恐るべし偶然
土曜日は『95(キューゴー)』
テレ東開局60周年記念の春ドラマが良すぎたため、原作を購入。土曜日の午前・午後で一挙に読み切った。世紀末(2000年)を間近に控え、阪神大震災や地下鉄サリン事件の中で閉塞感に苦しむ渋谷の17歳を描いた青春もの。詳しくはこちら↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
展開は原作の勝利
ドラマは高校時代で完結するが、原作では、20年後の再会まで描かれる。苦楽をともにした3人(Qちゃん、翔、セイラ)の再会はドラマと異なる展開であったため、かなり感動した。なぜ、ドラマで描かなかったのだろう?また、ハーフ設定の4人(セイラ、マルコ、レオ、ドヨン)が差別の対象として描かれていたのが衝撃的だった。これはさすがに映像では難しい。
人物描写はドラマの勝利
ドラマでは、Qちゃん➡高橋海人、翔➡中川大志、セイラ➡松本穂香の配役が良かったが、原作のイメージと良い意味で違っていたのが「翔」。原作では政治家の血筋を惹くボンボンだったが、ドラマの翔(中川大志)はぶっ飛んだ高校生で、影の主人公と言っても良い存在だった。また、ドラマのキャラは善悪がはっきりしていたが、原作は最終的に全員、いい奴だった。
日曜日は『未必のマクベス』
たまたま立ち寄った本屋で惹かれるように購入。全600ページの超大作のため読み切れるかどうか心配だったが、切なさに飲み込まれる形で日曜日に読破。いやー、良かった。こんな素晴らしい小説が10年前に刊行されていたなんて知らなかった。それくらい良かった。
ネタバレ無用の抽象的な書評
前半1/3は「何、これ?」
中盤1/3で「謎解き完了」
終盤1/3は「展開と感動」
こんな感じの物語。こういう展開の小説と出逢ったのは初めて。主人公は中盤ですべての謎を解明するが、パートナーを思いやり、最期まで秘密を守り通す。頑なな主人公とその想いに気づかないパートナーの心情をなぞりながら展開を解釈できるところにこの物語の独創性がある。
ひたすら切ない!
中井優一、森川佐和、鍋島冬香、田島由紀子、陳霊、呉蓮花、この6人(正確には5人)の絡みが実に切ない。特にラストシーン、思い出のバー・Radio Daysでの3人(森川佐和、鍋島冬香、田島由紀子)の絡み、正確には2人の絡みが実に切ない。嗚呼、ここに書きたい。けど、書けない。深すぎて切な過ぎて書けない!!!
奇妙な共通点
『キューゴー』『未必のマクベス』とも、高校時代のわだかまりを20年以上経てから解消するという点で、奇跡的に共通していた。作者も「早見和真」と「早瀬耕」。何となく似ている。この2冊を購入したのは偶然なのだろうか?それとも未必(必ずしもそうなるわけではない)なのだろうか?
いずれにしても、猛暑は空調の利いた部屋での読書に限る。