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アート

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美術館やギャラリーの訪問備忘録。現代美術が好きで、もっと勉強したい。
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Nerhol 水平線を捲る

Nerhol 水平線を捲る

千葉市美術館で「Nerhol 水平線を捲る」展を観た。

グラフィックデザイナーの田中義久と、彫刻家の飯田竜太によるアーティストデュオ、Nerhol。
過去のプロジェクトの再構成から新作まで紹介されていて、Nerholとしてはこれまでにない規模の展示となっている。

「半立体」に時間が閉じ込められたような作品たちは、ピントが合っているのに合っていないような、まさに変化そのものを作品にしているような

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辰野登恵子 → クゥワイ・サムナン → Rhizomatiks

辰野登恵子 → クゥワイ・サムナン → Rhizomatiks

TERRADA Art Complexにて、ANOMALY「辰野登恵子展」、小山登美夫ギャラリー「クゥワイ・サムナン Das Pralung(目覚める精霊たち)」、KOTARO NUKAGA「Rhizomatiks Beyond Perception」を観た。

辰野登恵子の作品が観たくて天王洲のANOMALYへ。他のギャラリーでもおもしろい展示があった。

辰野登恵子展抽象画家として知られる辰野

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吉田克朗展 ― ものに、風景に、世界に触れる

吉田克朗展 ― ものに、風景に、世界に触れる

埼玉県立近代美術館で吉田克朗展を観た。

吉田克朗の全体像を紹介する初めての回顧展。吉田克朗の作品は、「もの派」時代の《650 ワットと 60 ワット》くらいしか知らず、「もの派」から離れた後にこんな展開があったことに驚いた。

展示室には作家の制作ノートも展示されており、制作の意図の一端を伺い知ることができる。制作の手法には変遷が見られるが、一貫して「もの」と作家自身の関係から生まれるもの、そし

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カール・アンドレ  彫刻と詩、その間

カール・アンドレ 彫刻と詩、その間

DIC川村記念美術館にて、カール・アンドレ展を観た。
1960年代後半のミニマル・アートを代表する彫刻家カール・アンドレ。埼玉県立近代美術館の竹岡雄二展に関連して興味を持っていたが、実際に作品を見るのは初めてだった。
本展は日本の美術館における初めての個展であり、彫刻だけでなく詩もまとまったかたちで紹介されている。
なお、作家は展示準備期間中の2024年1月24日、88歳で亡くなっている。

石や

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アブソリュート・チェアーズ

アブソリュート・チェアーズ

埼玉県立近代美術館で「アブソリュート・チェアーズ」展を観た。
「椅子の美術館」が「椅子」の新たな視点に挑む意欲的な展示で、「美術館の座れない椅子」「身体をなぞる椅子」「権力を可視化する椅子」「物語る椅子」「関係をつくる椅子」の5章で構成されている。

人が座る道具としての椅子が、人とのつながりが強いが故に、それ自体が生命を持っているような感覚があった。

展示は2024年5月12日まで。
http

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中平卓馬  火―氾濫

中平卓馬 火―氾濫

東京国立近代美術館の「中平卓馬 火―氾濫」展を観た。
ずっと興味はあったけれど、展示という形に巡り会えたのは今回がはじめてだった。
中平の作品と思考の変遷が、多くの写真とテクストで丁寧に紹介されている印象だった。急性アルコール中毒による昏倒から再起に向かう1978年の、文面から不安が滲み出る日記も展示されていた。

それにしても、なぜ植物図鑑なのか。以下は、はじめて「植物図鑑」というタイトルの写真

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もじ イメージ Graphic 展

もじ イメージ Graphic 展

21_21 DESIGN SIGHTの「もじ イメージ Graphic 展」を観た。やっと行けた。
デザインの裏にあるデザイナーの思考を垣間見る。
そして、日本語って、複雑で、おもしろくて、かっこいいなぁと。
2024年3月10日まで。
https://www.2121designsight.jp/program/graphic/

イン・ビトウィーン → 永井天陽 遠回りの近景

イン・ビトウィーン → 永井天陽 遠回りの近景

埼玉県立近代美術館にて、企画展「イン・ビトウィーン」とアーティスト・プロジェクト#2.07「永井天陽 遠回りの近景」を観た。

イン・ビトウィーンイン・ビトウィーンは、3人の収蔵作家と1人のゲスト・アーティストの作品で構成され、さまざまな手法を用いて他者との境界やアイデンティティについて思索を深める足跡が紹介されている。
メカスの作品を見ることができてよかった。2024年1月28日まで。
http

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さいたま国際芸術祭

さいたま国際芸術祭

10月7日開幕のさいたま国際芸術祭の内覧会に招待いただいた。

メイン会場となる旧市民会館おおみやは、目ワールド全開だった。
導線もなく迷路さながら、虚実入り混じった会場で、アクリルの壁を通して「見る/見られる」の関係も意識させられる。
会場は変化し続けるとのことなので、会期中にまた来てみようと思う。

芸術祭のテーマについてのステイトメントを引用。会期は2023年10月7日から12月10日まで。

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