【読書感想文】斉藤斎藤『人の道死ぬと町』
NHK短歌の講師を務めるなど、著名な現代歌人、斉藤斎藤の第2歌集。作品を書いた年毎の編年体になっているのだが、最初は第1歌集に比べて、あまりにも自由な読みぶりについていけないと感じた。だが、2013年の、一連の原爆と原子力を題材とした、詞書きの多い作品は、文学の社会性に自覚的な、責任を十分覚悟している歌人の発言として、かなり読みごたえがあった。政治性に傾くと、時に文学性が犠牲になりがちだが、あくまで「私」性を捨てていないところがさすがだと思った。常に言語の限界と戦っているようなところも、真面目な芸術家なんだなと、感動させられた
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