2023年9月30日 さようなら、京都みなみ会館

ものすごく久しぶりの日記な気がする。

私は脊椎側湾症であった。背骨が左右にぐにゃりと曲がっている。脊髄に当たって痛みが発生しているし、脊髄は脚の神経へも繋がっているので、その影響で重だるさが出ているらしい。重だるさも病院に行ってから和らいだ気がする。

さて、新学期である。春よりコマ数が少なくて、良い。講義も色々面白そうで期待できる。とはいえやらなければいけないことは増えてくる。憂鬱である。

京都みなみ会館が今日で閉館してしまった。ラスト3日、連続で映画を観に行った。一昨日は石井聰亙(現・石井岳龍)監督の卒業制作映画、『狂い咲きサンダーロード』。なんて素晴らしい映画なんだ。主人公に共感したりするわけじゃないけど、胸が熱くなる切実さがある映画だった。ラストが素晴らしかった。

ジロウ先生のこの言葉がすべてだ。

昨日はジャン=リュック・ゴダール監督『女は女である』。ミシェル・ルグランの特集上映。ラインナップにはジャック・ドゥミとかアニエス・ヴァルダとか。『女は女である』。真っ当に面白い。ミュージカル・コメディということになっているけれど、いわゆるミュージカルとは違う。音楽に合わせた動きとか、映像に合わせた音楽とかはあっても、登場人物が歌って踊ったりはあまりしない。ギャグが笑える。演劇的な自己言及がある。それにしても、アンジェラはなぜ子供を作りたがるのだろう。エミールはなぜ作りたくないのだろう。

今日、最終日はバンド・Bialystocksのメンバーでもある甫木元空監督『はだかのゆめ』。上映終了後に監督のトークとライブも。映画も素晴らしかったし、弾き語りも素晴らしかった。死に向かう人とその周囲の人のあいだ、すでに死んだ人と生きている人のあいだ、そして死と生のあいだ、そういうものを行き来する感覚、真実があったと思う。元々ビアリのファンだったのもあり、楽曲も好ましかったが、映画と合わせて歌詞を読みながら聴いていると、本当に込み上げるものがあり、何度も涙を堪えた。歌い出しの声が耳に届いた瞬間にもう涙が溢れそうだった。パンフレットにサインまで貰い、素晴らしい時間を過ごした。

京都みなみ会館は5年ほど前に建て替えたばかりらしい。私が通い始めたのはここ2年くらいだが、内装も綺麗だし、閉めるのはもったいない。『はだかのゆめ』上映終了後のトークでboidの樋口さんが言っていたが、ここの音響設備は半年前に入れ替えたばかりらしい。日本のミニシアターでいちばんよい音が出るとも言っていた。確かに、細かい音までクリアに聞こえたし、音楽の響きも素晴らしい。『AKIRA』を観たときの芸能山城組の音楽も大変迫力があったのを思い出した。いよいよもったいない。みなみ会館はこれまで何度か閉館し、その度オーナーが変わって復活してきたという。今回もまた復活してほしいと切実に思う。このまま閉館したままでは、私個人にとってだけでなく、映画という文化にとっての損失だ。私にお金があれば買うのにな。

せっかくだから、私が京都みなみ会館で観てきた映画を遡ろうかしら。

甫木元空監督『はだかのゆめ』
ジャン=リュック・ゴダール監督『女は女である』
石井聰亙(現・岳龍)監督『狂い咲きサンダーロード』
リチャード・C・サラフィアン監督『バニシング・ポイント』
大友克洋監督『AKIRA』
ジャン=リュック・ゴダール監督『はなればなれに』
青山真治監督『EUREKA/ユリイカ』
スティーブン・ノムラ・シブル監督『Ryuichi Sakamoto: CODA』
阪元裕吾監督『ベイビーわるきゅーれ』
パク・チャヌク監督『別れる決心』
今敏監督『パプリカ』
杉田協士監督『春原さんのうた』
ジャック・オディアール監督『パリ13区』
シャンタル・アケルマン監督『私、あなた、彼、彼女』
フランソワ・トリュフォー監督『大人は判ってくれない』
ジャン=リュック・ゴダール監督『さらば、愛の言葉よ』
ジャック・リヴェット監督『北の橋』
ジャン=リュック・ゴダール監督『女と男のいる鋪道』

こんな感じか。ゴダールが多いな。またいつか復活する日を願って。

明日は何しよう。京都は雨。行き場がない。

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