【かそけき声とは】 野田MAP 「兎、波を走る」
老若男女、辛い時に無意識に助けを求めるのは、母親な気がする。血が繋がっていても、繋がっていなくても。
多分、今この瞬間も、「お母さん…」と声をあげている人々がいる。そのかそけき声は、すぐには届かない。
声、choeのアナグラムは、echo。声は、いつかきっと、こだまとなって我々に届く。耳を澄ますことを諦めてしまったら、聞き逃してしまう。彼らはもしかしたら、今なお必死に声をあげているかも知れないのに。迷子の子どものように。
歴史の声も同じ。聞こうとしないと、聞こえない。ヤン提督が歴史を学んでいたことにも通じるが、悲しいほど、人類は同じ過ちを繰り返す。だからせめて、少しでも過去から学ぶために、我々は歴史の声を聞き、教訓を得ていかねばならない。
繰り返し何度も出てきた言葉。妄想するしかない。もう、そうするしか無い。情報制限のある中で、真実に辿り着くには。あまりにも情報過多な世の中では。
クリエイションとは妄想だし、妄想は人間に与えられたギフトだ。転生してハリネズミになったら、もう、そうしなくなる、のかも知れない。実験動物のように名前を剥ぎ取られ、痛覚も妄想も麻痺させられ、人を拉致して、洗脳して、母親から引き離して、平気になるまでに、ウサギはどれだけ苦悩しただろう。
「不思議の国のアリス」と「ピーターパン」と、お隣の国の繋がりが見えるまで、少し時間がかかった。絶対に歴史と絡めていることは分かっているのに、知恵豊富(チェーホフ)とベルトトルト・ブレルヒトたちに、惑わされ続けた。初音ミクにも。
AI が妄想するようになったら、人間は駆逐されていくのだろうか。合理性を追求するのが、AIを含めた技術の目指すところだとしたら、非合理性の塊である人間は、合理的に不要だと判断されるのかも知れない。
もう、そうするしかない、と打ち捨てられるのかも知れない。
合わせ鏡の使い方が秀逸だった。いかにも「不思議の国のアリス」のような仕掛けだったのだけれど、北朝鮮との関係が見えてきたあたりで気づいた。
ああ、この合わせ鏡は、私に突きつけられた鏡である、と。お前は声を聞いているか、お前こそ、神経を、感覚を麻痺させて、ぬるま湯のような人生を謳歌しているのではないか、と。欧州での戦争すらも、遠い国のこととして見てみぬふりをしているじゃないか、と。
しんどくて、書くのに手間取った。
声をあげることを、厭わないように。自分のこだまを、聞き逃さないように。
明日も良い日に。
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