マガジンのカバー画像

心のnote|エッセイ・創作

47
「きっと、誰にも、聞こえない。」 そんな心をふと、垣間見る。
運営しているクリエイター

#体験談

泣けない私は、空を見る。

昨日、祖母が、亡くなった。

祖父、親戚のおばさん、
飼っていた3匹の犬やハムスター。

たくさんの死と向き合ってきた。

それなのに、ペットで泣けて
人では泣けない。

傍から聞けば、なんて不幸者なのだろう。

初恋の人にフラれた時の方が
よっぽど涙腺が緩かった。

涙は、どこから来るのだろうか。

「なんでかわからない」のが一番怖い。

「なんでかわからない」のが一番怖い。

「最初から勉強。じゃなくていいんです。 
話し相手になってくださったら。」

家庭教師として行ったご家庭からの言葉。
受け持つ彼は不登校。

僕はコミュニケーションが苦手だ。

翌日から、授業を始めた。

「なんでかわからないんです。」

どこかマイナスの気を帯びていた。
けれども人間不信という感じでもない。

きっと、彼はゆでガエル。

ゆっくりと、しかし、着実に
心を蝕ばまれていく。

もっとみる
水没。

水没。

 ふと顔を上げると、ポツリと頬を濡らす雫。降水確率はゼロ。
知らず識らずのうちに緩み、軋んだそれは、音もなく崩れ落ちた。

昨年の僕だ。

突然、周りの酸素が全て蒸発した。
震えて発信ボタンを押せない人差し指は、この世の何よりも速い。

胸を焦がすガスバーナーの、上ネジは硬く閉じたままで。

瞼を押しのけた先に映る夕飯の残りは、もうすでに亡くなっていて。
風を切る車輪はいつも右へ右へと流れていく。

もっとみる
僕には気持ちが込めれない

僕には気持ちが込めれない

あるとき、サークル活動の一環で
伝言ゲームならぬ、伝顔ゲームをした。

教育大らしい、部室の一室。

地域の子どもたちと関わるだけあって
ユニークなゲームをいくつも知っている。

お題は「笑顔」

最初だからというのもあるし、
他のどの顔よりも楽しくないわけがない。
アイスブレイクにはもってこい、

のはずだった。

列の最後の子らの答える声に
不協和音が混じる。

「真顔」

誰しもが目を疑

もっとみる