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湘南の海の泳ぎ方
自転車にまたがる。
5分後には、浜にいる。
水に入るとジュッと身体から湯気があがる(イメージ)
足が着く深さでは波頭が砕けるから波をかぶる。
急いで100メートル沖に向かう。
沖に着けばそこにはパラダイスがある。
うねりと小波はあるがほとんど鏡のような水面と言ってもよい。
カモメに同化して上下動を繰り返しながら泳ぐ。スイーッと。
ときどき小魚が海面から飛び跳ねて驚く。
湘南の海には顔をつけたくない。プランクトンと茶色の砂のお陰で透明度は50cmくらい。
したがってスピードは出ない。平泳ぎでゆっくりゆったり泳いでいく。
ハイレグ美女がプールでスーと進む映像を意識しながらそんなふうに水すましのように滑っていく。
しかし実際のところはトノサマガエルの泳ぎなのだろう。
構うことはない。付近には誰も泳いでいないし、浜から詳細は見えない。
小一時間泳いだら浜に戻りシャワーを浴びる。
ビーチセンターの日陰のベンチで読みかけの小説を読む。
今、はまっているのは「野蛮なやつら (SAVAGES)」ドン・ウィンズロウ作。
カット割りが細かく軽妙に物語が進んでいく。スラングやパロノマシア、隠喩・アイロニーが多用されていて翻訳者は苦労したことだろう。
一度、原文と対比してみたいもの。
涼しい海風で身体が乾き、少し暑くなったら本を閉じる。
再び沖に向かい、今度は仰向けになって海面に浮かぶ。
空が青く雲もない。
目に入ってくるのはカモメとカイトサーフィンのカイトのみ。
ときどきカイトサーファーが空を舞う。
やがて夕方の雲に太陽が隠れ始めるころ、海から上がる。
シャワーを浴びて洗面台で水着を洗う、明日も使うから。
ビーチバレーと3on3は日が暮れ始めてもまだやっている。
横目で見ながら、自転車にまたがる。
湘南の一日が暮れて行く。
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