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私の菜食への向き合い方

私は普段から菜食を意識して生活をしているので、一般の人の食べる肉を選定し、卵、乳製品の量の半分ほどに減らしてる生活をしてます。
(代わりにお魚と鶏をたくさん食べているポーヨベジタリアン)

そう言った生活になったのは

①環境問題の一要因に私達の肉食生活があること

②菜食ファーストにする健康面でのメリット

この2点です。


その一方で多くのベジタリアン&ヴィーガンが声を上げている

③アニマルウェルフェア(動物愛護)

の観点は私はその過激さや関心の無さから、向き合う事を避けてきてしまいました。


けれども、やっぱり気になるテーマ。只今ヴィーガンレザーのブランドを運営中&周囲の友人はこのテーマを大切に思っている事もあり向き合うタイミングが来ました。先日その一環で養鶏場(採卵のみ)を伺いました。そこで学んだことを記します。



アニマルウェルフェア(以降、AWと示す)とは

アニマルウェルフェア(Animal Welfare・家畜福祉)とは、感受性を持つ生き物としての家畜に心を寄り添わせ、誕生から死を迎えるまでの間、ストレスをできる限り少なく、行動要求が満たされた、健康的な暮らしができる飼育方法をめざす畜産のあり方

一般社団法人アニマルウェルフェア畜産協会

と定義され、海外ではその取り組みは進んでいますが、日本ではその認知度も未だ低い状況です。


代表的な取り組みは以下の様なものがあります。

・牛や豚の放し飼い

・鶏の平飼い

・適切な食肉処理

この様な取り組みについて、生産段階に従事する人たちだけでなく、流通業、食品加工業、レストラン等の飲食業に従事する人たち、そして、最終消費者である多様な人々がAWを重視するライフスタイルを近年生活スタイルの選択肢として取り込める様になってきました。


伺った養鶏場さん

愛知県田原市にあるアニマルウェルフェアに向き合う宮本養鶏場さんです。

2代目の宮本さんはお父様から受け継いだゲージ飼いの養鶏場の一部(約300羽)を平飼いに。風通しがよく広い鶏舎の中を走り回るストレスフリーな鶏たちの卵は格段に美味しく、愛知県内の飲食店や健康志向の強い消費者を中心に、この「なごみたまご」というブランド卵は人気になっているそうです。

※ゲージ飼いとは、鶏たちを金網の中飼育する方法で日本の養鶏場の90%がこれを採用しています。
※平飼いとは、鶏たちが鶏舎の中で地面の上を動き回れる様に飼育する方法です。

※私の場合、ご縁があり見学が出来ました。一般見学が可能かどうかはお問い合わせください。



宮本さんから伺った卵における問題点

今回の訪問で宮本養鶏場が所有する平飼いの鶏舎と、ゲージ飼いの鶏舎共に見学させてもらいました。

どちらも見学して、まず最初に感じた事。


平飼いの鶏舎の様子


人間が五感で感じる鶏の様子でした。


鶏の鳴き声の威勢の良さや、平飼い鶏舎を走り回る鶏たちを見るとやはり「ニワトリも人間と同じで、閉じ込められるとストレスが溜まるのだ。」と感じました。

人間が健康な母体から生まれる赤ちゃんを祈る様に、雌鶏の健康も守る事で卵の質が変わります。

(ちなみに宮本さんのなごみたまご頂きました。本当に美味しかったです。)


また、鶏舎の臭いが違う事もすぐ気付きました。平飼い鶏舎は地面は土で、これが糞を自然に返す仕組みにもなっていますが、ゲージ飼いではこれが難しい。また平飼いでは鶏が死ぬ殆ど事はありませんが、ゲージ飼いでは鶏同士でのマイナートラブルも多々あり、どんなにAWを守ったゲージでも弱肉強食。弱った鶏の死体からする悪臭も。(これでも宮本さんの鶏舎で死んでしまう鶏の数は他のゲージ飼いの養鶏場さんと比べると格段に少ないそうです。)



他に宮本さんから教えて頂いた事実も一部紹介します。

雄鶏が居ない

当たり前のことだけど実は考えたことがなくてはっとさせられた事実。卵を産むのは雌鶏のみなので、鶏舎には雄鶏が居ません。

では、雄鶏はどこへ?この鶏たちはどうやって子孫を作ってるのか?


これは非常に残念なことですが、雄鶏はひよこの時点で性別判定をされ、殺処分され、肥料や飼料の原料とされます。

肉用に育てることもしません。鶏肉として出回るのは、主にたまごを産む能力が落ちた雌鶏、または肉食用として生まれた鶏です。



卵の値段設定がそもそもおかしい

たまごの値段設定そのものについても長い時間をかけて問題を孕み続けています。たまごは「物価の優等生」と呼ばれ、実は30年以上、小売価格がほぼ変わっていません。

・飼育方法の効率化(ゲージ飼いや品種の改良など)

・養鶏場の機械化によって可能になった大量生産

・流通面での合理化

など、様々な物価上昇と逆行して栄養価の高いたまごをの製造が出来てしまったという事実があります。(でも今やこの体制も限界…)

結果として、単価の低いたまごの大量生産を促し、AWに対して無配慮な生産現場が散見されています。


こういった事実から生産者も養鶏場を運営し生活費を賄うためにある程度の大量生産が余儀なくされ、法律の規制を上手く搔い潜った劣悪な養鶏場が告発されることもあります。


丁寧に参加者の質問に答える宮本さんと参加者達



ストーリーが想像出来る/出来ない命を頂く

これらの学びをここまで読んで頂き皆さんは今後もたまごを食べる選択をするでしょうか?

多くの人はこの文章やネットの情報、または養鶏場へ直接足を運んだその日はたまごを食べることへの躊躇や物思いにふける時間があるものです。

もしかしたら値段が倍以上する平飼いのたまごを購入してみたりするかも知れません。


ですが1ヶ月後にはきっとこれまでと同じ生活に戻っていて、鶏の事やAWというワードにはたまごを食べながら結びつく事はないでしょう。


今やエシカル消費という、生産の様子が想像できる商品を買うことの意義を多くの人が認知するようになりました。しかしそれと同時に生産の様子が想像出来ないブラックボックス化した商品が世の中に蔓延っていて、私たちの生活を支えているのも事実です。


物事の裏を知り、気持ちの良い選択をする私達。見えない裏側をいちいち想像を働かす事なく消費する私たち。


宮本養鶏場のような事実を話してくださる養鶏場を訪ねて、私自身も、多くの人もいきなりすべてのたまごをAWに配慮して頂くことは現実的ではないと考えます。

ただ、今回の経験を経て、AWが配慮された命を頂くとき以上に、「AWが配慮されていないかもしれない命を頂くときにその命のありがたさを理解する・感謝する」ことがまず何より重要と学びました。

また、インターネットから得られる事実ともリアリティが段違いに違い、それぞれが時間をかけ足を運んで学ぶ大人の社会科見学のようなものは大切だと思います。

私がアニマルウェルフェアについて大きなアクションが今後できるかは不透明ですが、こういった養鶏場さんが多く増え、命のストーリーが想像できる人が沢山増えますように。(読んでくださりありがとうござました。)

平飼い鶏舎にてたまご採り

#夏の思い出   #最近の学び


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