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nkamiya
【読書感想文】ルドルフ・シュタイナー著、高橋巖訳『ゲーテ主義:霊学の生命の思想』春秋社
いよいよ私のゲーテ自然学趣味も高じ、ルドルフ・シュタイナーの領域に入ってきた。シュタイナーの言うことは難しい。霊の領域に踏み入っていることもあるし、抽象的なことを言っているからだ。だが、ゲーテの自然学に関して言っていることは、割とわかりやすくて、悪しきプラトン主義が、理念と経験の領域を切り離してしまった。ゲーテはそこにかけ橋しようとした。そう言っているように見える。あまりにも身もふたもない言いようかもしれないが。私自身は、霊ということになると、個人の内面は自由だから、個人の信仰に任せればよいと思っている。そして、ゲーテの自然学を、シュタイナーほどオカルトっぽくとらえる必要もないと思っている。ゲーテの自然学は、自然の全体を、生き生きとした有機体としてとらえ、自然の命を殺すような分析的な機械論的自然科学ではなく、自然をその生ける姿のままにとらえようとした、美学的・芸術学的な自然学であると。私の師はかつて言った。ゲーテの自然学は、ゲーテの芸術における美学的論拠であると。私はその是非を知らないが、ゲーテの自然学が、ゲーテの文学に大いに関係していることは、確かである。これを読むと読まないでは、ゲーテの文学に対する理解もだいぶ異なってくるだろう。シュタイナーとはだいぶかけ離れてしまったが、私はオカルト主義者ではない。ただ、ゲーテの自然学を愛した、その姿勢には大いに共感できると思った次第である。