フリーライター歴7年。今もこの仕事ができるのは、ずっと続けてきたから。
毎春、僕には決まって思うことがあります。
「フリーライターを続けてきてよかった」
「フリーライターを続けられる環境に恵まれたことがありがたい」
僕がライティングを生業にし始めたのは、2015年の夏のことでした。しかし、やる気はあっても、自営業として自立できるための能力も戦略も資金もなかったことから、翌2016年からは一気に生活苦に陥りました。
実はその頃、僕は新婚真っ盛りでもあったことから生活を第一に考え、翌2016年3月、僕はフリーライターを諦めて就職する決意を固めました。「フリーランス、いったんやめます」というタイトルでブログに当時の心境を綴っています。
しかし、2023年4月8日時点で、僕は「書く仕事」を楽しんでいます。どんな状況にあっても、書き続けてきたからこそ得られた仕事があり、出会えた人もいました。諺にある「継続は力なり」は本当だなと強く感じています。このnoteでは、僕が思う「続けることの大切さ」を書いてみます。
フリーライターになったのは、成り行きだった
自営業を選ぶ人の多くは、そのために相当な準備をするはずです。雇用される働き方ではなく、自分の名前と自分の能力で生きる道を選ぶわけですから、備えを固めるのは当然です。
ところが、僕はなんの準備もしないまま、自営業をスタートしました。なぜなら、僕が「雇用される働き方」→「自営業」に移行したのは、まったくの成り行きだったからです。国語事典で「成り行き」を引くと、「自らの意志を強く持たずに、物事の動きや結果に身をゆだねること」とあります。長い人生、たまには成り行きで物事を進めてもよいでしょう。でも、「働き方をそれで決めてしまっていいのか自分!」と、過去の自分にツッコミを入れたくなることがあります。
なぜ成り行きで自営業を始めることになったのか。簡潔にご説明すると、広報PRを専門に取り組むために転職をしたのですが、入社後まもなく体調が悪化。就業の継続が難しくなったため、入社後3週間で退職をしてしまったからです。31歳、無職。人生に絶望しました。詳しくはこのブログで書きました。
1Kの一人暮らしの部屋で寂しく療養をしていたとき、「体が楽なときに書いてみたらどうですか?」と知人から声をかけてもらって始めたのが、ライティングでした。フリーランスで文章を書く仕事に就こうだなんて少しも考えたことはありませんでした。「まあ、とりあえずやってみるか。今できることだし」と軽い気持ちでスタートしました。いわゆる、「いきあたりばったり」です。
備えなしで臨んでボロボロ
準備なしだったとはいえ、会社員時代にプレスリリースを書いたり、紙媒体の制作に携わっていたりしたことから、ある程度の素地はありました。20代半ばには編集プロダクションに通い、社長さんから「自分が書いた文章が、不特定多数に読まれることの怖さ」「文章に責任を持つこと」を徹底的に教わりました。
しかし、自営業として生きていくためには僕の能力は圧倒的に足りなかった。ありがたいことに、駆け出しのライターである僕へお仕事を依頼してくださった方はいましたが、能力不足のため、全力で取り組んでも月収は5万円ほどでした。この収入では家賃も払えません。いや、家賃の支払いどころから、満足に食べ物も買えません。成り行きで自営業を始めたものの、いきなり厳しい現実に直面しました。当然の結果した。
しかも、「雇用→自営業」と働き方を変えた時期に、僕は恋愛と結婚をしました。自分で言うのもおかしな話ですが、正気の沙汰とは思えません。そんな僕を生涯の伴侶として選んでくれた妻には心から感謝しています。妻曰く、「あなたなら大丈夫だと思った」そう。
新婚なのに、僕の月収は約5万円。「図書カード1000円分」を換金し、生活費に充てたこともありました。「このままではダメだ…」生活を成り立たせることを最優先すべく、僕はライティングを諦め就職することにしました。冒頭でご紹介したブログは、そのときの心境を書いたものです。
書き続けるしかなかった
営業職や工場勤務など、あらゆる求人に応募をしたものの、幸いにしてご縁があり、とある企業でネットニュース記者として働くことになりました。一度は「書く仕事」を手放す覚悟を固めていただけに、ライティングの仕事を継続できて自分は運が良いなと感じました。以来、扱うテーマや媒体は変わったもののライティングに携わり続け、2023年度を迎えることができました。気づけば、フリーランスのライターになって、7年が経過しています。
なぜ僕はずっと「書く仕事」をしてきたのか。文章を書くのが好きであることはありますが、一番の理由は「書き続けるしかなかった」からです。当時の僕は家庭を持っており、家計を支える必要がありました。生活を成り立たせることが最優先。新しいことを始めるより、すでに下地のあることを伸ばす方が得策だと考えました。当時の僕が誰かの役に立てることは、ライティングだけでした。
そのときの「最善の判断」を下し続ける
そのときの僕はまるで、アクションゲームの「強制スクロールステージ」をプレイしているかのようでした。強制スクロールステージとは、画面が絶えず動いていて、プレイヤーが立ち止まることが許されないステージのこと。止まったままでいるとプレイヤーは迫り来る画面に押されてしまい、ゲームオーバーになりかねません。直進するなり、ジャンプするなり、敵と戦うなり、瞬時の判断を下してなんらかの行動をしないといけません。たとえその判断が、後から振り返えると適切ではなかったとしても構わない。そのときの最善の判断を下し、行動し続けるしかないのです。とにかく、書く。それだけでした。
原稿が書けない、仕事がなくてお金がピンチ、一向に収入が上がらない。つらいことはたくさんあって、毎日「ライターをやめたい」と思っていた時期がありました。でも、僕は「やめる選択」をとるわけにはいきませんでした。冷静に考えれば、お金があまりない状態で自営業を始め、さらに結婚する選択をした自分が招いた結果ではあるのですが…。しかし、たらればの話をしても状況は変わりません。「あれが嫌だ」「もしこうなったら」なんて愚痴を言う時間とエネルギーがあるなら、少しでも勉強をして、企画を立てて、提案をして、インタビューをして、記事を書くことを選びました。
1年、2年、3年と続けることで、携われる仕事の幅が大きく広がった
ゲームの強制スクロールステージのプレイヤーのようだった僕の状況は、見方によっては、周りに振り回され人生の手綱を握っていない、ともとらえることができます。たしかに、「自由に選択できない」環境下で僕はプレッシャーを感じました。このnoteを書いた2023年4月8日に僕が思うのは、「ライティングを続けてきたよかった」ということです。なぜなら、「書く仕事」を続けたことで、様々な経験をするチャンスを手にできたからです。
たとえば、
これらはすべて、ライティングを続けたからこそ体験できたことなのです。
結果として、僕がライティングをスタートしたときには関わることができなかった仕事をできるようになりました。最初はグルメライターとして飲食店を取材していましたが、その後は経営者に働き方について話を聞くようになりました。2017年6月に子どもが生まれてからは、子育てをテーマにした記事執筆をするようになり、媒体はウェブのみならず新聞や販促物といった紙媒体に及ぶようになりました。ライティングを1年、2年、3年と続けることで、携われる仕事の幅が大きく広がったのです。
うまくいくまで、やめない
もちろん、どうしても合わない、別のことをした方が自分も周りも幸せになれると感じた場合は、今やっていることをやめるほうが良いと僕は思います。「何がなんでも続けないといけない」なんてことは、ありません。
しかし、もしあなたが今やっていることが好きで、何かしらの目標があるのであれば、たとえつらいなと感じても続ける道を選んでみてほしいと僕は思います。誰しもつらいのは嫌です。でも、たとえ今やっていることとは別の道を選択したとしても、つらさを感じるときがやってくると思います。どうせつらさを味わうのであれば、大好きなことで経験するほうが面白い。それが僕の考えです。
僕はこれまで、何かの分野で実績をあげた方々へのインタビューを通じて、「どんなことをしたのか?」を聞いてきました。しかし、成果を出すための行動は人によってまちまちで、再現性がないこともあります。たとえば、「○○を学ぶのに300万円を出した」なんて言われても、預金がなければ実行に移せません。また「20代のうちに何でもやってみることです」と言われても、今40代の人にはどうしようもありません。
でも、ここでちょっと視点を変えて、何かで実績をあげた人の行動を眺めてみましょう。すると、誰でも、今すぐにできる、とあることが浮かび上がってきます。
うまくいくまで、やめない。
つまり、ゴールに到着するまで、続けることなのです。これであれば、今の自分にお金がなくても、地位がなくても、能力が足りなくても、できるような気がします。
続けることは、簡単ではありません。やめたくなる気持ち、諦めたくなる気持ちと向き合い、それでも「自分はゴールを目指す!」と決めたからできたことなのですから。
やり続けることによって得られることが、きっとあります。
続けることを支えてくれた人がいる
ライティングを生業とし始めた2015年夏からこのnoteを書いた2023年4月7日までの間には、さまざまなことがありました。
それでも変わらず「書く仕事」ができているのは、決して自分の力だけではありません。支えてくれる家族、僕を信頼して仕事を任せてくださるお客さまのおかげです。心から、感謝しています。
お読みくださり、ありがとうございました。
薗部雄一
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