供述によると編集者は……死にかけの自我を救いたい
Lilyの供述によると、ある番組の収録が終わったあと、バカリャウのコロッケをつまみに冷えた白ワインで乾杯した私たちはご機嫌だった、という。外はしつこく雨が降っていて、東京の夏特有のアスファルトから立ちのぼる湿気が邪魔をし、とてもポルトガルの様というわけにはいかなかった。
『供述によるとペレイラは……』(アントニオ・タブッキ著/須賀敦子訳)のポルトガルらしい陽光降り注ぐ暑い広場で、ペレイラが食事を取るあまたの場面の微細な描写が好きな私たちは、少し残念に感じてはいたが、それより