モチベーションを数値化して考えてみる
臨床医の森下(仮)です。
今回はモチベーションについてお話しようと思います。
1. モチベーションは数値化できる
モチベーションは数値化できるということをご存知でしょうか。
モチベーションは労働者の生産性を高めるために20世紀から盛んに研究されてきました。そのなかでモチベーションを数値で表す試みがなされました。
数値で表すことができれば、毎日の変化を記録して自分のモチベーションに影響を与えるものがわかります。その影響をコントロールすればいつまでもモチベーションが高い状況を保つことができます。
この記事と次回の記事を読んで頂ければ、自身で行動の開始や行動の継続をコントロールすることができるかもしれません。
では、その数値化のための計算式が以下です(簡略化しています)
F=E×V×I
(V. H., Work and Motivation, John Wiley & Sons, Inc., 1964.より)
F(Force) : ある行為を遂行しようと作用する力。
E(Expectancy) : 期待度。ある行為がある結果をもたらすであろうという期待強度(0〜1)
V(Valence) : 誘意性。得られる結果に対する魅力の度合い(-1〜+1)
I(Instrumentality) : 道具性。結果と別の結果の関連性の強さ(-1〜+1)
うん、わかりませんね。私も全くわかりませんでした。
Fがモチベーションということだけはわかりました。
分かりにくいので簡単にしてみました。
2.計算式を簡単な例にしてみました
簿記2級に合格して社内制度で給与を3,000円上げたい
を例に説明します。
この場合、各変数(項目)の関係性は以下のようになります。
期待度:ある行為がある結果をもたらすであろうという期待強度(0〜1)
→簿記2級に合格する確率は合格率として0.25と設定
道具性:結果と別の結果の関連性の強さ(-1〜+1)
→社内制度で給与UPが決まっているので1.0と設定
誘意性:結果と別の結果の関連性の強さ(-1〜+1)
→勉強して3,000円もらえるのは嬉しい度0.8と設定
モチベーションFは、0.25 × 1.0 × 0.8で0.2となります。
私の経験上、行動開始時のモチベーションが0.3以下であれば開始時で苦戦します。
この例でいうと「やる気になって参考書を買ったけどすぐにやめた」ということになりそうです。
3. モチベーションは変化する
モチベーションを数値化して扱う際には注意すべき点が2つあります。
1つ目はモチベーションは時間で変化する、ということです。
上記のように最初はやる気まんまんで始めても、だんだんとやる気がなくなってしまうということを経験したことありませんか。
いつまでも最初の気持ちが続くわけではない、ということを意識する必要があります。項目別に数値化することで、モチベーションが低下してきた原因がわかります。
定期的に見直して原因に対処できればモチベーションを落とすことなく継続することができます。
2つ目の注意点はモチベーションは気持ちで変化する、ということです。
それはそうだろうと思われる方が多いと思いますが、
どのような気持ちでどう変化するのかまでお考えになったことはあるでしょうか。
モチベーションの変化について上記の例を用いれば、
少し勉強して「だんだん分かってきたぞ!」と思えれば期待度は上昇し、
友人に美味しいお店を教えてもらい「行きたいな!」と思える店が増えれば誘意性は上昇します。
逆に難しい問題に直面したり模試で合格点を下回ると期待度は下がります。
社内制度が変わって、簿記2級の合格とビジネス実務法務検定3級の合格が必要、となれば道具性は低下します。
友人の遊びの誘いがあれば、ついつい気持ちがそがれ誘意性は低下します。
4. モチベーションは重なる
モチベーションを構成する要素は変動しやすいということを説明しましたが、他にも知っておくべき側面があります。
モチベーションは期待度 × 道具性 × 誘意性で表されるわけですが、
達成したい目標が複数ある場合、共通する項目があればモチベーションは加算されます。
簿記2級に合格して給与を3,000円上げたい、
この例では出世を目標にしていますが、他にも税理士資格の取得を目標にしている場合、簿記2級の取得は双方に役立つためそれぞれのモチベーションが加算されます。
5. モチベーションの上げ方、維持の仕方
では、どのようにすればモチベーションは上がるのか、維持できるのか
具体的なお話は別の機会にお話します。
6.まとめ
・モチベーションは期待度 x 道具性 × 誘意性の掛け算で計算できる!
・数値化できると日々の変化でモチベーションの変動がわかる!
・変動がわかればモチベーションに影響する理由を見つけることができる!
・理由をコントロールできれば、継続することができ目標を達成できる!
・理由のコントロール方法は次回で!
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