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台北ヴィーガンぶらり旅②豆花にはじまり豆花に終わる2日目〜活動仲間編

*①の続きです。




本気のスコールで雨宿り



台北2日目の朝は寝坊。宿の近くには美術館や博物館もあり、午前中はそのどれかに行こうと思っていましたが、あまり時間がなくなってしまったので、シャワーを浴び、ちょっと仕事をしてから近所をうろうろ。外はやはり暑いです。

見慣れた日本語の看板も。

わたしが泊まったホステルの周囲は学生街で、学習塾がたくさんあります。日本と同じかそれ以上に子どもたちの教育競争は激しいそうで、塾の前にはおそらく志望校に合格した学生たちの名前が張り出されています。

その足で台北病院駅へ。

雲行きが怪しい・・・。

台北病院駅の目の前は、台湾発の西洋風公園である二二八和平公園。侯孝賢(ホウ・シャオシェン)の映画『悲城情市』でも描かれている二二八事件にちなんで名付けられたそうで、事件の背景を説明した記念館もあります。

今日はちょっと離れたお店でモナと待ち合わせる予定だったのですが、電車に乗り、台電大楼駅に着いた途端、スコールが!!

乗客みんな足止めを喰らって雨宿り。

でもこういう時間ってなんか好きだな。

日本でも夏の暑さがどんどん苛烈になっていて、突然のスコールが増えているけど、気候変動の影響を年々肌で痛感するよね。「みんなで我慢する」ではなく、「このままじゃやばいからなんとかしよう!」という方向になっていってほしいし、そうしていかないといけないなぁと思います。



幸福豆雲豆花で豆乳ラーメンを食う


少し雨が弱まったタイミングで外へ。朝ごはんを食べていなかったので、待ち合わせの前に先に軽く食べようとあたりを散策。サブウェイにもヴィーガンメニューあるし、コンビニにもたくさん気になる商品あるし、うーん、選び放題で困る。贅沢な悩みだなぁ。

なかなかしっくりこずに、ヴィーガン御用達アプリHappyCowでお店を検索していると、豆花(トウファ)のお店が近くにあることを発見! トウファ食べたさに雨の中を早歩きで歩きます。

お店に到着。台湾の地元のお店ならではのいい雰囲気。

ちびまる子?…ではなさそうだ

トウファを食べるつもりが、メニューに豆乳拉麺(ラーメン)の文字を発見してしまい、気づいたらラーメンを注文していました。

豆乳ラーメン〜!

思ってたより塩気が控えめです。このあと他のお店でも体験するけど台北だとラーメンが全体的に塩分控えめ。日本のラーメンってしょっぱいもんね。

お店のおじさんがスマホの翻訳アプリを出して「塩気足りない?」と聞いてくれます。「ちょっと足りない」というと、追加のスープをつくってくれました。 

わたしはまったく中文がわからないので旅行中は英語でやりとりしていたのですが、台北でも英語が通じないことは多いです。こうやって翻訳アプリを通じて、ほとんどどの国でも現地の人とやりとりできるようになったのも、実はこの数年だよね。

お店のおじさんに「どこからきたの?」と聞かれて「日本から来ました」と言ったら、「デザートごちそうするよ」と言ってくれたのですが、時間がないからまた今度くるね、とお店をあとにしました。

【幸福豆雲豆花】
住所 台北市台北市羅斯福路3段283巷36號HP https://www.facebook.com/profile.php?id=100064241670796&sk=about



カフェ靈感咖啡のシナモンロール


無事、お腹が満たされたところで、待ち合わせ場所のカフェにいきます。

階段をのぼり・・・

靈感咖啡に到着!

中はおしゃれなブックカフェ。

モナとイラストレーターのノアノアさん(施暖暖さん)と無事合流〜!

*ノアノアさんのウェブサイトはこちら。とっても可愛いイラスト満載。

霊感珈琲という名前を聞くと思わず第六感の方を想像しちゃうけど、「インスピレーション」という意味だそうです。

ひとまずわたしは抹茶ラテとシナモンロールを注文。もちろんどちらもヴィーガン!

シナモンロールは幸せの味。

店内にはお坊さんの姿もありました。

台湾では特定の宗教に属さずに民族宗教を実践している人が多いそうですが、仏教はポピュラーな宗教の一つで、今回の旅行中でもちょくちょくお坊さんの姿を目にしました。台湾のお坊さんの多くはベジタリアンだそうで、不殺生戒に従い、殺生由来のものは口にせず、ベジタリアンの食事を敬虔に貫いています。街のお店でもよく見る「素食」がその食事にあたるそうです(*参照『台湾を知るための72章』)。

そういう宗教生活が身近にある環境が、台湾におけるヴィーガン・ベジタリアンへのハードルを下げている部分は大いにあるみたい。日本の仏教でも精進料理はあるけれども、そんなに身近じゃないよね。どうしてこんなに状況違うんだろう。

【霊感珈琲】
住所:台北市大安區新生南路三段84-6號3樓
HP:https://www.facebook.com/mydesycoffee


台湾の動物絵本事情


お茶とスイーツをいただきながら、3人でのんびりお話。

モナとノアノアさんは、毛皮の問題についての絵本を出版されていて、来年日本語でも翻訳を出版する予定です。

(写真:https://www.subscribepage.com/foxbaby_foxmotherより)

残酷な現実について描きながらも、重層的で美しい芸術作品になっています。

『毛皮についての10の質問』というZINEもあるよ! ただしこちらはもう在庫なし。こちらも日本語での出版を画策中なのでしばしお待ちを。

モナとノアノアさんは大学時代からの友達。ノアノアさんはヴィーガンではなく活動家でもないそうなのですが、モナがいつも動物のことを話しているのを聞いていたので絵本で一緒に仕事をしようと思ったそうです。活動していく上で、ヴィーガン・ノンヴィーガンに関わらず、活動家とアーティストが協力しあうことは台湾ではよくあることなんだって。


たとえばこれは「台灣動物平權促進會Taiwan Animal Equality Association(TAEA)」という動物保護団体が寄付のお礼に出しているヴィーガン手作り石鹸。ゆるい猫のイラストがいいね。

日本の動物保護団体でもそういうかわいいグッズを配布したいとわたしも思うのですが、日本の団体は経済的に余裕がなくてなかなかできないだろうな・・・。日本人の寄付率は致命的に低く、動物保護のNPO等も経済的にゆとりがないのが現状です。

一方、この台灣動物平權促進會(TAEA)はいろいろな方向からアプローチしていて、ノアノアさんの手元にあるこちらの絵本もこの団体が出しているもの。この絵本は台湾におけるさまざまな動物の問題について、かわいいイラストを用いながら描いてあります。

ノアノアさんが1ページずつ解説してくれたよ。

動物園や畜産動物、ペットの問題など、日本と共通している問題もたくさんありましたが、はじめて聞いたものにはハトをつかったギャンブルがありました。また、イノシシを捕まえるための罠も、さまざまな動物を怪我させてしまって問題になっているそうです。

わたしもプレゼントに自分の本とか持ってくればよかったんだけど、あいにく手持ちがなかったので、2021年の小田急線殺傷事件を題材に描いた「怪獣たち」という詩を2人に見せました。「幸せそうな女性」を狙ったとされるこの事件ですが、ノアノアさんはこの事件のニュースを知ってたって。

ちなみにこの詩は『現代詩手帖2022年8月号 特集 わたし/たちの声 詩、ジェンダー、フェミニズム』に掲載されてますが、その後わたしは、この雑誌の巻頭文を書いた著名な詩人かつフェミニストから二次加害を受けることに。フェミニズムの号に書いているフェミニストが性暴力被害者に二次加害するとか皮肉すぎるよね。



でも現実って、そんな矛盾ばっかだよなぁ。




女書店でヴァージニア・ウルフとツーショット


霊感珈琲の近くにフェミニズムの本を集めた本屋さんがあるとのことで、3人で向かいます。

「女巫店」というライブハウスの2階にあるのが、こちらの「女書店」。

しぶい。

1994年に設立された、中国語圏初のフェミニスト書店だそうです。

イベントもいろいろやっているらしい。

部屋にはヴァージニア・ウルフの大きな横顔が。

ヴァージニア・ウルフの鼻。

以前わたしの団体でフェミニストの北村紗衣さんにインタビューした際、ウルフのことに少しふれましたが、ウルフはT.S.エリオットの妻ヴィヴィアンなど他の同時代の女性作家に対しては冷ややかだったという批判もあり、実はわたしはウルフがあんまり好きじゃありません。一応記念写真撮りましたが、よく見ると、あれ、ウルフすげー睨んでね・・・?

でもスタンプだったり落書きだったりもできて、ミーハーにエンジョイしてきました。

【女書店】
住所:台北市大安區新生南路三段56巷7號2樓(台大操場對面近辛亥路的第一個紅綠燈巷子口)
営業日:火曜日〜日曜日 11:00-21:00
定休日:月曜日・祝祭日

*「女書店」についてはこんな詳細な記事がありました。


雨もやみ、書店を出て、辺りを歩きます。

この台電大樓駅のあたりは台湾大学があり、学生や外国人が多くすむエリアだそうです。学生向けの小さな食堂もあるし、書店やギャラリーもありました。

ここは写真図書館。

この日は残念ながら閉館だったのですが、写真やアートだけでなく、人権問題含むさまざまなセミナーやイベントをやっているそうで、入り口には「月経友善空間Period Friendly Space」と書かれたステッカーが。生理用品を無料でくれるらしいです。

通りかかったヘアサロンの店内に黒猫の姿が。猫だ〜!と思って立ち止まると、排泄しはじめました。

左の奥の方に猫さんの姿が。手前にはうんこが落ちてる。

よく見ると足の不自由な猫さんで、片足が折れ曲がっていました。ここのサロンはそういった保護犬&猫のシェルターもやっているそうです。

看板には「ANIMAL CARE SHELTER」の文字が。

ヘアサロンで動物のシェルターもやっているって珍しいなぁと思いましたが、台湾ではアニマルシェルターも兼ねてやっているサロンやカフェがだんだん増えているらしいです。里親を募集している保護猫カフェは日本でも増えてきたけど、保護猫&犬をお世話しているヘアサロンに行く、といった選択肢もあるといいよね。



啼岸VeganResortでがっつり晩飯


夜ご飯は台湾で動物関連の活動をしているモナの友人たちが集まってくれることになっていたので、電車にのって古亭へ向かいます。ノアノアさんとは途中でお別れしました。

このあたりも学生が多く、文化人に人気な街だそうです。

駅から大通り沿いをずっと歩きます。

有名な虎のキャラクターだって。

お店に到着!
ここはヘアサロンも併設しているカフェで、奥にはサロン用の席があります。すべての商品がヴィーガン・動物実験なしだそうです。

壁には「動物解放」のオクトパス。

猫さんもいらっしゃいました。ペット連れもOKです。

接客中。

とりあえず腹が減ったので飯をカウンターに注文しにいきます。

チャーハン、ヌードル(焼きそば)、バーガーといったがっつり系から、サンド、デザートまであって迷います。せっかくなので珍しいものにしようと台湾パンケーキを頼みました。

台湾の伝統料理なのかと思ったら別にそうではないらしい。ブリトーみたいだね。

中にはトマトもはいっていておいしい〜

あんかけのかかったオムレツのような料理をみんなでとりわけ。ヴィーガン・オイスターと書いてありました。これが一番人気メニューのようです。

でっかい

ドリンクには黒糖ソイミルクティを。
ここのシナモンロールもおいしいらしく、頼みたくなったけど我慢しました。我慢せずに食べとけばよかった。人間、食べられるときに食べとかないと後悔する。教訓。

ちなみに髪を切ってもらいながら食べることもできるようです。最高だ〜。

今回集まってくれたのは、アニマル・アライアンス・アジアの方、PETA Asiaの方、動物のアートについて研究している方、ドッグトレーナーの方、好好愛牠協會(Save Animals for Love)という団体を立ち上げた方の5名! みなさん動物関係の仕事や活動をしているとはいえ、その形は多種多様です。

男性は1名だけだったんだけど、「いつも男女比はこんな感じになるよね」という話に。わたしたちの座談会でも動物運動内のジェンダーバランスはちょくちょく話題になりますが、どうして動物問題の活動家は女性が多数なんでしょうね。

また、好好愛牠協會Save Animals for Love)という団体は日本の捕鯨に対する反対活動もしているそう。日本人って捕鯨問題になるとすごくセンシティブでなかなか議論が進まないんだよね・・・。これは日本人自身がもっと問題意識持って取り組まなきゃいけないことだよなぁ。わたしたちの座談会でもいつか取り上げようと思います。

運動とは関係ないけど興味深かったのは、台湾では最近、電車で優先席に座っていた若い男性が高齢者の男性から罵倒されて殴られたり、優先席に座っていた女性に対して別の人に席を譲るよう促した男性がその女性から暴行を受けたりなど、優先席をめぐった暴力事件が発生しているらしいです。台湾では日本よりも優先席の強制度が高いみたい。

他にも、「バーンアウト対策どうしてる?」「運動内での内輪揉め(インファイト)はある?」「アンチに対してどうしてる?」「運動内での差別は? そういった問題にどうやって対処してる?」など、わたしが質問したことにみなさん丁寧にこたえてくれて、話はつきません。ほんとは一人一人話を聞きたいくらいでしたが、聞きたいことの半分も聞けませんでした。いつかまた会えたらいいなー。

PETAのセラさんから絵本をいただきました。さっきの台灣動物平權促進會Taiwan Animal Equality Association(TAEA)の別の絵本だよ。

【啼岸 Vegan Resort】
住所:台北市中正區牯嶺街133號
時間:12:00-21:00(ラストオーダー20:30)



豆花を食わずに終われない


Vegan Resortを後にし、古亭駅に向かう途中でトウファのお店を発見。そういや、台湾きてからまだトウファ食べてないじゃん! 大変だ!!!

というわけで、みんなに待っててもらい、トウファを購入しにいきます。

モナに翻訳してもらい、トッピングを選びます。定番のあずきとタピオカを選択。ちなみにスプーンは言わないともらえないので注意だよ。

いえーい。無事ゲット〜

大満足。

ホテルに帰ってじっくりいただきました。

【友蓁豆花店】
住所:台北市中正區同安街63-2號
定休日:月曜日
HP:https://02-23650968.weebly.com



おいしいヴィーガン料理がたくさんあるだけでなく、ヴィーガンサロン&カフェもあり、アニマルシェルターも身近にあり、アートを用いた運動も盛んで社会運動の勉強にもなる、そんな台北2日目。やさしい味わいのトウファを食べながら、「台北って最高だな〜」と思っていたわたしはまだまだ甘かった。次の日は予想を超える現実が待ち受けていたのでした。


(つづく…)


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