暖を取るために焼かれる本の中ミヒャエル・エンデ「モモ」取り除く
最近始めた短歌まとめ
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空まるで君のようですカタコトで口説くあなたに降りるシラサギ
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信じれば夢が叶うと繰り返すあのこの夢は目覚めないこと
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暖を取るために焼かれる本の中ミヒャエル・エンデ「モモ」取り除く
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老年に至ったシドとナンシーの爪弾くベース昨晩絶えた
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いつかまた防音設備のある部屋で鳴らされることを願うテレキャス
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次に読む本をなかなか決められず見知らぬ人の日記を開く
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「メンタルが強くていいね」違いますとうの昔に壊れただけで
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肥え過ぎた屍肉漁りの前にまだ行列続く朝・昼・夜・朝
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彼にだけ話した過去の傷跡が軽いコラムに書き換えられて
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この歌を聞いてくださいいややっぱなかったことにしてくれません?
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触られて撫でられてまたえぐられて全て剥かれて消えた玉ねぎ
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「あとでやる」そう言われいつも忘れられおかげで今も生き延びている
年明けから創作意欲減退と体調不良に悩まされた。原因として・新しい職に慣れてきた・家族と過ごす時間が増えたといった「安定・幸福」が、創作する理由を失わせていた。相次ぐ大型書店の閉店やら、直接自分に関係のない事柄までが追い打ちをかけてきた。日々の再読をやめてみたのも一因かもしれない。今朝一で読んでいるのは「名作と呼ばれている未読もの挑戦」だが、魅力を感じる部分が少なくてなかなか進まない。
そんな中、一冊の歌集に出会う。宇野なずき「最初からやり直してください」「誰ひとりきみの代わりはいないけど上位互換が出回っている」で有名な歌人であるが、他にも感銘を受けた短歌が多数あった。
欠けているこころのせいで小説の最終章を理解できない教室の隅に形成されているスラム街は嫌いじゃなかった文法を間違えている僕たちの小説を書き直さないでくれこの街に病院なんてありませんスクラップ工場ならあちらです
宇野なずき「最初からやり直してください」より
だからといって自分も短歌を作ろう、とは思わなかった。しかし創作出来ない状態が続くにつれ、縋るように短歌を試してみることにした。かつて「長すぎて苦手」「語りすぎて冗長」で敬遠していたが、逆にガチガチに自分ルールを作り、それに則りつつ、アイデアが浮かべば、柔軟に作り変えていった。発端となったアイデアが、完成作には跡形もなくなっていることもある。
今のところのお気に入り。
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暖を取るために焼かれる本の中ミヒャエル・エンデ「モモ」取り除く
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触られて撫でられてまたえぐられて全て剥かれて消えた玉ねぎ