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#017 地域経済の活性化のポイントは”輸入置換”!観光でも重要な原理原則!

ポッドキャスト(voicy)の中で、私の一押しがRe:gion Radio(リージョンラジオ)である。MCの瀧川奈津希さん、ナビゲーターの木下斉さん、呉琢磨さんの軽快なトークがたまらなく面白い。また、学びが多く、無料であるが、30万円以上の学費を払っても聞く価値がある。

”輸入置換”というワードは、Re:gion Radioで初めて聞いたが、ジェイン・ジェイコブス氏の本「発展する地域 衰退する地域:地域が自立するための経済学」に出てくる。かつては輸入していた製品やサービスを、域内供給に切り替えることである。例えば、自動車。もともと、海外で生産されていたが、トヨタ自動車が国内で独自開発をするようになり、今は海外に輸出し、外貨獲得に大きく貢献している。また、ファスナーで有名なYKKも、かつてはアメリカ製のマシンを輸入していたが、創業者の吉田忠雄氏が、もっと質の良いファスナーをつくれるマシンを自社開発し、世界的な企業に成長している。
今回は、観光分野での輸入置換について掘り下げたい。

1.観光分野の地域レベルの輸入置換

まず、お土産について触れたい。令和5年度の鹿児島市の観光消費額調査によると、日本人1人1泊あたりの観光消費額は24,600円でうちお土産代は4,700円で約20%。大きな割合を占めている。ただし、お土産は、製造元を確認すると、県外の会社になっているものが多々ある。
この場合、いくらお土産の売上が上がっても、域外に売上が流出するため、地域経済への貢献度は限定的となる。
県内でお土産をつくるための工場などのサプライチェーンを整えることができれば、地域経済循環の向上を図ることができる。

次にホテル誘致。日本全国でシェラトンや東横イン、アパホテルなどがチェーン展開されている。ホテルが増えると、域内の観光消費額が増えるなどメリットが多いが、本社がある域外にお金が流出するのも事実である。

鹿児島に私が尊敬するリゾートの創業者がいる。田島健夫氏だ。田島氏は、1994年より自ら竹山を開墾し、2004年に、鹿児島県の霧島連峰を見渡す丘の頂に、豊かな自然の中で五感を開放するリゾート「天空の森」をオープンさせた。海外のホテルチェーンを誘致するのではなく、自ら長い月日をかけて、造り上げている。これも輸入置換である。

2.観光分野の組織レベルの輸入置換

観光分野でも、DMO(観光地域づくり法人)や行政、地域商社などのレイヤーで輸入置換ができる。

特に行政は、担当者が人事異動で2年から4年の周期で配置転換になるため、観光計画の策定から観光プロモーションまで、旅行会社やコンサルティングファーム等に業務委託することが多い。

この場合も、担当者に輸入置換をする気概があれば、観光計画の策定のやり方などは、コンサルティングファームから学び、自分達でベースとなる手順書をつくることで、次回以降、自前でやることは可能である。

観光プロモーションやコンサルティングができるようになれば、地域内外の事業者等から業務を請け負い、組織の自主財源を増やすことも可能である。

特に、一定の数のプロパー職員がいるDMOであれば、人事異動で人材がいなくなることもないので、さらに輸入置換はやりやすいと思う。

3.観光分野の個人レベルの輸入置換

個人レベルの輸入置換もある。自治体職員がDMOで働くには、マーケティングやマネジメントに関する知識が圧倒的に不足している。

最初は、本やeラーニングを通じて、お金を払って学ぶ必要があるが、それだけでは、知識を輸入しているだけである。

これも、発信者側に回ることで輸入置換できる。まず、勉強したマーケティング・マネジメントの理論を外部講師に頼ることなく、同僚に伝えることができる。教える側に立つと、理解も深まる。

DMOは、マーケティングデータを活用して、地域の観光事業者が稼げるよう伴奏支援するのが主な業務である。どうしたら真に事業者に貢献できるデータを提供できるか、我々がもがき苦しんでいることをnoteで発信できる。マネタイズできればこれも輸出である。

4.まとめ

いつまでも輸入してばかりいる地域・組織・人は、付加価値を生み出していないので、衰退に向かっていく。

反対に、輸入置換を行っている地域・組織・人は、着実に発展していく。
NO輸入置換”・NO地域発展である。

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