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日本の会議運営の歴史をたどる中公新書3冊
歴史的に政治権力の在り様を分析するときに、会議の在り様を具体的に把握することが大事だと、つらつら思っていました。
今回読んだ中公新書の「三条実美」は、明治維新初期の新政府の大臣会議の在り様を垣間見ることのできた良書です。
タイトル通り、維新期の政治家として割と影の薄い三条実美の伝記的なものですが、正直、幕末期までを扱う3章までは、私の好みや期待にかなうものではありませんでしたが、明治新政府の「首班」となってからの時期と、そこから静かに退場していく時期の、4章、5章は大変興味深く読みました。維新の3傑や伊藤博文を軸に置いた分析とは異なる、明治新政府の姿が得られます。
特に、史料の影響なのか、太政官会議とその周辺のやり取りという形で、三条の政治的動静が描かれるので、新政府黎明期の会議の在り様=政治的意思決定の在り様についてのイメージがわいてくるものとなっています。
近時の中公新書として、「公卿会議」があり、これは中世日本の政治的意思決定の場であった公卿の議論の在り様を分析しているものがあり、維新黎明期の太政官会議も制度的には、この公卿会議の系譜に連なるものということとなり、連続して読んでみると面白いものがあります。
三条の退場したのちは、閣議と帝国議会の時代になる訳で、これも中公新書の「帝国議会」と並べて読んでみると、面白いと思います。