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耳鳴り潰し128

 突然我が家で流行り出した「撲殺天使ドクロちゃん(歌とOP映像のみ)」だが、明らかに子どもたちの教育上に良くなさそうだ。これ以上深入りしないために、原作を読み始めた。つまり「こんな話だよ」と子どもたちに向けて説明できるように、だ。一人称と神視点が混在したりする文体に戸惑いつつ、「しょっちゅう撲殺されてるから仕方ないのか」とも自分を納得させる。ドクロちゃんの使う魔法のバット「エスカリボルグ」を「エスカイ暴力」と息子が言うので「エスカリボルグだよ」と訂正すると「エビュカビヴョーギョク」などと悪化する。わざとである。

 子どもたちがデイの日。10時過ぎに二人を送り出した後、先に買い物を済ませる。学校再開後の生活のリズム作りのためでもある。買い物を後回しにしていると、急ぎの買い物がない場合「明日でいいか」となりがちである。すると翌日は買い物二軒回らないといけなくなったり、用事と重なったりして負担過剰になり、体調を崩す、といったことがあった。午前中の方が執筆が進むのは確かだが、「翌日回しリスク」を減らすために、買い物や用事は早めに済ませておいた方がいい。

 帰宅後、昼食を食べた後、腹痛に襲われた。私の昼食は大概食パン二枚である。マーガリンを塗り過ぎた? お腹の中でトゲトゲのついた魔法のバット、エスカリボルグが暴れている感じがする。しかし通常の便が出た後、便意は起こらない。お腹を撫でても変わらない。ふと思い出した。このエスカリボルグの正体は、結石ではないか。左の腎臓にまだあと二つあるのが確認されている、二本のエスカリボルグが暴れ始めたのではないか。

 私と結石については「恋愛小説集」にも二編書いている。

「私vs結石」

「結石vs月に吠える」

 夜寝る前にトイレに行って放尿した後、下腹部に激痛が走った。腹痛かと思って再びトイレに駆け込むと、絞りだすように、血の混じった尿が出た。その後左の下腹部と、その裏手にあたる腰に激しい痛みがあり、痛み止めを飲んでようやく眠りについた。しかし痛み止めの効果が切れる夜中2時あたりに再び酷くなり、救急車を呼ぼうかというところまでいった。しかし症状から調べたところ、尿路結石らしく、痛みは3~4時間で治まるということだったので、しばらく我慢すると本当に治まり、再び眠ることができた。

泥辺五郎「恋愛小説集」内「私vs結石」より

 先日の尿路結石の続きの話。尿を紙コップで受けて、結石が出たら持ってきてくださいと言われていたが、全く出る気配はなく、痛みも消えていた。自分の中では結石なんて本当はなかったんだ、という結論に達していた。おじいさん先生にエコー検査をされている間、「恋愛経験がほぼないといっていいように、尿路結石も存在しなかった」という展開にしようと考えていたら「左の腎臓に二個あるね」という先生の声が降ってきた。
「一つは1.2センチある、大きいね」
「あと前立腺ちっちゃいね」
「脂肪肝に気を付けて」
「右の腎臓には水泡が見えるけど、これは心配いらないね」
「やっぱ二つあるね」
 え、え、え、と私は指の爪を見ながら1.2センチという大きさを想像する。そんなものが尿道を通るのか。最低あと二回はあの夜の痛みを経験しないといけないのか。
「腎臓の一番下の方にあるから、これを割って取り出すというのも得策ではないね。現時点でできることって別にないから。また前のような痛みが出たら病院に来て」
「この大きさって尿道を通るのですか」
「大きいほど逆に痛みは少ないっていうよ。全然通るよこれくらい」

 特に薬を処方されることもなく病院を出る。
「前立腺、ちっちゃいってよ」と月に向かって言ってみる。月からは何も返ってはこない。

泥辺五郎「恋愛小説集」内「結石vs月に吠える」より

 この時の痛みを10とすると、せいぜい5~6くらい。血尿も出てないし、腰の痛みもない。痛み止めを飲むと痛みはマシになった。しばらく横になった後「そういえば運動不足は逆に良くないとお医者さんが言っていた」と思い出して立ち上がったが、元気に動けるほどではなかった。痛み止めが効いているとはいえ、痛みの元をどうにかできたわけではないのだ。この日あれこれ進めようと思っていたことは諦め、割り切って横になる。何かの締め切り当日にこういった事態に陥らなかったのが、不幸中の幸いともいえる。

 子どもたちが帰ってきた後も、身体を使った遊びは断る。前回の服用から六時間後にもう一度痛み止めを飲んでどうにか動く。

 娘が冬野夜空「すべての恋が終わるとしても―140字の恋の話」を読み終えたと報告してくる。「この人の他の本買ってきて」と要求してきた。「図書館行った時に似た系統の本を探してこようか」と提案すると「できれば本屋さんので」と。父が書こうか、父が書いたのを印刷して渡して行こうか、と口にしかける。しかし、あれだけ恋愛経験のなさをディスってる存在の書いた恋愛小説を読まされるのは、娘にとっては苦痛というかトラウマものになるだろうと気づき、どうにか思いとどまった。

 クレジットカードを使えない方向けの「サポート+無料招待」の形で、メンバーシップ加入者が増えました。ありがとうございます。この日は結石のために書けなかった、メンバーシップ様向けの記事も進めたいと思います。

 TOPの生成画像は、どう指示しても左わき腹を押さえてくれなかったため右わき腹を押さえる絵になっています。


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泥辺五郎
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