳。ちょっと痛いけど、くらい続けたいのだ。

痛いやーん、手加減してくださいよ〜。
私が伝えても我関せずを貫き、小さな手は私の顔を上から下からパンチする。
このセットを何度も何度も繰り返す。

この裏拳も、そのうちもらえなくなるのだな。
息子のまつ毛がしばたくのを、横から眺めながら思う。

これからずっと嬉しさと寂しさを引き連れて、彼の成長を追いかけていくんだろう。

早く退院しような。またいっぱいお散歩しような!


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