うらやましさが色を変える時に
数ある感情の中で、嫉妬という感情を抱くことが一番苦手です。怒りや悲しみなどわかりやすいものとは違い、なんというか心の中で重くわだかまってうねうねとのたうっている様子がどうも気持ちが悪いと感じてしまいます。いろんなものが混ざっているからでしょうか。
到底及ばないことへの怒りなのか相手への怖れなのか、自分自身への恥ずかしさなのか。泣きそうになるくらいの悔しさなのか。いつだったかできてしまったコンプレックスや、その時の心の傷などが一気に蘇ってしまうからなのか――自分でもよくわからないのは、なんとも。
恋愛の場合はわかりやすいですし、苦しいです。相手の人も好きな人もどちらに対しても複雑な感情を抱くことになるからです。そして何より恋愛の関係に至ってはひどく感情的になってしまうことが多いです。これは相手が取られるんじゃないかという不安も混ざっているからだとは思うのですが、なんとも後味が悪いです。
こと女性の場合はヒステリーを起こしてしまっていると表現される人もいるくらいです。気持ちはわかります。けどあまり行動に出すと後々尾を引いてよくない方向に行ってしまうのがよくあるので気をつけたいところです。
そして日常生活でも嫉妬の嵐が吹き荒れていきます。自分よりもカーストが上の人に対してもありますが、それがあまりにかけ離れていると嫉妬に至らないことの方が多いのではないでしょうか。わかりやすく言うのなら関係がない存在だからです。雲の上の人に対しても嫉妬することはあまりないと思います。
それが何かしらで関係があったり、共通点があるとまたあの感情に胸を焦がすことになってしまいます。恋愛では楽しい時間を過ごせることもありますが、それ以外はただ苦しいだけのものだからメリットがほとんどないのです。
この時奮起して努力しようと思う人がいるのなら、それは嫉妬という感情がまだ悪いものになっていない珍しいケースなんだろうと思います。向上心が高く、マイナス要素をバネにして高みに上がっていける人もいるのです。
だけどそれはすごい人の話。普通の人の場合たまに良かったと思う時があるとするなら、おそらく何かしらで自分の方が上だと感じる時ではないでしょうか。相手と自分を比較して相手に勝ったと思うような感情、私は何とも居心地が悪くなるのであまり好きではありません。どちらかというと苦手です。いっそ仲良くなってうまくライバル関係にでもなれたのなら楽になるのでしょうか。けどやっぱり大抵は離れて行くことになってしまいます。
仲のいい友達同士でもそういった感情にさらされることがあります。そういう時には少し距離を置きたくもなるのですが、その時に忘れていけないのは「私はその人のことを嫌いになったわけではない」という点です。関係を絶ってしまうと後悔することになったりもします。それなら距離感をうまく調節する方がいいと私は考えています。もちろん相手がマウントを取ってきたりと傷つけてくる場合なら仕方がないのですが……。
大切なのは自分の気持ちの方だと思っています。何かあってから「嫌いになったんじゃない」と言いたくなってもどうしようもありません。嫉妬という感情に一度捕まってしまったら、状況が変わらない限り同じ思いがぐるぐると回ってしまいます。いっそ自分も同じような場所まで実力で上がることができ、肩を並べる程度になれれば違うのかもしれません。だけど残念ながらそんな実力はありません。
どうして同じような境遇で育っていること、家族構成でいること、仕事に就いていることなどがいつしか親近感でなく嫉妬につながってきてしまうのでしょうか。ふとしたきっかけで抱いた羨望が黒く染まってきてしまうことがあります。
「いいな」と思うだけなら良かったのに、難しいものですね。