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芥川賞と直木賞を当てたいんじゃ・・・。【第172回】
1、はじめに
やってきました1月15日。明日は本好きがソワソワする日です。
そう、芥川賞・直木賞の発表日でございます。
わ〜〜〜〜〜〜〜〜〜い!!!\\\\٩( 'ω' )و ////
待ってましたよ!!!この時を!!
自称・本好きの私、前回の芥川賞・直木賞の予想を立ててみたものの、
見事大ハズレしました。
それは等しく全ての作品が素晴らしかったことが理由なのですが、
折角なら選考委員の方々と思考を共有して見事受賞作を当てたいと沸々と思っていたのです。
そして時を経て明日、遂に芥川賞・直木賞が発表されます。
今度こそ当てられるかどうか、この半年の自分の力試しです。
どうかただの1社会人が一人で頑張る様を、優しく見守っていただけますと幸いです。
▼前回のチャレンジはこちらです。
2、芥川賞・直木賞って何?
というわけで、改めて芥川賞と直木賞とはというところを学び直したいと思います。
芥川賞とは?
芥川賞(正式名称は芥川龍之介賞)は、1935年に芥川龍之介を記念して創設された文学賞のことで、新人作家による純文学の短編~中編作品のなかから選ばれます。
もっとも優れた純文学を書いた新人に与えられる賞のことです。
純文学とは、「文体の美しさ」や「表現の美しさ」を重視した、いわゆる芸術性の高い文学のことを指します。
直木賞とは?
直木賞(正式名称は直木三十五(なおきさんじゅうご)賞)は、1935年に芥川賞とともに創設されました。中堅やベテラン作家による短編~長編の大衆小説のなかから選ばれます。
もっとも優れた大衆文学を書いた人に与えられる賞のことです。
大衆文学とは、読者が作品を読んで「楽しい」と思えるようなエンターテインメント作品のことをいいます。
例えば、推理小説やSF小説、恋愛小説のほか、冒険小説などがそれに当てはまります。
前回は「芥川賞は純文学(文体や表現が美しい小説)、直木賞は大衆文学(娯楽性の高い小説)」という認識で選びました。
ただそれだけでは足りない。。
前回である171回の選評を拝読したところ、直木賞については娯楽性の中にも高い文章表現が、
芥川賞は難しいテーマへの挑戦や敢えてシンプルにすることによる愚直さを評価しているのではないかなと思いました。
(芥川賞は正反対の2作ということで話題を読んだのでなんとも言えないのですが・・・。)
▼第171回直木賞選評
▼第171回芥川賞選評
ううん、、分からん、、、。。
評価基準が更に分からなくなってしまったのですが、今回は選評を参考に、
芥川賞は「テーマ性と読みやすさの共存した作品」、
直木賞は「娯楽性の中にある文章表現」を意識していこうと思います。
3、芥川賞ノミネート作品と感想
続きまして、芥川賞ノミネート作品の紹介と感想です。
個人的に読んでみた感想をつらつらと書いておりますので、お時間ある時にお読みいただけますと嬉しいです。
※例の如くできるだけネタバレをしないよう心がけますが、バレてしまったらすいません!!
〜〜〜ノミネート作品〜〜〜
・安堂ホセ『DTOPIA(デートピア)』(文藝秋季号)
・鈴木結生『ゲーテはすべてを言った』(小説トリッパー秋季号)
・竹中優子『ダンス』(新潮 11月号)
・永方佑樹『字滑(じすべ)り』(文學界10月号)
・乗代雄介『二十四五(にじゅうしご)』(群像12月号)
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
▼参考
・安堂ホセ『DTOPIA(デートピア)』(文藝秋季号)
恋愛リアリティショー「DTOPIA」でミスユニバースを巡ってMr.LA、Mr.ロンドンなど十人の男たちが争う中で、
ミスター日本である「お前」を通して、多様性とは何かを教えてくれる作品です。
自分の魅せ方に対して過剰に周りの目を意識しすぎるのは良くないと思いつつ、
ブランディングに対してストイックになれるのはある意味尊敬するなと思いました。
・鈴木結生『ゲーテはすべてを言った』(小説トリッパー秋季号)
ゲーテの研究者である主人公が家族で訪れたレストランで見つけた引用不明のゲーテの言葉。
その言葉の原典を探る過程で創作とは何か、学問とは何か、という深遠な問いを投げかけてくれる作品です。
事前知識が必要な作品だなというのが印象ですが、研究者の苦悩が分かって新しい発見になりました。
・竹中優子『ダンス』(新潮 11月号)
会社の欠勤を繰り返す先輩、その理由は婚約を約束していた同じ部署の彼氏に振られ、後輩の女と付き合っていたから。
人生のめくるめくあれやこれを軽やかに教えてくれる作品。
人生はタイミングが大事なのだなと改めて教えてくれました。
・永方佑樹『字滑(じすべ)り』(文學界10月号)
話す言葉や文字の表記が訓読みのひらがなのみになるなど表現が乱れる「字滑り」が局所的に発生する世界。
それぞれの観点から「字滑り」に興味を持つ3人がとあるホテルに集い、現象に迫っていくお話です。
不意に本を読んでいても発生する現象を災害として大々的に展開していく発想が斬新でした。
・乗代雄介『二十四五(にじゅうしご)』(群像12月号)
実家を出て二年、作家になった二十四五の私は弟の結婚式に参列するため、仙台に向かっている。
五年前に亡くなった叔母の痕跡を求めて、往復する時間の先にあるものとは。
自分の知っている漫画作品が出てきたので、世界観がイメージしやすく、穏やかで静かに葛藤する人々の心情描写が心地良かったです。
4、直木賞ノミネート作品と感想
直木賞ノミネート作品の紹介と感想です。
個人的に読んでみた感想をつらつらと書いておりますので、お時間ある時にお読みいただけますと嬉しいです。
※こちらもできるだけネタバレをしないよう心がけますが、バレてしまったらすいません!!
〜〜〜ノミネート作品〜〜〜
・朝倉かすみ『よむよむかたる』(文藝春秋)
・伊与原新『藍を継ぐ海』(新潮社)
・荻堂顕『飽くなき地景』(KADOKAWA)
・木下昌輝『秘色の契り 阿波宝暦明和の変 顛末譚』(徳間書店)
・月村了衛『虚の伽藍』(新潮社)
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
▼参考
・朝倉かすみ『よむよむかたる』(文藝春秋)
小樽の古民家カフェ「喫茶シトロン」で20年間実施している、高齢者が集う読書サークル。
叔母に変わって「喫茶シトロン」になった20代の主人公が読書サークルの老人たちと交流する話。
お茶目で心温まる一方、人は結局死に抗えないのだなと切なくなりました。
・伊与原新『藍を継ぐ海』(新潮社)
なんとかウミガメの卵を孵化させ、自力で育てようとする徳島の中学生の女の子。老いた父親のために隕石を拾った場所を偽る北海道の身重の女性。山口の島で、萩焼に絶妙な色味を出すという伝説の土を探す元カメラマンの男――それぞれの人生を描いた短編集。
自分一人の力では難しくてもそれを後世に伝え続けていくことで結実するものもあるのだなと改めて気付かされました。
・荻堂顕『飽くなき地景』(KADOKAWA)
刀に隠された一族の秘密と愛憎を描く物語。
素晴らしい芸術や文化を伝えていくことと、社会を発展させていくことの両立がいかに難しいかを伝えてくれる作品でした。
・木下昌輝『秘色の契り 阿波宝暦明和の変 顛末譚』(徳間書店)
気鋭の作家・木下昌輝が、現代にも通じる政治改革と、経済立て直しを目指す藩主と家臣の奮闘を描く。
ごめんなさい・・・。本当に情けないことにこれだけ時間の関係で読めませんでした・・・。(全力土下座)
・月村了衛『虚の伽藍』(新潮社)
腐敗してしまった自らの宗派を建て直そうと奔走する若き僧侶の物語。
自らが若い頃は野望に満ちていたはずなのに、気付かぬうちに闇に染まっていく様子が、いつか自分にも起きてしまうのかもしれないと恐怖を覚えました。
5、予想、ズバリ
芥川賞と直木賞の感想を踏まえたうえで、ズバリ予想です。
これまたいずれの作品共にめちゃくちゃ面白かったので、、、あくまで予想です、、、!!
芥川賞(予想)
・竹中優子『ダンス』(新潮 11月号)
理由:
当初の自己解釈した選定基準「テーマ性と読みやすさ」から、この小説が圧倒的に読みやすかったです。
テーマ性についても当たり前の日常を描いているようで、それが、
全てダンスを踊るように紆余曲折していくという新たな視点で描かれていたので選びました。
直木賞(予想)
・朝倉かすみ『よむよむかたる』(文藝春秋)
理由:
「娯楽性の中にある文章表現」という自己解釈の選定基準ですが、登場人物である老人たちがいずれも個性豊かな語り口調で読みながら混乱することがありませんでした。
また、人はいずれも一人であり、生きるうえで永遠はないという当たり前でありながら、真理ともとれる気づきを教えてくれたので選びました。
(個人的には、『虚の伽藍』がベストです。こちらもとんでもなく骨太で面白かったです。)
6、終わりに
どうか、、、1つでも当たっていますように!!!!
そして今回もまた、どの作品も素晴らしかったです。
どうやったらこんなに素敵な文章を紡げるのでしょうか・・・。
今回己のスケジュール管理が至らず全巻読破ができなかったのが悔やまれるのですが、
ぜひたくさんの方と本の感想を共有したいです!!
それでは明日の発表楽しみましょう!!!リベンジ!!!
※追伸(2025/01/15)
芥川賞、直木賞発表されましたね!!
芥川賞は、
・安堂ホセ『DTOPIA(デートピア)』(文藝秋季号)
・鈴木結生『ゲーテはすべてを言った』(小説トリッパー秋季号)
直木賞は、
・伊与原新『藍を継ぐ海』(新潮社)
んんん、今回も外してしまいました・・・。
難しい・・・。
選考委員の方々の見えている世界と自分の世界はまだまだ違うなと思ったので、
引き続き精進していこうと思います。
ではまた次回!!!!半年後にお会いしましょう!!