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作れるようにならないレシピ〜カルボナーラ編〜

カルボナーラという料理があります。
ご存知の通り、老若男女問わず皆から愛されているパスタ料理です。

卵とチーズを使った濃厚でクリーミーなソースに、ブラックペッパーのピリッとした辛味がアクセントになって味を引き締めてくれます。

作るのが難しいというイメージを持たれている方が多いと思いますが、まさにその通りで、私もカルボナーラを作るときは実際にかなり神経を使っています。

でもちゃんと作ったカルボナーラって、別物と言いますか、本当に美味しいんですよね。

それではさっそく作っていきたいと思います。

材料
スパゲッティ 100g
ベーコン 適量
玉ねぎ 1/8玉
全卵 1つ
卵黄 1つ
生クリーム 45cc
粉チーズ 10g
オリーブオイル 適量
ブラックペッパー 適量
塩 お湯の重量の1%

まずは、パスタを茹でるためのお湯を沸かしている間に材料を切っていきます。

ベーコンは拍子切りに、玉ねぎは薄切りにします。

次はソースとなる卵液をあらかじめ作っておきます。

カルボナーラはパスタを茹ではじめたら最後、完成するまで止まっている暇などありません。
なので、できる準備は全てやっておく事が最大のコツなのです。

そしてこの卵液を作る時に必ず浮上する問題が、いわゆる「生クリームを入れるのか入れないのか問題」です。

生クリームを入れると滑らかでクリーミーな仕上がりになるのですが、「本場のイタリアでは生クリームなんて入れませんよ」という事でこの問題が浮上するわけです。

そこで私個人的な意見を言わせてもらうと、スパゲッティで作る場合は生クリームを入れた方が美味しく作れると思っています。

というのも、ペンネやリガトーニなどのショートパスタで作る場合はパスタ自体に存在感があるので、卵とチーズだけの濃厚でパスタに絡みつくようなソースの方が合うのですが、スパゲッティのように細い麺状のパスタで食べる場合は、緩く流れるようなクリーミーさがあった方が、私個人的には合っていると思うからです。

さらに言うと、生クリームを入れることによって卵液が固まり始める温度を少しだけ高くする事ができるので、生クリームを入れないで作る場合よりも温かい状態に仕上げる事ができるからです。

ということで、今回は生クリームを入れるバージョンで作っていきますが、「私は生クリーム入りのカルボナーラなんて絶対に認めないよ」という本物志向の方は、そのまま生クリームを抜いて作っていただければ問題ありません。

そういう頑固な部分も今の世の中を生きていく上では必要ですからね。

では「さっそくボウルに卵を割り入れて」といきたいところですが、ここでまたある問題が浮上します。

それは「全卵を使うのか卵黄を使うのか問題」です。

全卵だけで作ると比較的軽めなソースに仕上がり、卵黄だけで作ると濃厚なソースに仕上がります。しかし、卵黄だけだと固まりやすいうえに水分が少ないので、微妙な火力の調節など高度な調理技術が必要となります。

これらを考慮した結果、私はいつも全卵1つと卵黄1つで作ることにしています。この分量で作るカルボナーラは味のバランスも良く、失敗する確率も格段に少なくなります。まさに一石二鳥の割合なのです。

たまに顔も性格も素晴らしい人間を見ると何か裏があるんじゃないかと疑ってしまいますが、安心して下さい、この割合で作るカルボナーラは絶対に裏切りません。

ということで、さっそく全卵と卵黄を1つずつと、粉チーズ、生クリームをボウルに入れて、卵のコシが切れるまでフォークで混ぜ合わせておきます。

ここまでできたら、フライパンにベーコンとオリーブオイルをひと回し入れて、弱火でじっくりとベーコンから旨味の詰まった脂を引き出すようにして炒めていきます。

ベーコンから芳ばしい香りと旨味の詰まった脂が溢れ出てきたら、そこに玉ねぎを加えて更にじっくりと甘味を引き出すようにして炒めていきます。

この辺りで鍋のお湯も湧いてきていると思うので、お湯の量に対し1%の塩を入れて、同時進行でパスタを茹でていきます。

そろそろ玉ねぎから甘い香りが漂ってきた頃でしょうか。
このベーコンの芳ばしさと、玉ねぎの甘い香りだけでワインが一杯いけてしまいそうですが、そこはグッと堪えて、パスタの茹で汁をお玉で半分ほどフライパンに加えて火を止めておきます。

そして、パスタが茹で上がる前にお皿を電子レンジなどで温めておきましょう。

このお皿を温めるか温めないかで、最後まで美味しく食べ切れるかどうかが変わってきます。

カルボナーラは他のパスタに比べて仕上がりの温度が低いので、お皿が冷たいままだとすぐに冷めてしまうのです。

料理は愛情と言いますが、どちらも冷めないようにするためには受け皿を前もってあたためておく必要があるのですね。

さあ、そろそろパスタが茹で上がる頃です。

ここから先は一瞬たりとも気が抜けません。

パスタが茹で上がる直前にフライパンを弱火にかけて、少しだけ温めておきます。

そこに茹で上がったパスタを投入します。

そのままの火加減で軽く和えたら、用意しておいた卵液を素早く加えます。

火加減を弱火と中火の間くらいにして、ゴムベラを持ち、卵が固まらないように優しく混ぜながらゆっくりと火を入れていきます。
たまに火から外したりしながら、慎重に慎重に、滑らかな仕上がりになるように優しく火を入れていきます。

ここで焦って激しく混ぜたりしてはいけません。

あまり激しく混ぜてしまうと、パスタ同士がぶつかり合って表面から余分な小麦が流出してしまいます。そうすると滑らかを通り越してドロっとしたソースになってしまうのです。

表面がザラザラしたブロンズタイプのパスタを使う場合は特に注意が必要です。パスタの表面が削れてドロドロのカルボナーラになってしまう危険性があるからです。

人間関係もカルボナーラもドロドロさせないためには、あくまで「優しさ」がポイントなんですね。

しばらく加熱していくと、少しずつソースが滑らかになってきます。ここまできたら、あと一歩です。

この時点でソースが固まってしまうのを恐れて早めに火から外してしまうと、卵の生臭さが残った生ぬるいカルボナーラになってしまいます。
ですのであともう一歩、勇気を出してもう少しだけ加熱してみましょう。
大丈夫です、安心して下さい、そのために生クリームが入っているのですから心配はご無用です。

そして自分の理想のカルボナーラよりも、まだほんのちょっとだけ緩めかなというところで火を止めてお皿に盛り付けます。

この「ほんのちょっとだけ緩め」というのもポイントです。

なぜなら盛り付けてる間や、食べ始める準備をしている間に少し温度が下がり濃度が濃くなるからです。

でもこのポイントさえ守っていればバッチリです。

素早くお皿に盛り付けてブラックペッパーをガリガリ振ったら、急いでテーブルに移動して冷めないうちに食べましょう。

その頃にはちゃんと理想的な、滑らかでクリーミーなカルボナーラになっていますから。

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