“原稿修正”に対する適切なマインドセットの組み方。
こんにちは!エディnote!編集部の堀田です。
突然ですが、原稿修正に心を揺さぶられてはいませんか?
意図せぬ修正指示をいただいた際の、ライターあるあるかと思います。
うろ覚えですが『3月のライオン』という将棋のマンガで、「かけた時間の分だけ負けるとくやしいので、進めば進む程くやしくなる」というシーンがありましたが、まさにそれ。
一生懸命書いた原稿であればあるほど、意図に反する修正指示を受けるとかなり心を揺さぶられますよね。修正=負けという訳ではないですが。
一方で、日々たくさんのライターさんと接するなかで、「修正を適切に反映できる」という方ほど重宝する面も。反対に、「修正を適切に反映できない」というライターさんは"もったいない”と感じたりもします。
そこで今回は、自戒の念を込めて「“原稿修正”に対する適切なマインドセットの組み方」について考えていきたいと思います。
(私も予期せぬ修正を受けた際、この記事を読み返します!)
1.ディレクター・編集者から受ける原稿修正
まずは、ディレクター・編集者から受ける「修正指示」の例を洗い出していきます。
絶大なダメージをくらうのは「全体的に見直してください」ですね。
「具体的にどこを?」と即レスしそうになります。
これらの修正指示を受けた際に、ライターとしてどのような姿勢であるべきなのか考えていきます。
◯「全体的に見直してください」という指示の裏側
まず前提として、「全体的に見直してください」という修正を出す側の心理を考えてみましょう。思考のステップとして、以下の流れを予想できます。
かなり雑ですが、このような流れが多いのではないでしょうか?要するに、「細部までしっかり読み込んでいない」というケースが考えられます。
(もちろん「読み込んだ上で」のケースもありますので、そこはご容赦ください)
◯「全体的に見直してください」に対する適切なマインドセット
ディレクター・編集者の心理を分析すると、ひとつ答えが見えてきます。彼ら・彼女らが指示している「全体的」と言うのは、極めて「アバウト」だということ。これを心の盾に、まずは仮説を立てる準備をしましょう。
例えば、「ターゲットにマッチしてしていない」という指摘があったのであれば、読者像・ペルソナをしっかりと見直してみましょう。
例えば、「文章が冗長的で、散文的」という指摘があったのであれば、蛇足だと思われる文章がないかどうか確認してみましょう。
例えば、「文章のテンションが高いor低い」という指摘があったのであれば、過去記事やベンチマークをもう一度見直してみましょう。
「意図と違う」と感じさせてしまった要因の仮説を立てたら、該当する箇所を洗い出して修正していきます。修正の粒度にもよりますが言葉の通り「全体的に修正する」のではなく、あくまで該当箇所のみでOKかと思います。
「全体的」という言葉にとらわれるのではなく、建設的に原因を洗い出すことが重要。アバウトな修正が入るということは、往々にして「しっかり読んでいない」「どう修正してもらえば良いか分からない」ということですので。
一方で、上記で挙げた「情報」「KW(キーワード)」「文字数」「一文の長さ」「統一表記・執筆ガイドライン」に関する修正。これらは粛々と修正するのが良いかもしれません。次回から、繰り返し同じ修正を受けないように注意してくださいね。
2.クライアントから受ける原稿修正
ディレクター・編集者のチェックを経て、原稿をエンドクライアントへ提出。すると、次のような修正が入ってきます。
これらのレビューを受けて、決して「文章を分かってない!」と憤慨しないようにしてくださいね。クライアントは「プロの仕事」を求めて発注しておりますので。
◯クライアントが原稿をチェックする際の視点
クライアントは文章のプロではありません。編集者・ディレクター・校閲者が文章をチェックする際と視点が異なるのは当然です。では、原稿を目の前にしてどのような心理が働いているのでしょうか。
クライアントは文章そのものではなく、本質的には「文章の先にあるもの」に価値を感じていることでしょう。その先とは、ブランディング、認知拡大、セールス、売上などに置き換えることができます。
語弊を恐れずに言えば、文章に対する「最終的な責任」はクライアントにあるため当たり前のことかもしれません。
◯「クライアントの原稿修正」に対する適切なマインドセット
まず、心に留めておいた方が良いのが先ほども書いたこちら。
ですが、クライアントも分野は違えどプロとしての領域で仕事をしてます。言葉にできないことを表現するライターであれば、クライアントの土俵でも力を発揮できると良いですね。
例えば、「表現が大げさ」という指摘があったのであれば、ドラスティックに書いた言い回しをいま一度見直しましょう。
例えば、「内容が表面的で薄い」という指摘があったのであれば、専門用語を適切に使えているか、本質を見誤っていないか見直しましょう。
例えば、「文章が長い」「体言止めを使わないで」と言われたら、これまでクライアントが発信してきた文章とトーンが乖離していないか確認しましょう。
以前に製造業の会社の偉い方をインタビューした際に、「イノベーティブに開発した製品は誰にも正解が分からない。だから、実際に使ってもらって調整を重ねていく」と話していました。もしかすると、文章も同じかもしれません。
純粋な「はじめての読者」であるクライアントのレビューを受け入れ、チューニングを重ねて納得してもらえる文章をつくっていきましょう。
3.校閲者から受ける原稿修正
細かい文字でビッシリ書かれた怒涛の校閲指摘。私もPDFを開いて気絶しかけたことが何度もあります。
他にも、あらゆる校閲指摘が赤字で入りますね。欄外に大きく「統一表記・執筆ガイドラインを確認してから提出してください」と書いてくださったこともありました。それを見て、なんとも言えない感情が襲ってきます。
◯「校閲指摘」に対する適切なマインドセット
私はライターとして、編集者として10年にわたり校閲に向き合ってきました。
あくまで個人的な意見ですが、これに尽きます。
ライターとして、「誤植を防ぐ」ことは何より大事ですよね。その防衛地点に立ってくれているのが校閲者です。これまであらゆるコンテンツで、何度も校閲指摘に助けられてきました。
誤植以外にも、文章の品質を上げるために校閲者は欠かせない存在。文章をチェックするお仕事をしていますので、「指摘や疑問をたくさん出してくれる人」ほど優秀な方なのかもしれません。
ただし、「無感情ですべての指摘を反映する」のは避けてくださいね。事実確認、前後の文脈確認を行った上で、校閲を参考にしながら文章をブラッシュアップしていきましょう。
4.”原稿修正”に対する適切なマインドセット
理解できない修正が入った際に、「指示を出した方に直接、修正の意図を聞いてみましょう」というアドバイスをtwitterなどで見かけます。
こういった形ですかね。ただ、それが分からないから文章のプロにお任せしているという側面もあると思います。
もちろん関係性によってはアリかもしれませんが、今回の記事で考えたいのは「修正の本質を見極めることができているか」ということ。「悪くしてやろう!」と思って修正を出す人などいないはずなので、ひと呼吸置いて、まずは自身で最適解を探す努力をすると良いのかなと思います。
どうしても意図の確認が必要であれば、修正案を用意した上でコンセンサスを図るとスムーズかもしれません。
最後に余談ですがあの村上春樹も、何かの小説でこう書いていました。
(これもうろ覚えで…。ごめんなさい!)
修正はスキルアップのチャンスだと思って、前向きに取り組めるよう一緒にがんばりましょう!それでは!!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?