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ヘイトスピーチはどこまで規制できるか
2009年12月,京都朝鮮学校襲撃事件が発生した.「在日特権を許さない市民の会」(在特会)や「主権回復を目指す会」(主権会)の活動家らが,京都朝鮮第一初級学校前で街宣活動を行い,威力業務妨害や器物破損で有罪判決が確定した事件だ.
これに限らず,日本国内で人種差別やヘイトスピーチは蔓延してきた.その胸糞悪い動画を見た人も多いだろう.どうしてあんなものが放置されているのか.どうして取り締まりもされないで,むしろ警察が保護して街宣活動ができているのか.そのような疑問についても本書では論じられている.
ヘイトスピーチはどこまで規制できるか
在日コリアン弁護士協会(LAZAK)編,影書房,2016
「朝鮮人は殺せ」みたいな主張が「表現の自由」を盾に守られるべきものなのか,甚だ疑問である.では,そのようなヘイトスピーチに対して現行法はどこまで対処できるのか.日本国憲法はどうなのか.そのような議論が行われた2015年12月5日開催のシンポジウムの記録である.
ちなみに,日本は人種差別撤廃条約に批准している.
人種差別撤廃条約は、人権及び基本的自由の平等を確保するため、あらゆる形態の人種差別を撤廃する政策等を、すべての適当な方法により遅滞なくとることなどを主な内容とします。1965年の第20回国連総会において採択され、1969年に発効しました。日本は1995年に加入しました。
(外務省)
それにもかかわらず,この現状がある.
本書「ヘイトスピーチはどこまで規制できるか」には,憲法学者である木村草太氏も参加したパネルディスカッションの内容も収録されており,憲法で保障されている「表現の自由」との兼ね合いに触れつつ,どこまで規制すべきか/規制できるかが論じられている.こういう問題には極めて疎い私だが,勉強になった.少なくとも,これまでのような野放しはおかしい.
目次
まえがき
1. 基調報告:「日本のレイシズムとヘイトスピーチ」(板垣竜太)
2. 報告1:「ヘイトスピーチとは―その実態と被害について」(金星姫)
3. 報告2:「人種差別の違法性を認定―京都朝鮮学校襲撃事件判決」(具良鈺)
4. 報告3:「アメリカにおけるヘイトクライム規制」(金昌浩)
5. パネルディスカッション:「ヘイトスピーチはどこまで規制できるか」(板垣竜太、木村草太、金哲敏、金竜介、李春熙)
6. 座談会:「シンポジウムを終えて」(金哲敏、金星姫、金竜介、宋恵燕、韓雅之、李春熙)
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