最小限の時間で「しっかり見てくれてる感」を出してゆく
周りの人間への育成・指導は感情面が多分に絡む。下の人間はとにかく上の人に見てもらいたがり、そこが満たされないと不満を抱く。
毎回丁寧に回答していると「確認お願いします」のメールが山ほど来るし、どこまでも細かい質問をしてくる。それこそ「それ答えちゃったらもはや正解教えてるのと一緒では?」というところまで。
社員満足度が叫ばれる世の中なので、この感情を無視するわけにはいかない。当然、自分のミッションもあるので時間は限られている。
とくれば、考えるべきは「いかに短時間でしっかり見てくれてる感を出すか」になってくる。このスキルは仕事の出来をモロに左右する重要事だ。
で、結論から言うと、短時間で最も部下や後輩に満足感を与えられるのは、「相手の気づかなかった視点のコメントを言う」ことである。
横にベッタリとくっついて様子を見守るのは時間がかかる。しかし、コメントはものの数分でできる。そこで尊敬を勝ち得ることができれば最高である。
しかし、相手の気づかない視点でのコメントとは何だろうか。一番簡単なのは「相手よりちょっとだけ高い視座でのコメント」である。
「ちょっとだけ高い」のところがポイントで、あまりにも大上段すぎると「何を非現実的なことを言っているんだ」と"現場をわかっていない"のレッテルを貼られる。
例えば、組織内の内向き思考で考えて袋小路に陥っている人に対して、「君がお客さんの立場ならどう感じると思う?」「何も予備知識のない人の目線だとどうだろう?」と投げかける。
うん、これは初級編だな。使い所を考えておかないと底の浅さがバレる。
中級編はどうか。これは「自分の得意分野の話を混ぜる」が良さそうだ。
私はシステム分野の人間なので、よく使う指摘の言い回しはこうだ。
あと、偉い人が言いがちなのはこんなのもあるな。
複雑怪奇な組織図は、偉い人がこのセリフを言うためなんじゃないか、と穿った見方すらしてしまう。
そして最後に上級編だが、これは「経験則をもとに、本質として感じたところを語る」である。
「名人に定石なし」とある通り、問題を捌く最適な切り口を型にとらわれず導けるのが最上級の職人技である。
その裏付けは結局のところ良質な経験なので、ハウツー本などですぐに身につくようなものではない。
勝利の方程式を解くようなビジネス書は、実のところ初級・中級を語っているに過ぎないのだ。
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