【読書感想文】いとうせいこう『ボタニカル・ライフ』
NHKの深夜ドラマ植物男子ベランダー(田口トモロヲ主演、season2が2年ほど前に終わった)の原作。芸人活動もしている作家いとうせいこうの、狭いマンションで育てる以上、ベランダを活用するしかない、都会の中産階級の、ちょっと切ない植物生活を、毒舌もまじった自虐で面白おかしく描いたエッセイ。ドラマの田口トモロヲだと、とぼけた気の弱いおじさんといった風だが、原作は、もっと自意識が強く、ゴツゴツとした感じ。また、描かれているのは、いかに育てるのが大変かということと、買ってくるそばから枯れていく、という奮闘と失敗の体験談である。枯れる話の繰り返しばかりなので、かわいそうだと思いつつ、いとうせいこうのしょげ方のかわいさと、そこから引き出される哲学や処世訓がかなり面白い。いとうせいこうって、文学者だったんだ!と新たに発見した次第