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読書記録:七つの魔剣が支配するVII (電撃文庫) 著 宇野朴人

【激動の祝祭が開幕し、過去に縛られる屍漁りは何を企むか?】


【あらすじ】

キンバリーの機運を占う一大イベント、 決闘リーグの開幕する。
三年生に進級して、著しい成長を遂げるオリバー達は、勝ち進める為に、三人一組のチームを組む事になる。
同学年の中でも最強と目されるナナオらは、他チームから徹底的に注目を浴びて、厳しい戦いを強いられる。

そして、決闘リーグの例年以上に、豪華な報酬と特殊なルールは、教師殺しの犯人を探す為の教師陣が仕掛けた罠でもあった。
生徒を半殺しにしても、咎を受けない教師陣の尋常ならざるを得ない理由。
さらに次期学生統括の座を巡る選挙戦もその影響を受け、権謀術数は渦巻いていく。

そんな中、ユーリィが追跡した「骨抜き事件」の犯人、サイラス=リヴァーモアが動き出す。
予断の許されないキンバリーで、屍漁りの魔人の思惑とは?

あらすじ要約

決戦リーグが大々的に始まり、豪華な報酬と特殊なルールを設けて、一連の教師殺しを炙り出す中、屍漁りの魔人が暗躍する物語。  


危険には相応の見返りがある。
だからこそ、キンバリー生は自らを苦境に置く。
ユーリィが追いかける骨抜き事件の犯人と目されるサイラスは、人骨を集め不穏を企む。
一方で特殊な環境渦巻く決戦リーグで、オリバー達は報酬を求める以上に。
今まで積み重ねてきた己の結実を試す。
この決闘リーグでは、上級生の生徒会長選挙や、学校講師側の思惑が入り交じり。
チーム編成の段階から目に見えない力と欲望が作用する。
三年生に進級して、より高度な魔法修練を会得したオリバー達は内面的にも大きく成長出来た。
それでも、彼らは林檎でいうとまだ、赤く熟す前の青く成熟していない段階。

学んだ力をフルに発揮出来ない事に対して、葛藤も勿論ある。
魔道を極めて、体系的な技術を心得たものの、その魔法の行使に耐えうるだけの身体が出来上がっていない。
しかも、決闘リーグは強者を目の敵にする厳しさや次期総括を狙った権力争いがキンバリーを混沌へと導いている状況。
それでも、研鑽と修練の日々を信じて、闘いに臨むが。
それすらを凌駕する強敵達と、熾烈を極める火花を散らして、鎬を削っていく。

ガイやピートの目覚ましくも、華々しい躍進も注目所ではあるが。
戦力外だったカティ隊や、一度はオリバーに敗れて土を舐めたアンドリューズ隊が思いもよらない成長と知略によって、強敵達を撃破していく中で。
最上級生を遊び半分に手玉に転がすような、余裕と冷静さを兼ね備えた魔法生物学担当の教師、バネッサ•オールディス。
彼女は絶対的な強者を潰す事に快感を覚えていた。
その思考回路は、戦って楽しいか、つまらないかであり。
これ以上、芽が出なくて、つまらないと判断すれば、潰す価値もないと手を引くし。
発展途上で、これから面白くなる相手であれば、育て尽くして、相手の土俵で潰す。
弱者をいたぶるのは趣味ではない。
圧倒的強者が自分の手によって、苦痛に歪む顔が見たいのだ。
それこそが、修羅が渦巻くキンバリーという学院で、今まで彼女が生き残ってきた傲慢な証である。

一方で、実力上位組のナナオとオリバーのチームに、ミステリアスで胡散臭い、正体不明の転校生ユーリィが加わる。
雲を掴むような、胡乱げで怪しげな彼だったが、智力と計略がずば抜けて秀でていて。
奇々怪々な作戦をオリバー達に提案して、強敵達をじりじりと追い詰めて、幻惑するように勝利をアシストする。
復讐に囚われていたオリバーも、自己否定や自己憎悪からの一時的な開放を果たして。
彼の持ち味である冷静沈着さが、思う存分発揮される。
団体戦の相手との相性や、チームプレイの連携の指揮など、率先して最前線に立って、苦境から勝利をもぎ取る。

しかし、そんな白熱の闘いの中でも、オリバーは母の生命を奪った教師陣への復讐も忘れていない。
キンバリー最上級生を赤子の手を捻るように蹴散らした、仇敵の一人であるバネッサ•オールディス。
彼女も必ず、斃す候補の一人。
未だ実力の片鱗を見せようとしない、底が見えない彼女を如何にして、誅殺するのだろうか?

そして、そんな激動の水面下で暗躍する、骨抜き事件の犯人である、不気味な魔人•リヴァーモア。
そんな彼の魔手によって、上級生部門で学生統括のゴッドフレイさえも骨を奪われてしまう。
過去に囚われた彼は如何なる理由と目的を持って、生徒達から骨を抜き取るのだろうか?

激動の祝祭で、それぞれの思惑が錯綜し、このバトルロイヤルの頂点に誰が立つのだろうか?



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