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2024年【課題図書】第70回青少年読書感想文全国コンクール〜小学校高学年の部〜

自分が子どもの頃は
「読書感想文めんどくさ〜っ」
と思っていましたが、小学校中学年だったか高学年だったか、その頃に課題図書でも推薦図書でもなんでもない、家にあったテキトーな本で書いたテキトーな感想文がどういうわけか入賞してしまったことがあって。

なんだか嬉しいような申し訳ないような、フシギな気持ちになったものです。それ以来少しは真面目に本を読むようになりました。

さて、2024年の今年も読書感想文の季節がやってきましたね。
第70回目となる青少年読書感想文全国コンクールの課題図書・推薦図書がそろい踏みとなりました。

その中から今回は、2024年課題図書『小学校高学年の部』の4冊について見ていきたいと思います。

『小学校低学年の部』、『小学校中学年の部』については先に記事にしていますので、良かったら読んでもらえると嬉しいです。

本を読むのが好きな子も苦手な子も、素敵な本に出会えますように。


【2024年】第70回青少年読書感想文全国コンクール課題図書〜中学年の部・4冊を紹介〜

第70回青少年読書感想文全国コンクール課題図書

2024年の青少年読書感想文全国コンクールの課題図書の紹介は、『小学校高学年の部』の今回で最後になります。

ちょっとだけ私の感想を交えてご紹介していますので、良かったらお付き合いください。


●『ぼくはうそをついた』

『ぼくはうそをついた』
西村すぐり 作・中島花野 絵
ポプラ社 1,650円

ヒロシマの原爆の話、聞いたことはあるしきっと大変だったに違いない、だけど現実味がなくて難しい。現在の小学生にとっての「戦争」って、そのくらい遠い存在になってしまっているのも事実です。
小学5年生のリョウタが、どんな嘘を、どうしてついたのか。
中学年の部にも同じく戦争と認知症をテーマに描いた作品が今年の課題図書に選出されていますが、高学年向けのこちらの本は一層深く、リアルに描かれており、読み手の感情が大きく揺さぶられるものになっています。


●『ドアのむこうの国へのパスポート』

『ドアのむこうの国へのパスポート』
トンケ・ドラフト 作/リンデルト・ク
ロムハウト 作
リンデ・ファース 絵/西村由美 訳
岩波書店 1,980円

表紙の絵やあらすじから、一見するとファンタジーのようにも思えますが、著者の実話を盛り込んだ話で、読み進めていくうちに登場人物への理解が深まってきます。
著者と「個性的で、ちょっと手のかかるクラスの子ども」との交流を描きながら、子どもたちが少しずつ団結していくお話。それぞれに事情を抱える子どもたちへの、温かいエールのような1冊です。


●『図書館がくれた宝物』

『図書館がくれた宝物』
ケイト・アルバス 作/櫛田理絵 訳
徳間書店 2,090円

2021年のニューヨーク公共図書館ベスト・ブック・オブ・ザ・イヤー児童書部門受賞作。
第二次世界大戦中のイギリスを舞台とした、保護者を亡くした3兄妹の疎開先での話。
子どもたちが辛く厳しい生活を送る姿は読んでいて悲しくなりますが、兄妹で助け合いながら自分たちの親になってくれそうな人を探すたくましさ、図書館司書の優しさに救われます。読後感の良い本です。


●『海よ光れ!:3・11被災者を励ました学校新聞』

『海よ光れ!:3・11被災者を励ました学校新聞』
田沢五月 作
国土社 1,540円

東日本大震災の避難所の小学校での出来事をノンフィクションで描いた作品です。
震災当時の子どもたちが、自分たちも被災しているにも関わらず、一緒に寝泊まりしている被災者のためにとった活動でどれほどの人が励まされ、勇気づけられ、奮い立つ力になったのか。
あの混乱の中、さまざまな葛藤や困難がたくさんあったに違いないのに、子どもたちがあまりにも真っ直で、明るく一生懸命な姿に感動します。



以上の4冊でした。

高学年の課題図書ともなると大作ばかりですね。
どの作品もテーマがしっかりしているので、読書感想文は比較的書きやすいかなと思います。

ページ数がかなり多くなり、読む前から躊躇してしまう子もいるかもしれません。

だけどじっくり本を読む時間って貴重なんですよね。
大人になると忙しさにかまけて、じっくり本と向き合う時間がなかなか作れなかったり、本を手に取る機会さえなくなってしまったりします。

小学校高学年の今だからこそ読み取れる瑞々しい感覚に任せて、一気に読んでしまいましょう。
読後に感じたことを、大人になっても忘れないでほしいなと思います。

本はきっと、生きていくうえでの宝物になります。
素敵な本との出会いがありますように。



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