【ショートショート】 哺乳網ネコ目犬科犬亜科キツネ属:通称ゴンの裁き <前夜Part 2>
前夜パート1はこちら。
兵十は本当に哀れな犠牲者なのか?最後の審判の前夜に、ゴンは語る。彼なりの真相を。
***
まず、弥助って村のもんに貢ぎもんの話をして、相手に「神様からのギフトだ〜」って言わせた挙句、実際そうに違いねえ、って思わせるように仕組んだんだ。
周りを味方にできたって確信した翌日には、おいらがくる時間を見計って、ズドン。それで仕舞いだ。
村のもんから見たら、兵十の所業は殺人じゃねえ。因果応報って奴だ。いや、ただの害獣駆除かも知れん。イタズラばっかりしよるキツネを狩っただけだからな。ご丁寧に禁猟期間も開けてやがる。な、用意周到だろ。
… おいらも死んだ瞬間は、これは自業自得だって思ってた。でもよ。
ここにヘコヘコ歩いてくる途中で気づいたんだ。あれは自己憐憫現実逃避型完全犯罪だったんじゃねえかって。
だってよ、おかしいだろ。なんだってお袋さんは死んだんだ?山へ入れば山ほど食うもんはある。川だってそうだ。病気で弱ってたんだとしたら、それはもう俺のせいじゃねえ。
お袋さんは、もしかしたら死にたくて死んだんじゃねえのか?口減らしをたんだよ。自分の口をよ。兵十を思っての自死行為だったんだよ。
だけど、兵十はそれを受け入れられなかった。お袋さんと、兵十の思いがすれ違っちまったんだ。だから、兵十には、お袋さん殺しのにっくき仇が必要になった。
それがおいらってわけだ…
な?そう考えると、色々と辻褄が合うだろ?
***暗転***
ゴンは果たして罪を負うべき者なのか?それともあれは、様々な思惑が絡み合った末の不運な事象の連続体であったのか?
果たして彼の運命やいかに?!
「裁き編」に続く...
オリジナル「ごんぎつね」はこちら。
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