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秋季東京大会ベストナイン2024

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〜12月1日 23:00

秋の東京を彩った次世代スターズ


投手 中村心大(早稲田実業)


捕手 山中晴翔(早稲田実業)


一塁 丸山敬太郎(都立小山台)


二塁 喜澤駿太(早稲田実業)


三塁 川上真(早稲田実業)


遊撃 入山唯斗(二松学舎大付)


左翼 岩橋和志(淑徳1年)


中堅 本間律輝(日大三)


右翼 花澤莞爾(二松学舎大付)


救援 及川翔伍(二松学舎大付)


甲子園準V関東一「秋ベスト16敗退」

夏は、あと一歩のところで深紅の大優勝旗を逃したが、東京勢として13年ぶりに甲子園ファイナルという大舞台まで駒を進め、たくさんの話題を振りまいた関東第一。

主軸健在もヘビロテの影響は否めず

千葉ロッテからドラフト4位指名のエース坂井遼と高校通算61発の高橋徹平を軸とするタレント軍団を形成したなか、そこに名を連ねる下級生コンビの越後駿祐と二刀流「坂本慎太郎」の働きも光った。

この秋は本来のショートに戻った越後と、坂井からエースナンバーを引き継いだ坂本、そしてもう1人の甲子園準V戦士である石田暖瀬がクリーンアップを担う、理想的な布陣で臨んだ。

かくして夏の東京を制した関一は早実と共に、例年通りの秋季一次予選が免除になる。

とはいえ、甲子園準Vによる新チームのリスクも付いて回る。国スポだ。関一は九州開催の国スポ出場校に選ばれていたが、秋季本選はその数日後

まさに超絶ヘビロテという強行日程で突入したなか、坂本ら下級生クリーンアップの三人衆は、揃いも揃って好成績を収めている。

大物1年生ルーキー「田澤心」

この三人衆に加わること、新たに2番セカンド固定で頭角を現したが、噂の関メディから越境入学の田澤心だ。

関メディベースボール学院は小学部から中学ヤングリーグ、社会人野球チームまでを構成する、2000年代中盤創設のスポーツ学校。

田澤と同様の関東越境では、1学年上の金本貫汰がビッグネームだ。以下の記事でも関メディについて触れてあるので、一読してくれ。

田澤はヤングリーグ全国制覇の2番強打者として、鳴り物入りで関東第一の門を叩く。今大会は1年生ながら、名門関一の2番セカンドを務め、国士館戦での初ホーマーを含む全試合安打をマークしてのけた。

ちなみに中学時代のキャリアを引き合いに出すのであれば、前述した坂本慎太郎の右に出る者はいない

中学日本一MVP「坂本慎太郎」

取手リトルシニアの主軸として、当時から二刀流の活躍を見せていた坂本。

ヤングリーグやボーイズリーグなど異種間での統一王座を決めるジャイアンツカップの優勝メンバーで、U15侍ジャパンにも選出され不動の2番打者として世界大会3位に貢献している。

当時の侍メンバーには、佐藤龍月(健大高崎)渡邉颯人(智辯和歌山)ら、そうそうたる顔ぶれが集まっていた。

さらに中学2年時には春の全国選抜で日本一に輝き、最優秀選手賞を受賞。

この時の優秀選手賞やベストナインは当然ながら1学年上の代が占めたなか、実は巨人ドラ1の石塚裕惺らを抑えて坂本が大会MVPに選ばれた、という経緯も特筆すべき点だ。

この秋は結果3戦止まりにはなったが、すべての試合でマルチ安打を記録。エースとしても全試合先発のマウンドに上がり、防御率2.04と力投を見せている。

大舞台に強い持っている男なだけに、このまま無冠で終わるのは考えにくい。

センバツは逃したが、そこから先は夏の甲子園も含めて坂本イヤーになるような気がしてならない。目指すは来夏、二松学舎リベンジからの東東京代表だ。

甲子園ベスト16早実「あと一歩」

福岡ソフトバンクからドラフト4位指名の宇野真仁朗を擁し、立て続けの大接戦で夏の甲子園を沸かせた早稲田実業。

甲子園バッテリーは秋もバリバリ

打の主役が宇野なら、投の主役は中村心大と言い切れるほどの活躍で高校野球ファンを魅了した。

この秋も、引き続き扇の要を担う山中晴翔との黄金バッテリーは健在。磨きを増した制球力で成長をアピールした。

これまでの野球人生で「初めて」という主将に抜擢された中村は、打撃でも夏同様に結果を出している。

大復活を遂げた七人の侍

そうした一方で夏はベンチを支える黒子役に徹し、甲子園では「七人の侍」と紹介され一躍スポットライトを浴びた喜澤駿太も、1年ぶりのスタメン復帰で結果を残した1人だ。

こうした明るいニュースとは対照的に、実はいくつか気がかりな点も。

その1つが、元巨人の三澤興一を父に持つ三澤由和だ。

トンネル長引く三澤Jr.

夏は早実の2年生リードオフマンとして、甲子園出場に貢献。甲子園では三澤Jr.の愛称で耳目を集めるも、待望の初ヒットが出ないまま終えている。

この秋はスタメンから外れ、3度の代打機会を与えられたが、いずれもノーヒット。高校時代は投打二刀流で全国トップクラスの実力を誇った父のDNAを受け継ぐだけに、スランプ脱出を待ち望む高校野球ファンは数多いる。

ちなみに三澤父といえば、巨人の平成黄金期を支えたリリーバーの重鎮的右腕。当時は松井秀喜高橋由伸らが彩り、三澤父も中継ぎの要としてリーグ優勝や日本一に貢献している。

高校時代は帝京のエースで4番を担い、3年時にはセンバツの優勝投手として甲子園史に名を刻んだ。

松井とは高校時代のライバルで、ともに2年生ながら高校日本代表に選ばれた間柄。2人が当時から親友関係にあったことでも広く知られている。

話を本題に戻そう

もう1つ、早実の気になる点が決勝の二松学舎戦にある。守備での凡ミス連発だ。

早実は2回にあっさりと先制点を許しているが、このピンチを招く元になったのは2度のパスボール

先発の中村のフォアボールから始まったものの、山中の2度のパスボールで一気に三塁まで進ませてしまう。

二松学舎大付はスクイズを試みるが、サード喜澤へのバントフライで一件落着と思いき、ナイターの照明が重なってか捕球できずに先制点を与えている。

この1点がなければ、という試合の明暗を分けた重要な一幕だ。

なおサード喜澤は、この試合で記録上「無失策」にはなっているが、複数回にわたり球際の弱さを露呈している。

早実は、9回から毎回の如く再三のピンチを鉄壁と呼べる守備で凌いだ

そして絶対的エース中村は、甲子園でも見せた通り早いイニングから簡単に点を与えるタイプの投手ではない。いわゆるクオリティスタートの成功率が高い先発完投型だ。

それだけに、今回の凡ミスは悔やまれるところではあるが、まだセンバツへの道は残されている。

横浜以上でセンバツ当確

明治神宮大会で二松学舎が横浜以上の成績を収めれば、早実のセンバツ当確はほぼ間違いない

奇しくも二松学舎と横浜の両校は、ともに1勝すれば直接対決になる。

ここ10年間における関東勢との「残り1枠」を巡る熾烈な争いは、東京3勝と分が悪いなか、二松学舎はホームで迎え撃てるという強みも。

二松学舎の神宮初陣は平日、決戦は金曜日だ。まずは、この試合を勝たなければ始まらない。

そして2戦目は土曜日早実の大応援団も駆けつければ、相手にとってはかなりのプレッシャーになる。答えは1つ、他力本願で応援するしかない。


春の東京V“帝京魂”「関一リベンジも」

旧チームのような豪打は名残をとどめず、粘り強い野球で準決勝まで駒を進めた帝京。やはり新チームの中心は、伝説の帝京メンバーとして、この秋から主将を務める梅景大地だ。

『梅景&村松』主体の新チーム

旧チームの帝京は、近年稀に見る一発攻勢で、春の東京チャンピオンまで上り詰めている。

どの打順からもホームランが飛び出す、帝京史上最強レベルを誇ったチームで、梅景は唯一の下級生にして先輩らと遜色ないパワーを発揮した。

パワーでいえば、当時は控え投手ながら春の関東大会で豪快な一発を叩き込み、二刀流をアピールした村松秀心も負けてはいない。

この秋はリードオフマンの二刀流として、梅景と共にチームを支えた。

パワー系譜を継ぐ1年生「立石陽嵩」

同じく春の関東大会で才能の片鱗を垣間見せた、池田大和立石陽嵩の1年生コンビも、この秋からスタメンに定着。

8番セカンドの池田は本大会1安打と喘ぎながらも得意の守備で無失策、不動の4番に座った立石は関一戦で公式戦初となる先制弾を相手エースの坂本から放ち話題に。

176cm90kg超と恵まれた体格の立石は、豪打の帝京魂を紡ぐ今後注目すべき右の大砲だ。

関東トップクラスが控える投手陣

そのほか今大会の出番はなかったものの、春の関東大会でベールを脱いだ身長189cm右腕の黒木大地と身長186cm左腕のパスカルJr.が控える、実は超強力投手陣であることも忘れてはならない。


ラスボス全撃破の二松学舎大付

ここまで解説してきた通り、今大会の下馬評は複数の甲子園メンバーが残る関一と早実の2強対決、という見方が大半を占めた。

ところが蓋を開けてみれば、関一に夏のリベンジを果たした帝京大本命の早実、さらには日大三をコールドで沈めた二松学舎のひとり勝ち

この1年間の東京大会まとめ

つまり、旧チームの代に甲子園戦線に一度も絡むことなく姿を消した二松学舎が、手始めに夏の西東京準Vの日大三を手玉に取り、春季東京王者の帝京も2戦連続となるコールドで撃破。

迎えたファイナルでは、西の横綱・早実を相手に延長12回の死闘を繰り広げた末、サヨナラスクイズで制する、という大快進撃をやってのけてた。

ブレない采配力

勝因は二松学舎大付・野球部の指揮官として30年近くのキャリアを誇り、カブスの鈴木誠也らを育てた名将、市原勝人監督の教え子たちを信じる心、ひいては先見の明に尽きるだろう。

詳しくは下部の「打線を組んでみた件」で述べるが、夏からブレない投手継投が象徴的だ。

夏ベスト4の一翼を担った河内紬及川翔伍右腕二枚看板が、この秋さらなる躍動を見せた。

準々決勝の日大三戦以外、すべて先発の河内からエース及川にバトンを渡す継投リレーで秋の東京王者へと上り詰めている。

大会序盤こそ失点が目立ったものの、準決勝では帝京打線を継投リレーで完封。打っても8回コールド勝ちと、打の帝京を圧倒した。

第三のエース左腕

日大三を相手に1人で投げ抜き、1失点に抑えた三番手左腕の甲斐虎茉輝頼もしい投手だ。

この試合は6回まで投手戦を繰り広げ、7回に二松学舎打線が一挙6点とビッグイニングをつくり、日大三をコールドに追い込んだ。

そんな甲斐の力投に見事に応えた打線は、リードオフマンの入山唯斗を筆頭に、スタメン4人が全試合安打を記録している。

強打&機動破壊の学舎野球

旧チームから不動の切込隊長を務める入山は、規格外の14安打と大爆発。チーム唯一のホームランも放ち(2回戦)、パンチ力の成長も著しい。

入山に次ぐ12安打をマークした花澤莞爾は、東京を代表する右の大型スラッガー

クリーンアップに座った夏から、この秋は6番と打順を下げたが、広角に打ち分けられるミート力は健在だ。

ちなみに入山と花澤は、2人で5盗塁と足でも稼いでいる。ベスト4の帝京がチーム全体で5盗塁、同じく淑徳は3、早実にいたっても4だ。

二松学舎はチーム全体で13盗塁と差は歴然。打力のみならず、かつての健大高崎を彷彿させる機動破壊で頂点の座を掴んでいる。

万能タイプのエース及川

そしてエースの及川も、センス溢れるバットコントロールを披露している。パワータイプではないものの、体重移動の使い方が絶妙だ。

持ち前の俊足も打席やフィールディングでフル活用し、投打二刀流の活躍を見せた。神宮大会では及川をどこで起用するかが、1つのポイントになりそうだ。


来春注目の厳選3校


21世紀枠推薦校の淑徳

夏と同じバッテリーを擁し、過去最高の東京ベスト4まで駒を進めた淑徳。創部史上最強の呼び声高いチームの中心選手は、センターラインを担う4人だ。

扇の要で主将の下居優斗、エース右腕の八重尾蓮、1年生でチーム最多の8安打をマークしたショート定岡映太、そして未完の大砲ことセンター岩橋和志

下居以外の3人は、東練馬リトルシニア出身という間柄にある。

1年生スラッガー「岩橋和志」

なかでも岩橋は八重尾ら身近な先輩たちの活躍を知り、淑徳への進学を決意。

中学時代は左肘を痛め、思うようなプレーはできなかったものの、このクリーニング手術後のリハビリ期間に転機が訪れた。

いわゆるネズミ取りに成功した岩橋はメジャーリーグの動画視聴に明け暮れ、当時の研究成果を淑徳入学後のプレースタイルの基盤へと繋げている。

高校生にしては稀有な大リーガーさながらのアッパースイングが岩橋の特徴だ。この秋は不発に終わったものの、チームトップとなる4本の長打を放っている。

さらに守備でもメジャーリーガーばりの好プレーを連発。シックスセンスを生かした背走キャッチで、チームの危機を何度も救ってのけた。

今年は、創部初のセンバツ21世紀枠における東京の推薦校にも選手され、例年以上の高まりを見せる淑徳。

私立の最終選考クリアは最難関なところではあるが、今夏の東東京を沸かせた岩橋の甲子園デビューは激アツ必見だ。


名物「冬季合宿」の日大三

ベスト8でコールド敗退という耳を疑うような結果に終わった日大三。

旧チームのスタメン組である本間律輝松岡翼以外ほぼフレッシュな顔ぶれで臨んだが、昨秋と同じ二松学舎を相手に再びコールド負けを喫している。

昨年は壮絶な打ち合いで終盤に離され、今年はワンサイドゲーム。いずれも終盤にビッグイニングを許す展開で敗れ去った。

それでも夏の日大三で知られているだけに、冬場の成長は例年通り今年も侮れない。冬季合宿から捲土重来の球春が、日大三のルーティンだ。


実はセンバツ準V堀越「レジェンド復活へ」

奇跡のセンバツ準優勝から半世紀以上が経つ古豪堀越。1990年代には球界を代表する岩隈久志井端弘和らを輩出している実力校だ。

残念ながら2000年代以降のプロ選手誕生は遠のいていたが、今年のドラフト会議で堀越出身の渡辺悠斗(富士大学)が広島カープから4位指名を受け話題に。

実に岩隈以来、25年ぶりとなる堀越からプロ野球選手が誕生している。

この秋の堀越といえば、旧チームからエースナンバーを背負う西川瑠按と二刀流の平子太一を軸に、多くのスタメン組が残る形でベスト16まで駒を進めた。

最終試合となった明大八王子との一戦は、序盤に積み重ねられた5失点が命取りに。堀越打線は中盤以降に追い上げを見せたが、サブマリンの相手エース上原和玖を攻略できず。

とはいえ初マウンドを踏んだ雨宮悠が終盤の3回を無失点に抑えるなど、収穫も少なくない。

雨宮は夏の大会で4番を張った右の巧打者。今大会はクリーンアップから外れたものの、リリーバーとして新境地を見出している。

堀越注目の3人衆「平子・綱川・金子」

雨宮に代わり、新たに堀越の4番を任された左打者の綱川陽6安打4打点と仕事をまっとう。

同じく新戦力の金子憲伸も9番ながら4安打4打点と下位の要的な存在感を示した。

全3戦でチーム最多の8安打を記録した平子は、2盗塁と足業も披露。本大会初戦ではクローザーを務め無安打ピッチング、まさに走攻守・三拍子揃った秀逸プレイヤーだ。

ここまでチームの戦力が揃っている以上、春の大会は見逃せない。


東西融合ドリーム打線を組んでみた件

そんな訳で、今回は秋季大会準々決勝以上の進出校、かつ3試合以上の出場選手からドラ穴独自のベストナインを抜粋。

最強打線に沿いながら、秋の高校野球を彩った東京球児たちの大会成績や特徴などを見ていこう。


1番センター 本間律輝(右投左打)

打率.333 OPS.868 出塁率.368 長打率.500
得点圏打率.333(6-2)

海老名シニア出身:176cm70kg

1年秋から名門・日大三のスタメンに定着。その名を知らしめたのは、やはり2年夏の2試合連続先頭打者弾だ。

高校通算11発

今大会は不発に終わったが、パンチ力は例の2戦連発を含む夏合計3ホーマーと証明済み。

さらに不動のリードオフマンを担っていただけあり、走力もチーム屈指を誇る。

この秋は率こそ目立った数字を残せなかったものの、不利な左腕を相手に打率4割(15-6)、OPS10割超と奮闘。左腕6人に対し、右腕は2人のみだ。

冬場の体重増やパワーアップに成功できれば、春以降のホームラン量産は充分に有り得る。


2番ショート 入山唯斗(右投右打)

打率.500 OPS 1.247 出塁率.533 長打率.714
得点圏打率.364(11-4)

大宮シニア出身:170cm62kg

中学時代からシャープなスイングとボディバランスに定評があり、高校での活躍を嘱望されていた入山唯斗。

入学後は1年秋から不動のリードオフマンとして、この秋は自己キャリアハイを大幅に更新する大会トップの14安打と当たりまくった。

右腕・左腕を問わず、どちらの投手が相手でもハイアベレージを残している(右腕10人:打率5割、左腕4人:打率5割)。

秋無双の神宮キーマン

そんな打撃にとどまらず、大会無失策と鉄壁な守備も魅力だ。決勝では満塁のピンチを、ショート深い位置からの見事なバックホームで防いでいる。

攻守で試合の流れを変えられる入山は、明治神宮大会でも間違いなく鍵となる1人だ。


3番ピッチャー 中村心大(左投左打)

先発5 完投3(完封1) QS5 HQS4

京都・烏丸中学校出身:177cm83kg

関東第一の田澤同様に、関西から越境入学の中村。早実は野球部寮を設けていないことから、家族で東京に移り住んでいる

中学まで軟式野球ながら1年夏に公式戦のマウンドを踏み、続く秋の大会では主戦投手としてベスト4進出に貢献。

あと一歩のところでセンバツ切符を掴み損ね、雪辱の球春を迎えたなか、左肘の靭帯を損傷するアクシデントに見舞われる。

家族パワーに勝るものなし

リハビリに費やしたことで、春季大会は出番なし。それでも家族の献身的なサポートもあり、6月には実践復帰を果たす。

父からアドバイスを受けた下半身の筋力トレーニングが奏功し、夏の甲子園では偉大すぎる早実OBの王貞治以来となる左腕の完封劇で一躍話題に。

ベスト8を懸けた大社戦でも白熱の投手戦を繰り広げ、甲子園史に名を刻んだ。

MAX145km「早実のドクターK」

この秋は温存策からか、初戦ベンチスタートになったが、以降は全試合先発のフル稼働。

ほぼ1人で投げ抜く鉄腕ぶりを見せ、甲子園を上回る防御率を残している(1.50→1.13)

夏の西東京大会における防御率7点台前半からすれば、見違える安定感だ。

打棒も健在「東京随一の二刀流」

打撃も引き続き好調で、出場した全ての試合でヒットを記録。流石は夏の西東京大会で8安打8打点を誇っただけはある。

前述の通り、早実のセンバツ出場は二松学舎の横浜以上に懸かっているが、中村も関東第一の坂本並みに持っている男ゆえワンチャンの期待大だ。

打率.400 OPS.905 出塁率.455 長打率.450
得点圏打率.333(6-2)

4番ライト 花澤莞爾(右投右打)

打率.571 OPS 1.267 出塁率.600 長打率.667
得点圏打率.500(10-5)

京葉ボーイズ出身:183cm72kg

中学時代はジャイアンツカップの準Vメンバーとして、決勝で坂本慎太郎らを擁する取手シニアと対戦している。

二松学舎では1年秋からスタメンに定着し、全4試合で8安打4打点。そのうち2ベースが4本と長打力を見せつけた。

翌2年夏は不動の3番を担い、全6試合で7安打4打点と奮闘。そして、この秋は二桁安打の自己キャリアハイ更新と、成績を右肩上がりに伸ばしている。

三拍子タイプの広角スラッガー

入山同様に右腕・左腕を問わずハイアベレージを残し、広角に放てるのが花澤の特徴。得点圏でも勝負強さを発揮し、右対右打率6割超(13-8)と凄まじい。

内野安打や長打に変えられる脚力にも定評がある、走攻守・三拍子揃った大型の長距離ヒッターだ。


5番ファースト 丸山敬太郎(右投左打)

打率.500 OPS 1.349 出塁率.563 長打率.786
得点圏打率.429(7-3)

糀谷中学校出身:177cm78kg

夏あと一歩のところでベスト8を逃した小山台。修徳との16強対決は延長11回タイブレークまでもつれ込み、1点を争う死闘でスタンドを大いに沸かせた。

丸山は、この秋デビュー組の1人。下位の要的な働きを見せ、先輩たちを阻んだ16強の壁突破に貢献している。

都立小山台のポイントゲッター

やはり特徴は全試合で長打を記録したパワーだ。左対左も打率.556(9-5)と苦にしない傾向にある。

早実とのベスト8対決では、左腕の中村心大から先制のタイムリー2ベースを含む3打数3安打を記録する、ひとり攻略で気を吐いた。


6番サード 川上真(右投右打)

打率.409 OPS 1.162 出塁率.435 長打率.727
得点圏打率.429(7-3)

明石ボーイズ出身:179cm75kg

中学時代は、関西の名門ボーイズでエースの福田拓翔らと共闘。川上もクリーンアップに座る、内野手兼投手の二刀流というチームの中心選手として活躍している。

二刀流のMAX138km右腕

早実進学後は1年秋に公式戦初先発を任され、以降はリリーバーとして投手に専念。

夏の西東京大会や甲子園では、局面に登場しては見事な火消しを演じ、チームの危機を何度となく救っている。

頼もし過ぎるポテンシャル

この秋は打って変わって打者に専念し長打5本、守備でも宇野真仁朗から引き継いだショートで無失策と結果を出した。

決勝の二松学舎戦では、三塁到達12.28秒という高校級の足も披露している。

今大会は全て右腕との対決ながらも、OPS10割超をマーク。大会終盤からは返せるリードオフマンとして、得点機会に何度も絡んだ。

高い身体能力を有するだけに、今後は伸びしろしかない。


7番キャッチャー 山中晴翔(右投右打)

打率.476 OPS 1.307 出塁率.593 長打率.714
得点圏打率.333(6-2)

横浜青葉シニア出身:184cm79kg

中学時代は神奈川の名門シニアで4番ショートを務めた山中。

横浜青葉シニアといえば、その伝統はもちろん、これまで数多のプロ野球選手を輩出していることでも有名だ。

早実進学後は中村心大同様に、1年夏からスタメン起用。続く秋と2年春は代打機会で出場し、夏は背番号2を勝ち取り中村との黄金バッテリーを形成した。

全6試合でスタメンマスクを被り、8安打6打点と自己キャリアハイを大きく更新する形で、甲子園切符に貢献している。

強肩強打の早実4番

この秋は長打力がアップし、さらなる自己キャリアハイをマーク。川上と同じく全て右腕との対決で、好成績を収められた点は大きい。

二松学舎との決勝ではキャッチングミス連発を露呈した反面、実はポップタイム1.97秒(5回裏)というポテンシャルの高さも披露した。


8番レフト 岩橋和志(左投左打)

打率.368 OPS 1.139 出塁率.455 長打率.684
得点圏打率.429(7-3)

東練馬シニア出身:180cm71kg

中学時代は前述の通り、左肘のリハビリや療養期間にメジャーリーガーの打撃や動きを取り入れようと熱心に励んだ岩橋。

淑徳入学後は万全な状態で高校野球をスタートし、早くも1年夏に成果を出した。

衝撃の公式戦デビュー弾から始まり、終わってみれば全5試合で8安打2ホーマー3打点の大躍進。長打5本と今後の期待を膨らませている。

強振フォロースルー

持ち前の長打力は、この秋も健在。全5試合で7安打3打点のうち4本の長打を放っている。ただ、超絶アッパースイングならではの欠点も露呈した。

最終戦となった早実との準決勝では、本格派左腕の中村心大と対峙。中村はキレのある重たいストレートを投げ込む、最速145kmの奪三振タイプだ。

岩橋は大胆なフォロースルーで長打を量産できる力があるものの、一定以上の球速を誇る投手のストレートに対応できるまでのレベルではない

中村と同じく重たい球を投げる、帝京の小野寛人と夏に対決した際も振り遅れている

そして中村との対決でも4タコ3三振と全く歯が立たなかった。

とはいえ、そこまでの飛距離を出し、ホームランを放てる能力は、そう簡単に備わるものではない。

21世紀枠でのセンバツ当確なら、また一歩、大きく前進するに違いない。


9番セカンド 喜澤駿太(右投右打)

打率.522 OPS 1.174 出塁率.522 長打率.652
得点圏打率.455(11-5)

栃木下野シニア出身:164cm65kg

中学時代からチームの主将として、シュアな打撃を誇った喜澤。明治神宮大会に出場する、聖光学院の古谷野太心(1年生)とは元チームメイトの間柄にある。

早実入学後は1年秋からスタメンの座を勝ち取るも、翌春以降はベンチの温め期間が続く。

夏の甲子園出場時には、マスコミが裏方に徹するひたむきな姿を取り上げた「七人の侍」で反響を呼んだ。

ガッツ溢れる安打製造機

この秋は、そこからのV字回復すぎる結果を残してのけた。12安打6打点4犠打は、いずれもチームトップだ。

小柄ながらも振り遅れない鋭いスイングで、チャンスメイクに勝負どころと八面六臂の活躍を見せた。

川上や山中同様に全て右腕との対決で、これだけの結果を出した点は天晴れだ。


クローザー 及川翔伍(右腕)

すべてリリーフ登板

京華中学校:177cm73kg

中学時代は八千代ボーイズの主戦投手として、この秋から拓大紅陵のクリーンアップに座る平山颯大と二枚看板を形成。ボーイズ千葉選抜でも投手陣の軸を担った。

二松学舎では、2年夏のチーム初陣で3番手として初マウンドを踏んで以来、河内紬との継投リレーによるクローザーとして頭角を現す。

結果5試合すべてリリーバーで登板し、18.2回を自責点2防御率0.96をマーク。四死球も僅か2つしか与えない好投で、東東京ベスト4に貢献している。

俊足巧打の無双クローザー(MAX141km)

今大会も引き続き抜群の制球力を誇り、打たれても簡単に点を与えない投球術で防御率1点台をキープ。打席でも非凡なバットコントロールを発揮している。

早実との決勝では、6回内野安打の際に一塁到達3.92秒を記録。クローザーゆえ少ない打席機会ながら3打点と、勝負どころでの強さも見せている。


激アツ動画コーナー


次代を牽引する東京の高校球児、それが今回のベストナインだ。

この秋の厳選プレイバックを集めてみたが、やはり夏の甲子園と東西東京大会における彼らの雄姿を抜きには語れない。

まずはU18侍ジャパン戦士の櫻井椿稀を擁する鶴岡東との激闘にピリオドを打った中村心大のサヨナラ安打、徳島インディゴソックスに入団する鳴門渦潮の森高祐吏vs川上真という早実2番勝負から。

同じくU18侍ジャパン戦士で国スポ優勝に貢献した明徳義塾の山畑真南斗坂本慎太郎による番外編特別プレイバック、夏の東西東京大会で魅せた岩橋和志本間律輝衝撃弾も必見だ。


中村心大vs東北最強の二刀流

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11月14日 19:30 〜 12月1日 23:00

幸運とは、ちゃんと身銭を切った人だけに返ってくるもの。それこそが本当の「金は天下の回り物」。