見出し画像

元映画嫌いの人生が変わった映画 part2 「インセプション」

※ネタバレなし
※一体誰に向けたnoteなんだろう…

(1)インセプション(原題:Inception)とは

2010年に公開されたSFサスペンス映画。主演はレオナルド・ディカプリオ。他には、渡辺謙、ジョセフ・ゴードン=レビット、マリオン・コティヤーなどの名優揃い。
監督は、「ダークナイト」「インターステラー」「テネット」などを手がけたクリストファー・ノーラン。
第83回アカデミー賞では作品賞など8部門にノミネート。撮影賞・視覚効果賞・音響編集賞・音響録音賞、の4部門を受賞した。

僕はクリストファー・ノーラン監督の映画が大好きだ。最も尊敬する映画監督。
そしてインセプションは、僕がクリストファー・ノーラン監督を大好きになるきっかけ、運命の作品だ。

このnoteでは、自分が好きになった経緯と要素を書き出す。表現面の話中心(素人です)がほとんどなのでご了承ください。。

※演技はもちろん全員素晴らしい。デカ様ってほんま演技上手いなって思う。あと僕は、この映画を機にジョセフ・ゴードン=レビットのファンになりました。カッコよすぎ。名前だけでも覚えてってください。

画像1


(2)きっかけは、とあるツイート

2020年6月、下記ツイートを目にした。
「映画アクティビスト」として活動されているDIZさんのツイート。

ツイートを見た第一印象は「なんこれ????」

「インセプション」という映画を、当時は全く知らなかった。このコマが一体何なのか、全く分からなかった。

でもこのツイートを見たら、そりゃあ誰でも気になる。駒なんて何年振りに見たことか。
その時すでにNETFLIXに入会しており、インセプションが配信されていた。ので、さっそく観始めた。ほんと軽いノリ。何かおもしろいらしい、程度の印象しかなかった。

(3)感想

以下、観ている時の感情のタイムラインを記載。

==========
え、どゆこと?

ああそういう設定か

え、どゆこと?

え、どゆこと??

がんばれー

は、どゆこと???

は、どゆこと????

え?!

え?!?!
==========

僕(文系)はセンター試験の国語が、200満点中80点くらいだった。現代文は100点中30~40点だったかな…。語彙力の無さを今まさに悔やんでいる…。

いやもうね、それくらい映画に振り回された。こんな映画観たことない、と。僕は映画を自分なりに解釈する時間をつくるクセがある。そのクセが付いた最初の作品かもしれない。インセプションについては、マジで2~3時間考え込んだ。

以下では、インセプションの表現力がいかに凄いかを語る。
以上までを読んで興味が沸いた人は、このnoteを閉じてください。
今すぐネトフリやアマプラで映画観てください。

よろしくお願いします。

(4)何がすごいのか ─ 身近な題材 ─

画像2

インセプションの題材は「夢」。夢は誰でも見るもの。何かで読んだんだけど、夢って誰しも毎晩見るらしい。ただその夢を「覚えている」か「覚えていないか」の違いが生じるってだけらしい。

人によると思うけど、僕は「めっちゃ長い夢」をよく見る。例えば数十分の二度寝のはずが、夢の中の体感では何時間も経過した、みたいな。こういう体験は「あるある」かなと思う。

SF映画の題材って、宇宙やら科学薬品やら異次元やら超能力やら、非現実的な物が使われがち。でもインセプションの題材は「夢」。人間誰しもが経験する物。

身近な物を題材にしたSF、これがどう影響するか?それは映画の内容を、自分ごとのように考えやすくなることに繋がるのだ。
インセプションを観た後、あなたは必ず夢を見るタイミングがやって来る。その時、インセプション鑑賞後の感情が沸いて出てくるはずだ。
ネタバレになるからこれ以上言えないのが辛い。

(5)何がすごいのか ─ 知らされない伏線 ─

画像3

伏線回収、という言葉をよく耳にしませんか?(敬語)

■「伏線」とは
・小説、戯曲、詩などで、後の方で述べる事柄を予め前の方でほのめかしておくもの
・後の事の準備として、前もってひそかに設けておくもの

■「伏線回収」とは
・事前に張っておいた伏線を成立させること
・張られていた伏線が明らかになること

※引用元:https://eigobu.jp/magazine/fukusenkaishuu

伏線回収のためには、「伏線」を観る側に認識させる必要がある。もちろん、認識させる必要が無いケースもある。ただ、認識させたほうが、伏線回収時に観客が得られる高揚感を、リアルタイムかつ熱狂的に与えられる。

この映画は、伏線提示の上手さが超越している。なぜなら、"しれっと"伏線を提示するからだ。

この映画は、そもそも物語・設定がわかりにくい。観る側は、映画を解釈するのに必死になる。にも関わらず、観る側は最終的にとんでもなく驚く。いつの間にか、観る側に伏線を提示しており、伏線回収時の高揚感が凄まじい。

よくホラー映画で「恐怖が起こる前のカットで、おどろおどろしいBGMが流れ始める」ことがある。伏線とは少し異なるが、「はいここ注目!」的な表現を用いることで、観る側を緊張させることが出来る。そしてその後緊張を一気に開放(恐怖・驚愕・安堵など)することで、観る側がその映画に感情移入しやすくなる。

しかしインセプションは、「はいここ注目!」という伏線自体が分かりにくい。観る側はいつの間にか緊張を抱かさせられる。そして映画が観る側の(潜在的な)緊張を開放させた時、観る側は緊張・驚愕を同時に得ることになる。

この時の高揚感と言ったら、マジ明治安田生命。
最後のほう、僕は鳥になった。たぶん羽が生えた。

(6)何がすごいのか ─ 余白の表現 ─

画像4

物語制作のセオリーとして「設定」「キャラクター」「時間」「場所」「誰の主観か」を、観る側に随時説明する必要がある。シーンが変われば、その都度説明するのが望ましい。もちろんセリフや字幕で説明するのもアリだし、建物・アイテム・服装などで表現することも出来る。その中でも特に難しいのが「メタファー(暗喩)」。設定やキャラクターの想いを直接は表現せず、何かに代替して表現する手法だ。For example、壁紙を真っ赤にすることで「現実ではない異空間」「殺意」「怨念」などを表現できる。あとは、映画の画面を揺らすことで、「地震」だけでなく、そのキャラクターの「目まい」「感情のぐらつき」を表せる。

メタファーを用いることによる最大のメリットは、「設定・キャラクター感情・ストーリーを全ては説明しない」ことだ。

…「は?」だと思う。いや僕も書いときながら「は?」って思った。制作側が手抜きしてるみたい。
でも違う。もっとかみ砕くと「観る側に、設定・キャラクター感情・ストーリーを考えさせる自由、を与える」ことに繋がるのだ。のです。

例えば当たり前だけど、物語の"オチ"って知りたいじゃん?(馴れ馴れしい)
でも"オチ"を明確に提示されると、"オチ"の答えがそれ1つになるんよね。
観る側次第では、答えが知れたほうがスッキリするって思うかもね。

ただ僕は思う。
それじゃつまんない!!

自分の人生の"オチ"を知っている人は居る?明後日のランチのメニューすら未確定な人が大半じゃない?
人生は何が起こるかわからない。だから不安になるし、だから楽しい。

制作物において"オチ"を提示すること自体はアリだと思う。でも何だろう…二次創作的な発想の余地が無くなるのよね。
「俺がこの映画の主人公なら、この後こういう行動を取るかな!」とか「俺が原作者なら、このシーンの真相は●●って考えるかな!」とか。そっちのほうがオモロくない?

話を脱線させる。
僕は美術館に行くのが好きなんだけど、「作品を観た後に解説文を読む」派だ。これは美術館側が良くないんだけど、たいていの美術館は解説文→作品の順番で展示する。そりゃ大体の人はその順番通りで鑑賞するよね。
でも、今度試しにその順番を逆にしてみてほしい。作品→解説文の順番で鑑賞してみてほしい。すると、「何この絵意味わからん」とか「え…なんでこんな描き方してるの」って一度考えるようになる。そっちのほうが間違いなく楽しいし、"自分の考え方"を知ることが出来る。芸術の本質的な楽しみ方だ。

話を戻す。
映画で"オチ"を明示することは、美術品を解説文→作品の順番で鑑賞するのと同じ。問題集の解答を先に読んじゃうのと同じ。観る側に考えさせる余白を塗りつぶす行為だ
考えるという階段を踏んだほうが、観る人それぞれで解釈が分かれて会話・議論が生まれる。コミュニティが生まれる。社会に繋がる。
これこそ、芸術の最高名誉だと僕は思う。

ただ、インセプションのすごい点は、頭を空っぽにして観ても面白いし伏線回収に驚愕できることだ。カッコいいアクションシーンやド派手な演出が散りばめられている。
この塩梅(分かりやすさと難解表現の両立)はかなり難しい。この塩梅を達成するインセプションは、本当に凄い。

(7)さいごに

インセプションは語り出すとキリがない映画。当たり前のことかもだけど、観た人同士じゃないと語れないのが悲しい(優越感)。

このnoteが、ノーラン教の福音書にちょっとでもなれたら幸い。

https://www.netflix.com/jp/title/70131314?s=i&trkid=13747225&vlang=ja&clip=81029368

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?